2012年01月25日
コーヒーは私の運命です 1
以前、大学街を夫と歩いているとき、あるカフェの前を通りかかった。釜山にもカフェが随分増えたし、まだまだ増え続けている。まるで雨後の筍のよう。街のカフェはすっかり飽和状態だ。
大型コーヒーチェーン店もどんどん店舗数を増やしているし、個人経営のカフェもそれぞれの個性を打ち出して営業している。しかし、そのとき通りかかったカフェには、今までに見たことのない光景があった。
店の前にパラソルを広げた戸外の席には客が2人。そしてそのテーブルでは、店員が客の目の前でハンドドリップでコーヒーを淹れていたのだ。客1人1人に目の前でコーヒーを淹れてくれる・・・カフェ多しといえども、まだこんなカフェはほとんどないのではないだろうか。
その時は時間がなかったので、後日あらためてそのカフェを夫と訪れてみた。名前は 「오늘도 커피 볶는 집(今日もコーヒーを焙煎する店)」。


一見、店内が暗く見えたので休みかと思い、入口の前で店内の様子をうかがっていると、ニット帽をかぶった男性が昔懐かしのLP盤を手に、中からドアを開けてくれた。カフェのマスターだ。お店やってますか?と尋ねると 「はい。どうぞ、どうぞ」 と優しい笑顔。
私たちが日本語で話しているのを聞いて、「日本の方ですね」。思いがけず日本語で話されたので驚いた。ちょうどLP盤を磨いていたところだったようで、ほどなく店内のレコードプレイヤーでそのLPをかけてくれた。「サウンド・オブ・ミュージックです」。

LPやレコードプレイヤーを懐かしがる私たちに 「これ、日本製ですよ。これ(スピーカー)も」 と、にこやかに話してくれる。LPに針を落とすと、デジタルではないアナログの音が聞こえてくる。味のあるあたたかい音色だ。
店内はそう広くはない。中央にカウンターが向かい合うように2列あり、その間の空間はマスターが作業をするスペース。入口横の窓際にもカウンター席がいくつかと、あとは店の前の戸外席だ。店の奥には焙煎室がある。

店内にはレコードプレイヤー以外にも、懐かしい品々が陳列してある。窓際のカウンターにはなぜか顕微鏡(▼)。「これも日本製ですよ」 とマスター。

その他にも小さな植物や、こまごまとしたものが飾られている。

カウンターにはこれまた懐かしの黒電話。韓国でも昔はこれを使っていたというが、私は韓国では初めて見た。この黒電話は今でも現役で、この後実際にベルが鳴っていた。

店内にある珍しいものに気を取られていたが、さてコーヒーを注文しなければならない。マスターは 「どんな味が好きですか?薄い?濃い?」 と聞いてくれる。
『じゃあ、薄くないコーヒーで』 と答えると、マスター は 「濃い濃い?」 非常にストロングなのがいいのかと聞いているようだ。『すごく濃くなくていいので、少し濃いぐらい』 と問答していると、「これメニューね」 と。口頭でいろいろ聞かれるのでメニューはないのかと思っていたら、あったのだ。
中にはさまざまなコーヒーのメニューの他に、コーヒーの産地に関する詳しい話も紹介されている。豆やコーヒーを淹れる道具の販売もしている。コーヒーはどの豆もいずれも濃さが 「보통(普通)」 と 「진하게(濃く)」 の2種類あり、濃いコーヒーは普通のコーヒーより500wほど高い。
価格帯はおおむね4,000~6,000w程度。釜山での平均的な値段か、その丁寧な淹れ方からすると安い方だろう。メニューの一番下には 「世界で一番高いコーヒー」 として 「Luwak」(ジャコウネコの糞からとられる未消化のコーヒー豆を使ったコーヒー)が80,000wと書かれていた。すさまじい値段だ。
つづく
大型コーヒーチェーン店もどんどん店舗数を増やしているし、個人経営のカフェもそれぞれの個性を打ち出して営業している。しかし、そのとき通りかかったカフェには、今までに見たことのない光景があった。
店の前にパラソルを広げた戸外の席には客が2人。そしてそのテーブルでは、店員が客の目の前でハンドドリップでコーヒーを淹れていたのだ。客1人1人に目の前でコーヒーを淹れてくれる・・・カフェ多しといえども、まだこんなカフェはほとんどないのではないだろうか。
その時は時間がなかったので、後日あらためてそのカフェを夫と訪れてみた。名前は 「오늘도 커피 볶는 집(今日もコーヒーを焙煎する店)」。
一見、店内が暗く見えたので休みかと思い、入口の前で店内の様子をうかがっていると、ニット帽をかぶった男性が昔懐かしのLP盤を手に、中からドアを開けてくれた。カフェのマスターだ。お店やってますか?と尋ねると 「はい。どうぞ、どうぞ」 と優しい笑顔。
私たちが日本語で話しているのを聞いて、「日本の方ですね」。思いがけず日本語で話されたので驚いた。ちょうどLP盤を磨いていたところだったようで、ほどなく店内のレコードプレイヤーでそのLPをかけてくれた。「サウンド・オブ・ミュージックです」。
LPやレコードプレイヤーを懐かしがる私たちに 「これ、日本製ですよ。これ(スピーカー)も」 と、にこやかに話してくれる。LPに針を落とすと、デジタルではないアナログの音が聞こえてくる。味のあるあたたかい音色だ。
店内はそう広くはない。中央にカウンターが向かい合うように2列あり、その間の空間はマスターが作業をするスペース。入口横の窓際にもカウンター席がいくつかと、あとは店の前の戸外席だ。店の奥には焙煎室がある。
店内にはレコードプレイヤー以外にも、懐かしい品々が陳列してある。窓際のカウンターにはなぜか顕微鏡(▼)。「これも日本製ですよ」 とマスター。
その他にも小さな植物や、こまごまとしたものが飾られている。
カウンターにはこれまた懐かしの黒電話。韓国でも昔はこれを使っていたというが、私は韓国では初めて見た。この黒電話は今でも現役で、この後実際にベルが鳴っていた。
店内にある珍しいものに気を取られていたが、さてコーヒーを注文しなければならない。マスターは 「どんな味が好きですか?薄い?濃い?」 と聞いてくれる。
『じゃあ、薄くないコーヒーで』 と答えると、マスター は 「濃い濃い?」 非常にストロングなのがいいのかと聞いているようだ。『すごく濃くなくていいので、少し濃いぐらい』 と問答していると、「これメニューね」 と。口頭でいろいろ聞かれるのでメニューはないのかと思っていたら、あったのだ。
中にはさまざまなコーヒーのメニューの他に、コーヒーの産地に関する詳しい話も紹介されている。豆やコーヒーを淹れる道具の販売もしている。コーヒーはどの豆もいずれも濃さが 「보통(普通)」 と 「진하게(濃く)」 の2種類あり、濃いコーヒーは普通のコーヒーより500wほど高い。
価格帯はおおむね4,000~6,000w程度。釜山での平均的な値段か、その丁寧な淹れ方からすると安い方だろう。メニューの一番下には 「世界で一番高いコーヒー」 として 「Luwak」(ジャコウネコの糞からとられる未消化のコーヒー豆を使ったコーヒー)が80,000wと書かれていた。すさまじい値段だ。
つづく
Posted by dilbelau at 08:56│Comments(0)
│カフェ・ケーキ