2013年12月01日

“香りが宿る峠” のサバ定食

先日、嬉しい再会があった。数年前、「ダークツーリズム」 に参加したときに知り合ったHさんと3年ぶりに再会したのだ。

Hさんは日本語が非常に堪能。日本語が上手な韓国人はたくさんいるが、中でもHさんは私が知る限りもっとも正確で自然な日本語を使われる方の1人だ。

3年前、またお会いしましょうと連絡先を交換して別れたのだが、なかなかお互いの都合が合うタイミングが見つけられないまま時が過ぎていった。2人とも釜山に住んでいるので、「いつでもまた会える」 と思いつつ・・・。

そして最近になって、ようやく再会が決まった。青沙浦(チョンサポ)で遅い昼食を食べることに。地下鉄の萇山(チャンサン)駅で待ち合わせ、Hさんの車に乗せてもらって青沙浦へ。私は6年近く釜山で暮らしているが、青沙浦に行くのはこれが初めてだ。

萇山駅から坂を上り、やがて下り坂になったかと思うと目の前に海がぱーっと開ける。実に爽快な景色の道路だ。そして車はほどなく、この日の目当ての食堂に到着。

食堂の目の前には해월정사(海月精舍=ヘウォルジョンサ)というお寺が建っている。由緒のある有名なお寺なのだそうだ。海印寺(ヘインサ)の初代坊丈や、曹渓宗(チョゲジョン)の第6・7代宗正も務めた성철(性徹=ソンチョル)という今は亡き高僧も、一時期ここに滞在していたそう。

食堂の名前は 「향유재」(ヒャンユジェ)。韓国の伝統料理専門店で、店内も落ち着いた雰囲気だ。文人たちもここでよく集うのだとか。店名の 「향유재」 には、「향기가 머무르는 고개」(香りが宿る峠) という意味が込められているそう。

この日は店に入ったのが食事どきではなかったので空いていたが、食事どきにはかなり賑わうのだそうだ。またこの日案内された席からは見えなかったが、店の奥の方からは海が見下ろせるのだそう。夏には涼しい潮風がさぞ心地いいだろう。

各種定食やピビムパッ、チョンゴル類、アグチム、スジェビ、カルグクスなどメニュー豊富だが、Hさんによるとこの店の一番人気はダントツで 「고등어 조림」(コドゥンオ チョリム=サバの煮付け)なのだそう。私はそれをいただくことに。Hさんはサバはあまりお好きではないとのことで、スジェビを注文された。

あらためて再会を喜ぶ。あれから3年も経ってしまったとは驚きだが、お変わりないご様子で何よりだった。互いの近況や食べ物の話、仕事の話などに花が咲かせていると、注文した料理が運ばれてきた。

고등어 조림 정식(サバの煮付け定食▼)。

“香りが宿る峠” のサバ定食

主役のサバは、厚い輪切り大根とともにヤンニョムで煮付けてある。色は赤いが全く辛くない。ヤンニョムもさることながら、サバそのものも身がふっくらしていて非常においしい。サバの旨みがしみこんだ大根も美味。そのままいただいてもよし、サンチュで包んで食べてもよし。ご飯によく合う。サバのメニューとしては煮付けの他に塩焼きもあるそうだ。

“香りが宿る峠” のサバ定食

大根の干葉(시래기=シレギ)がたっぷり入ったスープ시래기국(シレギグッ)はエゴマの風味がきいていて、深みのある優しい味わい。釜山や慶尚道では方言で시락국(シラックッ)と言われることが多い。

Hさんの注文した감자 수제비(ジャガイモのスジェビ▼)。青唐辛子のスライスが入っているため、意外にぴりりと辛い。

“香りが宿る峠” のサバ定食

少し味見させてもらったが、ずっしりとした重量感のあるスジェビ(すいとん)とジャガイモがたっぷり入っていて、ボリュームがある。

“香りが宿る峠” のサバ定食

使われている食器も素朴な感じで素敵だ。食器は一部、展示・販売もしているようだ。

おいしい食事とおしゃべりを楽しみ、コーヒーでも飲みましょうと店を出た。Hさん、ご馳走さまでした。

“香りが宿る峠” のサバ定食

향유재(ヒャンユジェ)
釜山市海雲台区中2洞439
(051) 704-8668


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