2010年11月30日

2つの談話、何が違うか

『李大統領 ”天安号” 談話と ”延坪島” 談話、何が違うか』 という見出しの、11月29日付けの 「ヘラルド経済」 の記事。(양춘병記者)
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天安号の事態を受けて、その後の処置について盛り込んだ ”5.24 対国民談話” と、今回の延坪島砲撃挑発についての ”11.29 対国民談話” の間には、強硬な対応原則を明らかにしたという点では似通っているが、これ以上の忍耐と寛容はないというさらに断固たる行動を強調したという点で、違いがある。もはや言葉ではなく、もっと行動に比重を置くという意志だ。

2回の談話はどちらも北朝鮮の武力挑発について、断固たる対応意志を明らかにしたという点では似ているが、各論では微妙な違いが見えている。

まず5.24談話は、対北政策の ”パラダイムシフト(太陽政策⇒強対強政策)” がなされたと評価するほど、歴代政府の中で最も強硬な対北基調を盛り込んでいる。李大統領は当時談話を通じ、*南北経済協力および対北支援の中断、*北朝鮮が領海・領空・領土を侵犯すれば即刻自衛権発動など ”積極的抑制(proactive deterrence)” 原則を強調した。

李大統領は今回の談話でも、”これから北の挑発には相応な代価を支払ってもらう” と、この原則を再確認した。

ただ、李大統領が直接国民に謝罪の意を伝えたのは、5.24のときとは違っていた点だ。李大統領は5.24のとき明らかにした、断固たる対応意志を実践できなかったことに対し、”国民の生命と財産を守ることができなかった責任を痛感する。残念で申し訳ないという思いを禁じえない” と、 牛肉問題以降初めて国民に対し謝罪した。

李大統領は5.24談話で、金正日国防委員長を直接名指しする代わりに ”北朝鮮の将軍” という表現を用い、金委員長に天安号事態を自ら収拾し、今後南北関係を転換することができる余地を残した。南北関係の完全な破局をもたらす可能性を排除し、南北関係に最後の道筋を取っておくという意志の表れだった。

しかし、今回の談話では背水の陣を敷くかのように、退路なき強硬な語調をぶちまけた。

李大統領は、”これ以上の忍耐と寛容は、さらに大きな挑発を招くだけだということを我々国民は明確に知りました” と強調した。

李大統領は5.24談話の場として、南北関係の過去と未来が交差する戦争記念館を選び、対北強硬処置とともに未来に向けた関係を構築する意志を盛り込んだ。

今回の談話は、事態の時急性を反映して青瓦台(大統領官邸)内の春秋館で行われ、談話分量も当初の10分から7分に短縮した。

2つの談話、何が違うか



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この記事へのコメント
久しぶりの書き込みです。

李大統領の韓国国民への声明の内容を、貴女が日本語訳してくれましたので 興味深く読ませていただきました。

私はアメリカ生活している時から感じていましたが、李大統領は歴代の韓国大統領とは随分違う人物だと思っています。
この私見は、現在韓国に住んでからも変わっていません。

歴代の大統領としては、初めて世界をみる事ができる大統領でしょう。

<町の村長さん>が大統領になってしまった印象も受けません。

いままでの大統領のように私利私欲が強いわけでもなく、地元を優遇するわけでもありません。

若い時から世界をとびまわりビジネスマンとして活躍された方だと聞いています。

李大統領でなければ、韓国はこれほどまでに経済回復もしなかったでしょう。

日本をはなれ、外から日本を見ていると 日本のだらしなさや 不甲斐なさが見えてしかたがありません。

もし、北朝鮮から日本の領土に砲弾が飛んできたら 今の日本政府はどう対応するのでしょう?

別に私は右翼でも左翼でもありませんが、、。。
Posted by 金海のおじさん at 2010年11月30日 10:39
金海のおじさん さま

お久しぶりです。
李大統領に対するお考え、私もまったくもって同感です。私は政治や経済には疎いのですが、その私でもそのように感じます。
冷静に客観的に韓国のことを考えることができる、広い視野を持たれた方のようにお見受けします。
今後、北朝鮮がまた何か行動を起こしたとき、どのような対応をとられるのか大変興味があります。
Posted by dilbelaudilbelau at 2010年11月30日 17:48
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