Busan nikki 1 (2008～2013)

つづき

研修2日目は、私が時々通訳の仕事をしている病院で行われた。まず病院全体の主だったところを見学し、午後は看護部門や事務部門などグループに分かれての研修。

お昼は、病院からほど近い 「하나（波奈）」 という日本式トンカツ専門店へ。それぞれ好きなものを注文ということで、私は안심（ロース）トンカツ（7,500w）をいただいた。



この店は何度か来たことがあるが、こんなに量が多かったかなと思うほどボリュームたっぷりで驚いた。店員によると、特に増量したわけではないとのことだが、さすがの私も食べきれず隣に座っていた方に少し手伝ってもらった。

トンカツに添えられているキャベツの千切りから、話は野菜の値段高騰へ。今年は異常な高温だったことや、また雨があまり降らない日が続いたかと思えば降れば集中豪雨、のように天候不順だったため、野菜の値段が例年の3倍程度にまで上がっている。

中でも韓国人にはなくてはならないキムチの材料・白菜は、1株12,000wから15,000w近くもするそうだ。日本円にして1,000円以上するということだ。あまりの高騰ぶりに、中国から白菜を無関税で輸入する予定もあるという話も聞く。

白菜だけでなく、サンチュなどの値段も上がっているため、食堂では軒並み苦労しているそうだ。通常なら韓国の食堂では、たいていキムチや小皿のおかずは無料でおかわりできるのだが、あまりの野菜の高騰ぶりに、客の方がおかわりするのを遠慮するというケースもあるとか。

そんな話をしながらおいしく昼食を終え、病院に戻って午後の研修に同行。



日本からの訪問団の方の感想の一つに、いくつかあるグループ病院それぞれが、非常に清潔だということがあった。確かにその通り、どの病院に行っても非常に清潔で掃除が行き届いており、”チリ一つ落ちていない” ような感じだ。また見た目の清潔さのみならず、病院特有の匂いがないのだ。

特に、入院患者さんが大勢いる病棟などでは、日本では必ずといっていいほど特有の匂いがする。しかし、このグループ病院ではそんな匂いが一切しないのだ。

これについては、グループ病院全体を管理している財団の理事長の理念が 「親切・清潔・節約」 であり、その理念が働いている職員一人ひとりにまで行き渡っているからだろう、とのことだった。

掃除のみならず、匂いをこもらせないために換気を頻繁にしたりアロマを活用したり、いろいろ工夫をされているそうだ。病院という場所柄、どうしてもある程度の匂いは免れないと妥協するのではなく、徹底的かつ効果的な対策をとることでこれほどまで無臭の空間を作ることができるのだと、驚いた。

夕方、全ての研修が終わり、この日の夕食は広安里沿いの 「다빈향」 へ。牛肉・豚肉の焼肉やカルビタンなど、肉料理中心のこの店の女性店主は2代目なのだそうだ。病院のある医師によると、40年ほど前には今の店主のお母さまがやはり焼肉の店をしていて、そのお母さまから肉の味付けなどのノウハウを教わった娘さんが、今の店を切り盛りしているのだそうだ。

以前、多大浦の噴水ショーを見に行くためにバスに乗っていたとき、沙下区あたりでこの広安里の 「다빈향」 と同じ看板の店をバスの中から見かけたことがあり、チェーン店かと思っていたが、それはそのお母さまが経営している店なのだそうだ。

この日は味付け豚肉の焼肉と、サムギョプサル（豚の3枚肉）をいただいた。肉は厚くて柔らかくてとてもおいしい。焼いたニンニクとネギサラダと共に、サンチュやエゴマの葉で包んでガブリ。

締めの冷麺も、この店は麺が非常に細くてスープがよくからみ、これまた非常においしかった。

つづく