2009年05月19日
'09.5.19(火)先生とラジコン飛行機
毎週月曜日の午後は、鄭戊錬先生の勉強会に参加する。
先生は80歳を超えておられるが、とてもかくしゃくとされていて姿勢もよく、声も朗々と教室中に響き渡るほど大きい。
勉強の合間に、いろいろなエピソードなどを紹介してくださるのだが、昨日はご自分の中学生時代のお話をしてくださった。
高校時代まで日本で暮らしていた先生は、中学当時は親元を離れ、東京で下宿しながら学校に通っておられたそうだ。
10歳の頃から模型飛行機のとりこになっていた先生は、下宿先の部屋の中も、自分で作った模型飛行機だらけ。天井からも何機もぶら下がり、棚にも一面に飛行機が飾られていたそうだ。
ある日、下宿先へお父様がやって来られた。
お父様が来られたとき、先生はまだ学校から下校していなかった。
学校が終わり下宿先へ帰ってみると、部屋中に飾ってあった自作の模型飛行機が全部なくなっており、部屋の真ん中にお父さんがどんと座っていた。
「勉強もせずに、飛行機に夢中になっているようなので全部捨てた。以後は勉学に励むように。」
そのときは素直に 『はい、そうします』 と答えた先生。
しかし、お父さんが帰っていかれたら、また早速大好きな模型飛行機作りに夢中になり、下宿先の部屋の中がまた飛行機でいっぱいになるのに、それほどの時間はかからなかった。
さて、翌年またお父様がやって来られた。
そして、また飛行機に埋もれた部屋の状況を見たお父様、今度は、
「よし、分かった。それほど飛行機が好きなら、学年で1番の成績を取ったら、いい飛行機を買ってやろう。」 とおっしゃったそうだ。お父様がおっしゃったその高級な飛行機というのは、当時、家を1軒買えるほどの高価なものだったのだそうだ。
それを聞いた先生、一念発起して非常に熱心に勉強した。しかし、成績は思うようには上がらない。
そこで先生、今度は 「カンニングの方法」 を研究することに熱中したのだそうだ。
どうやら先生は、何かに熱中すると 「とことんまで」 のタイプでいらっしゃるようだ。
先生が当時研究した方法の中でのベスト3は、
① 黒い下敷きに鉛筆でカンニング内容を書いておく。黒い下敷きに黒い鉛筆で書くので、普通に見ると文字が書いてあるようには見えないが、斜めの角度から見ると書いた文字が見えるのだそうだ。
② 鉛筆を一晩水に浸けておくと、軸が縦2つに割れるので、割れた面にカンニング内容を書いた細い紙を挟んでおく。試験中、監督の先生が見ていない隙を見計らって鉛筆の軸を開け、仕込んでおいた紙を見るのだそうだ。
③ カンニング内容を書いた紙に、輪っかにしたゴム紐をとりつける。輪にしたゴム紐は首からかけ、反対側(紙がついている方)は袖の中に仕込んでおく。先生が後ろを向いている隙に、袖口からその紙を引っ張り出してみる。先生に見つかりそうになったら、紙を持っている手を離せば、ゴム紐とつながっているので紙は袖の中にしゅっとおさまる、という仕組み。
なのだそうだ。
高級模型飛行機を買ってもらいたいがために研究したカンニングを駆使しても、残念ながらついに学年で1番にはなれなかったそうで、自分でも 「こんなことをしていたら、いつかバレる」 と考え直し、それ以降カンニングはきっぱりやめたそうだ。
(1番にはなれなかったが、2番だったそうだ)
先生の名誉のために言うが、これははるか70年近くも昔の話で、カンニングも後にも先にもそのときだけ、それも大好きな模型飛行機を買ってもらいたいという一心でのこと。
現在の先生は、「竹を割ったような性格」 という表現がピッタリな、潔くまっすぐなお方である。
それだけ模型飛行機に魅せられた先生、今でもまだご自身で飛行機を作られ、休日には飛ばしに行かれるときもあるというから感服する。
模型飛行機の分野では非常に有名なのだそうで、「ソウルでも鄭戊錬といえば、模型飛行機界で知らない人はいないよ」 とおっしゃる。
10歳の頃からの趣味を70年以上経った今でも楽しんでいるという方は、そうそういらっしゃらないだろう。
手先を動かし細かい作業をしていることが、頭と身体の健康にもつながっているような気がするとおっしゃっていた。
今日も先生からたくさんの元気をいただいた。

先生は80歳を超えておられるが、とてもかくしゃくとされていて姿勢もよく、声も朗々と教室中に響き渡るほど大きい。
勉強の合間に、いろいろなエピソードなどを紹介してくださるのだが、昨日はご自分の中学生時代のお話をしてくださった。
高校時代まで日本で暮らしていた先生は、中学当時は親元を離れ、東京で下宿しながら学校に通っておられたそうだ。
10歳の頃から模型飛行機のとりこになっていた先生は、下宿先の部屋の中も、自分で作った模型飛行機だらけ。天井からも何機もぶら下がり、棚にも一面に飛行機が飾られていたそうだ。
ある日、下宿先へお父様がやって来られた。
お父様が来られたとき、先生はまだ学校から下校していなかった。
学校が終わり下宿先へ帰ってみると、部屋中に飾ってあった自作の模型飛行機が全部なくなっており、部屋の真ん中にお父さんがどんと座っていた。
「勉強もせずに、飛行機に夢中になっているようなので全部捨てた。以後は勉学に励むように。」
そのときは素直に 『はい、そうします』 と答えた先生。
しかし、お父さんが帰っていかれたら、また早速大好きな模型飛行機作りに夢中になり、下宿先の部屋の中がまた飛行機でいっぱいになるのに、それほどの時間はかからなかった。
さて、翌年またお父様がやって来られた。
そして、また飛行機に埋もれた部屋の状況を見たお父様、今度は、
「よし、分かった。それほど飛行機が好きなら、学年で1番の成績を取ったら、いい飛行機を買ってやろう。」 とおっしゃったそうだ。お父様がおっしゃったその高級な飛行機というのは、当時、家を1軒買えるほどの高価なものだったのだそうだ。
それを聞いた先生、一念発起して非常に熱心に勉強した。しかし、成績は思うようには上がらない。
そこで先生、今度は 「カンニングの方法」 を研究することに熱中したのだそうだ。
どうやら先生は、何かに熱中すると 「とことんまで」 のタイプでいらっしゃるようだ。
先生が当時研究した方法の中でのベスト3は、
① 黒い下敷きに鉛筆でカンニング内容を書いておく。黒い下敷きに黒い鉛筆で書くので、普通に見ると文字が書いてあるようには見えないが、斜めの角度から見ると書いた文字が見えるのだそうだ。
② 鉛筆を一晩水に浸けておくと、軸が縦2つに割れるので、割れた面にカンニング内容を書いた細い紙を挟んでおく。試験中、監督の先生が見ていない隙を見計らって鉛筆の軸を開け、仕込んでおいた紙を見るのだそうだ。
③ カンニング内容を書いた紙に、輪っかにしたゴム紐をとりつける。輪にしたゴム紐は首からかけ、反対側(紙がついている方)は袖の中に仕込んでおく。先生が後ろを向いている隙に、袖口からその紙を引っ張り出してみる。先生に見つかりそうになったら、紙を持っている手を離せば、ゴム紐とつながっているので紙は袖の中にしゅっとおさまる、という仕組み。
なのだそうだ。
高級模型飛行機を買ってもらいたいがために研究したカンニングを駆使しても、残念ながらついに学年で1番にはなれなかったそうで、自分でも 「こんなことをしていたら、いつかバレる」 と考え直し、それ以降カンニングはきっぱりやめたそうだ。
(1番にはなれなかったが、2番だったそうだ)
先生の名誉のために言うが、これははるか70年近くも昔の話で、カンニングも後にも先にもそのときだけ、それも大好きな模型飛行機を買ってもらいたいという一心でのこと。
現在の先生は、「竹を割ったような性格」 という表現がピッタリな、潔くまっすぐなお方である。
それだけ模型飛行機に魅せられた先生、今でもまだご自身で飛行機を作られ、休日には飛ばしに行かれるときもあるというから感服する。
模型飛行機の分野では非常に有名なのだそうで、「ソウルでも鄭戊錬といえば、模型飛行機界で知らない人はいないよ」 とおっしゃる。
10歳の頃からの趣味を70年以上経った今でも楽しんでいるという方は、そうそういらっしゃらないだろう。
手先を動かし細かい作業をしていることが、頭と身体の健康にもつながっているような気がするとおっしゃっていた。
今日も先生からたくさんの元気をいただいた。
写真は2008年11月1日 鄭戊錬先生のご自宅にて。制作途中のラジコン飛行機と。
Posted by dilbelau at 08:31│Comments(0)
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