2012年01月25日
コーヒーは私の運命です 2
つづき
豆はいろいろあったが、この日は入口横に書かれていた 「本日のコーヒー・マラウィ」 を注文することにした。夫は普通、私は濃い味で。
すると、カウンター横の作業台に必要な道具を用意し、マスターが準備を始める。ミルもドリッパーも1つずつ使う。ドリッパーは1つはメリタ、もう1つはハリオだ。それぞれ違うミルで豆を挽く。ミルのタイプによって挽き方にも違いが出るのだろう。

準備をしながら、コーヒーについていろいろ話してくださる。マスターはもともとは放送関係の仕事などに携わっていたそうだ。コーヒーの仕事を始められたのは5年ほど前。最初は今のような店舗を持たず、1年間ほどは三輪自転車でコーヒーを売っていたのだそう。その後近くの市場の一角で小さな店を出し、現在の店舗でカフェを始めてからは2年ほどになるそうだ。
釜山にもカフェ多しといえど、こうして客1人1人分ずつ目の前でコーヒーを淹れてくれるカフェは、ほかに見たことがないと言うと、「お客さんに、コーヒーの香りや味を最大限楽しんでもらいたいからなんです」 と。「コーヒーは私の運命ですね」 とまでおっしゃるマスターは、本当にコーヒーのことが好きで好きでたまらないようだ。その情熱は初対面の私にも充分伝わってきた。
豆を挽く作業を終えると、「これ、移動式です~」 といたずらっぽい笑顔を浮かべながら、作業台を私たちの近くまで押してこられた。ワゴンのように下にコマがついているのだ。そしてここからは、先ほどまでのにこやかな表情とは打って変わって、真剣そのもの。
コーヒーカップを温めておくのは勿論のこと、コーヒーサーバーもお湯で温めておく。そしてまずはメリタのドリッパーからお湯を注ぐ。本当に丁寧に全神経を集中させてお湯を注いでいく。

私たちも息をのむようにしてその技を拝見。まるで芸術作品を見ているようだ。実に美しく粉が膨れ上がる。


続いて、ハリオのドリッパーにもお湯を注ぐ。注ぎながらも、先ほど湯を注ぎ終えたメリタの粉の具合にも気を配る。ここぞと思う時点で、さっとメリタのドリッパーをサーバーの上から外す。ハリオのドリッパーも同様に、ここという時点が来たらまだコーヒーが下から落ちていても、サーバーから外す。
次に、カップを温めておいた湯を捨て、水分を丁寧に拭き取る。1つ1つの作業が非常に丁寧で見とれるほどだ。そしてメリタ・ハリオそれぞれのドリッパーで淹れたコーヒーを、適量ずつブレンドして2つのカップに注ぎ分けてくれる。サーバーに残ったコーヒーはお代わり分だ。

こうして淹れてくれたコーヒーがおいしくないわけがない。文句なしにおいしい。コーヒーのお供にクラッカーのサービス。そしてLPを 『サウンド・オブ・ミュージック』 から他のものに変えた。イントロの部分が日本の演歌っぽい。聞いていると、やっぱりそう。『私の城下町』 だ。「中古のレコードを買ったんです」 と見せてくれたのは、平尾昌晃が自分で作った歌を、自分で歌ってレコーディングしたLP盤。本人のサイン入りだ。
私たちがコーヒーをいただいていると、女性店員が入ってき、入れ替わりにマスターは店から出て行かれた。この店ではその女性ともう1人の若い女性が働いているのだそう。
女性店員もマスターに負けず劣らずコーヒーに対する情熱が強いようだ。自身がこの店で働くことになったきっかけや、マスターのことなどとめどなく話してくれる。彼女によるとマスターは、利益を求めるのではなく、ただ純粋に 「健康なコーヒーをお客さんに飲んでもらいたい」 という思いから手間を惜しまずコーヒーを淹れているのだそう。
コーヒーを淹れる作業以外にも、各段階の作業を丁寧にされるとのこと。仕入れた焙煎前の豆の中から不良豆をピッキングする作業(レコードプレイヤーの隣にあるのがその作業台▼)から始まり、焙煎作業を始めると豆の変化を見逃さないよう片時もそばを離れず、またコーヒーを抽出するにあたっての実験をするなど、さまざまな努力をされているのだそう。

不良品の豆や、焙煎の際に焦げてしまった豆を取り除いた 「健康な豆」 で、丁寧に淹れた 「健康なコーヒー」 を提供したい。ただひたすらにその思いを追求しているのだ。
また水で長時間かけて抽出するダッチコーヒーも販売しているのだが、よりおいしいダッチコーヒー抽出のため、時には徹夜で作業することもあるのだとか。
まさに職人。カフェが大流行の昨今、そこまで手間ひまかけてしなくてもある程度の利益は得られるだろうに、妥協を許さないその姿勢はまさに職人だと感じた。
오늘도 커피 볶는 집
釜山市南区大淵3洞509-17
(051) 621-9771
営業時間:10~23時
豆はいろいろあったが、この日は入口横に書かれていた 「本日のコーヒー・マラウィ」 を注文することにした。夫は普通、私は濃い味で。
すると、カウンター横の作業台に必要な道具を用意し、マスターが準備を始める。ミルもドリッパーも1つずつ使う。ドリッパーは1つはメリタ、もう1つはハリオだ。それぞれ違うミルで豆を挽く。ミルのタイプによって挽き方にも違いが出るのだろう。
準備をしながら、コーヒーについていろいろ話してくださる。マスターはもともとは放送関係の仕事などに携わっていたそうだ。コーヒーの仕事を始められたのは5年ほど前。最初は今のような店舗を持たず、1年間ほどは三輪自転車でコーヒーを売っていたのだそう。その後近くの市場の一角で小さな店を出し、現在の店舗でカフェを始めてからは2年ほどになるそうだ。
釜山にもカフェ多しといえど、こうして客1人1人分ずつ目の前でコーヒーを淹れてくれるカフェは、ほかに見たことがないと言うと、「お客さんに、コーヒーの香りや味を最大限楽しんでもらいたいからなんです」 と。「コーヒーは私の運命ですね」 とまでおっしゃるマスターは、本当にコーヒーのことが好きで好きでたまらないようだ。その情熱は初対面の私にも充分伝わってきた。
豆を挽く作業を終えると、「これ、移動式です~」 といたずらっぽい笑顔を浮かべながら、作業台を私たちの近くまで押してこられた。ワゴンのように下にコマがついているのだ。そしてここからは、先ほどまでのにこやかな表情とは打って変わって、真剣そのもの。
コーヒーカップを温めておくのは勿論のこと、コーヒーサーバーもお湯で温めておく。そしてまずはメリタのドリッパーからお湯を注ぐ。本当に丁寧に全神経を集中させてお湯を注いでいく。
私たちも息をのむようにしてその技を拝見。まるで芸術作品を見ているようだ。実に美しく粉が膨れ上がる。
続いて、ハリオのドリッパーにもお湯を注ぐ。注ぎながらも、先ほど湯を注ぎ終えたメリタの粉の具合にも気を配る。ここぞと思う時点で、さっとメリタのドリッパーをサーバーの上から外す。ハリオのドリッパーも同様に、ここという時点が来たらまだコーヒーが下から落ちていても、サーバーから外す。
次に、カップを温めておいた湯を捨て、水分を丁寧に拭き取る。1つ1つの作業が非常に丁寧で見とれるほどだ。そしてメリタ・ハリオそれぞれのドリッパーで淹れたコーヒーを、適量ずつブレンドして2つのカップに注ぎ分けてくれる。サーバーに残ったコーヒーはお代わり分だ。
こうして淹れてくれたコーヒーがおいしくないわけがない。文句なしにおいしい。コーヒーのお供にクラッカーのサービス。そしてLPを 『サウンド・オブ・ミュージック』 から他のものに変えた。イントロの部分が日本の演歌っぽい。聞いていると、やっぱりそう。『私の城下町』 だ。「中古のレコードを買ったんです」 と見せてくれたのは、平尾昌晃が自分で作った歌を、自分で歌ってレコーディングしたLP盤。本人のサイン入りだ。
私たちがコーヒーをいただいていると、女性店員が入ってき、入れ替わりにマスターは店から出て行かれた。この店ではその女性ともう1人の若い女性が働いているのだそう。
女性店員もマスターに負けず劣らずコーヒーに対する情熱が強いようだ。自身がこの店で働くことになったきっかけや、マスターのことなどとめどなく話してくれる。彼女によるとマスターは、利益を求めるのではなく、ただ純粋に 「健康なコーヒーをお客さんに飲んでもらいたい」 という思いから手間を惜しまずコーヒーを淹れているのだそう。
コーヒーを淹れる作業以外にも、各段階の作業を丁寧にされるとのこと。仕入れた焙煎前の豆の中から不良豆をピッキングする作業(レコードプレイヤーの隣にあるのがその作業台▼)から始まり、焙煎作業を始めると豆の変化を見逃さないよう片時もそばを離れず、またコーヒーを抽出するにあたっての実験をするなど、さまざまな努力をされているのだそう。
不良品の豆や、焙煎の際に焦げてしまった豆を取り除いた 「健康な豆」 で、丁寧に淹れた 「健康なコーヒー」 を提供したい。ただひたすらにその思いを追求しているのだ。
また水で長時間かけて抽出するダッチコーヒーも販売しているのだが、よりおいしいダッチコーヒー抽出のため、時には徹夜で作業することもあるのだとか。
まさに職人。カフェが大流行の昨今、そこまで手間ひまかけてしなくてもある程度の利益は得られるだろうに、妥協を許さないその姿勢はまさに職人だと感じた。
오늘도 커피 볶는 집
釜山市南区大淵3洞509-17
(051) 621-9771
営業時間:10~23時
Posted by dilbelau at 21:16│Comments(0)
│カフェ・ケーキ