2012年06月08日

三光寺の梵鐘 11

つづき

正面奥に見えているのは 「止観殿」、右手は 「梵鐘閣」(▼)。

三光寺の梵鐘 11

見事な曲線を描く梵鐘閣の瓦屋根(▼)。

三光寺の梵鐘 11

梵鐘閣の1階部分には、重さ約13t、高さ350cm、口径266cmの梵鐘が吊り下げられている(▼)。梵鐘は、地獄の全ての衆生を救済するための儀式道具。鐘の音と法文を聞いた人は、生死の苦界を超えて真理を得られるとされているそうだ。

三光寺の梵鐘 11

韓国の鐘の特徴は、鐘の上部に穴が開いていることと、鐘の真下の地面が浅く掘ってあること。いずれも鐘の音がよく響くようにするための細工なのだそうだ。これらがあるために、韓国の鐘は日本の鐘に比べて、1回打つと長く長く響き続けるのだそうだ。

昔、朝鮮通信使によって日本に運ばれてきた鐘が、現在も日光東照宮内に据えられているそうなのだが、その鐘の前には 「虫食いの鐘」 という表示が書かれているのだそうだ。

朝鮮から日本へその鐘が運ばれてきた当時、初めて韓国の鐘を見た日本人が、その鐘の上部に開いている穴を見て、「まるで虫食いの穴のようだ」 と驚いたところから、その名が付いたのだそうだ。

梵鐘閣1階の天井部分(▼)。鮮やかな極彩色が目を引く。

三光寺の梵鐘 11

梵鐘閣の2階部分には、法鼓・雲版・木魚の3つがある。

法鼓は長さ200cm、直径165cmで3年ほどかけて作られたのだそうだ。釈尊の法が込められた法鼓の音は、地上の全ての生き物を救済するとされる。軍隊が陣を組んで太鼓の音を鳴らしながら前進し、敵軍を打ち破るように、法鼓の音は衆生の煩悩妄想と執着、欲を捨てさせるのだそうだ。

雲版は雲の形をした横130cm、縦90cmの青銅製の平板で、空の仙女像や雲、蓮の花などが彫刻してある。ばちで叩いて鳴らす音は、鳥など空の生き物を救済するとされている。

木魚は長さ400cm、胴周り約160cmで、如意珠を口にしている龍の頭と、鱗のある胴体に尾ひれが彫刻されている。中は空洞で、2本の棒で空洞内部を反響させて音を出す。日夜問わず目を閉じない魚のように日夜修行に精進せよという意味と、水中に棲む生き物を救済するという意味を持つそうだ。

この日は梵鐘閣にも燃燈がたくさん取り付けられていて2階部分はよく見えなかったが、범어사(梵魚寺=ポモサ)の鐘楼や불국사(仏国寺=プルグクサ)の梵鐘閣にあるものとほぼ同じだ。

この日は釈迦生誕日の法要式が行われていため、「大雄寶殿」 や 「止観殿」 の内部はよく見ることができなかった。また後日あらためて訪れることにして、三光寺を後にすることにした。

三光寺の梵鐘 11

途中、ちょうどこの燃燈(▼)の下の通路に沿って、ものすごく長い行列ができていた。

三光寺の梵鐘 11

何の行列だろうと思っていると、その列の中に見覚えのあるお顔が。近所のスーパーの店員さんだ。こんなにたくさんの人の中で出会うなんて、すごい偶然だ。その女性は熱心な信徒さんだそうで、普段から月に数回、この寺にお参りしているのだそう。

ついでに、何の行列かと聞いてみると、食堂で食事をするために並んでいる列なのだそう。「法華三昧堂」 の2階にある食堂で昼食がふるまわれているようだ。なるほど、それでこのすごい行列。

また、食事とは別にパンやジュースなどを配るテントもあった(▼)。

三光寺の梵鐘 11

以前、同じく釈迦生誕日に 「옥련선원(玉蓮禅院)」 を訪れたときには、無料でご飯やキムチ、海苔などを配っていたので、この日も無料で誰でももらえるのかと思ったら、そうではなかった。様子を見ていると、みな 「공양권(供養券)」 と書かれた紙と引き換えに、パンなどをもらっているのだった。

恐らく、燃燈を献燈した人に、その金額(供養金)に応じた枚数の供養券が渡されるようだ。どうりで、1人で両手に持ちきれないほどたくさんの袋(パン・ジュースなど)を持っている人がいたのだ。

つづく


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