Busan nikki 1 (2008～2013)

よく晴れた土曜日、随分久しぶりに夫と소예（ソイェ）へ行った。前回行ってからちょうど半年ぶりだ。

この店は完全予約制で、予約は当日の朝のみ受付。店を1人で切り盛りしているおばさんは、もともとどちらかと言うと早口なうえ、朝は店の準備で忙しく余計に早口になるようだ。いつも電話口で 「はい、1時ね。え? 何人様? はいはい。電話番号は? 車で来ますか?」 とまくしたてるように話すので、こちらまで慌ててしまう。

予約しておいた13時に到着すると、店内には客が1組だけだった。珍しく少ないなと思ったが、13時、13時30分と続々と客が入ってきて、あっという間にいつものような賑わいに。

「あらお久しぶりねー」 と笑顔で迎えてくれたおばさん。相変わらずエネルギッシュな雰囲気がみなぎっていた。おばさんは、大きなお盆にのせて料理をテーブルに運んでくると必ず、「はい、お箸とスプーン」 とおっしゃる。「私はお皿をテーブルに並べるのに忙しいから、お箸とスプーンは自分たちでお盆から取ってね」 ということだ。

この日も相変わらず芸術的な品々が並んだ。美しくて見とれてしまう。


メインの1つ、テナガダコと野菜のマリネ（▼）。爽やかな酸味が食欲をそそり箸が進む一品だ。さっと火を通したテナガダコの食感もよい。


左手前の大根サラダにかかっているソースは、홍시（ホンシ＝熟柿）で作ったものだそう。ホンシをドレッシングにアレンジするとは、さすがのアイデアだ（▼）。右奥のしいたけの飾りも、卵白と卵黄を別々に薄焼きにしたものと、人参や唐辛子の細切りも添えるという手の込みよう。しいたけの旨みと唐辛子の適度な辛さが絶妙のバランス。


その他のおかずもどれも非常においしい。サンチュサラダにはエゴマのドレッシングを、炒りジャコには柚子ソースを和えるなど、ありふれた素材も工夫ひとつでおしゃれにおいしく変身させている。味噌スープは少し濃い目。この季節によく合う味だ。

来るたびに思うが、これで7,000wとは。献立づくりから食材の買い出し、調理、配膳・下膳、洗いものまですべて1人でこなすのは、並大抵のことではないだろう。それをほぼ毎日やるのだから、好きでないと続けられないと思う。

店内の壁にかかっている（おばさん直筆と思われる）文章が新しく変わっていた。日本語にすると、




そう言われてみると、おばさんの料理にはこの5つがいつも含まれている。なるほど。おばさん、すごい!! ブラボー!! ここで食事をいただくと、いつも非常に満たされた気持ちになる。おなかだけでなく心もいっぱいになる、そんな店だ。


소예（ソイェ）
釜山市水営区民楽洞164-23
(051) 752-1727
営業時間：昼食時のみ（予約必須、予約は当日の朝9時頃以降に、2名以上可）
定休日：火曜日・日曜日
＊ 41番バス民楽方面 「동방시장（東方市場）」 下車、バスの進行方向に進んですぐの角を右へ。T字路に突き当たったら再び右に曲がるとすぐ左手にある。