2012年03月27日

日韓の原発

最近、韓国でも原発問題が大きな話題になっている。韓国には現在稼働中の原発が21基、そのうち5基が釜山市기장(キジャン=機張)郡と울산(ウルサン=蔚山)市一帯の고리(コリ=古里)原子力発電所にある。(5基のうち後述のコリ1号機は停電事故のため運転停止中)

釜山市キジャン郡にあるコリ原発1号機(▼)は1998年に稼働した。2007年6月に当初の使用寿命30年を迎えたが、2008年に10年間の延長使用が認められ継続して稼働している。しかしその延長稼働中のコリ原発1号機で、定期点検中だった今年2月9日、外部からの電力が喪失する完全停電(ブラックアウト)が起こった。

日韓の原発

その停電事故当時、本来なら作動するはずの非常用ディーゼル発電機も2台とも作動しなかった。また、電力供給が完全に止まった状態で、核燃料棒を入れ替えていたという。電力の供給が止まるということは冷却機能も喪失しているということで、一歩間違えれば核燃料棒の温度が上がりメルトダウンや放射能漏出という、まさに福島と同じような事故が起こっていた可能性があるという事態だった。

しかも、そのような危険な事態だったにも関わらず、この完全停電事故の事実を、コリ原発側が3月12日まで1か月以上も隠ぺいしていたことが先日明らかになったのだ。たまたま기장(キジャン=機張)郡の議員キム・スグン氏がこの事実を知り得て、世間に知られることになったのだが、「バレなければ」 ずっと隠ぺいしたままだったのではないかという疑いの声も上がっている。

事実をありのままに公表しなかったのは、公表すれば原発に対する風当たりが強くなることが分かっていたからだろう。福島の原発事故当時、重要な情報がなかなか公表されなかった日本の状況と重なるようだ。

日本と同じく、韓国でも反原発、反核、脱原発への動きが大きくなってきているが、ソウルや京畿道エリアと、釜山や慶尚南道エリアではその運動に対する温度差があるようだ。先日の新聞でも以下のような内容が報道されていた。

先月、全国の基礎自治体(市・郡、および特別市・広域市管下の区)の長らが 「脱核エネルギー転換のための都市宣言」 を発表したが、ここでも釜山の自治体関係者の姿はほとんど見られなかった。「エネルギー条例(仮称)」 を作り、新再生エネルギーの普及を増やそうというソウルや京畿道、慶尚北道一帯の45の基礎自治体長らは参加していたが、実際に原発が密集している釜山や慶尚南道の自治体の中では、ウルサンの自治体2か所が参加していただけだ。

もっとも市民レベルでは、釜山でも先日、反核運動が行われた。釜山地域の44の市民社会文化団体が連帯して作った組織 「反核釜山市民対策委員会」 が準備したもので、釜山駅から南浦洞まで行進するなどしたそうだ。

韓国には活断層がないため地震は起きないという前提で、高層・超高層ビルも続々建っているが、本当に100%地震がないと言い切れるのだろうかと時々思う。実際、つい先日も、ウルサン沖を震源とする地震が起きた。「地震がない」 という前提で建てられている高層ビルや原発だが、前例のなかったことが起こることなんていくらでもある。特に、こんなに近い日本であんなことがあったに、「それでも韓国は大丈夫」 と過信できるはずはないと思うが。

日本にある54基の原発のうち、今も稼働しているのは2基のみ(北海道電力の泊原発と東京電力の柏崎刈羽原発)。その2基も4月下旬までに、定期検査に入る予定だという。

一方、韓国には現在稼働している原発が21基。2025年にはこれが12基まで増える予定だそうだ。

海を隔てた日本と韓国。これから両国の原発がどうなっていくのか、非常に気になるところだ。


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