2010年12月01日

アワビ入りサムゲタン

夫と音楽劇 「존 레논을 위하여 Dear John Lennon」 を観たあと、夕食を食べて帰ることにした。小劇場のある 「문화골목」 付近には飲食店がずらりと並んでおり、よりどりみどり。焼肉系、刺身系、居酒屋系などさまざまな店が並ぶ。そんな中から私たちがこの日選んだのは、鶏肉・鴨肉料理専門店の 「배내골토종옻닭전문점」 というお店。

一軒屋の住宅を店舗として使っているタイプのお店のようだ。店の入り口は、住宅の門のようになっている。店先に書かれたメニューの中の삼계탕(参鶏湯=サムゲタン)に惹かれて入ってみた。

門をくぐって細い通路を少し進むと、庭のような空間が目に入る。テーブルと椅子が何組か置かれ、日除けの天幕も張られている。気候がいい時期には、このテーブルで食事する客も多いのだろう。

店の入り口はガラス戸。中には店の主人らしきおばさんが一人座って、テレビに見入っている。他に客はいないようで、いかにもヒマそうだ。今は営業していないのだろうかと思い、営業しているのかどうかおばさんに確認したほどだ。おばさんは、「えぇ、えぇ、やってますよ。お客さんいなくてヒマだったから・・・」 と慌てて立ち上がり、部屋のオンドルのスイッチを入れてくれる。

さて、私が気になっていたのはサムゲタンはサムゲタンでも 「전복삼계탕」。アワビ入りのサムゲタンだ。普通のサムゲタンが10,000wであるのに対し、アワビ入りは15,000w。おいしいと噂に聞くアワビ入りのサムゲタンはまだ一度も食べたことがなく、いつか是非食べてみたいと思っていたので、私はアワビ入りを。夫は普通のサムゲタンを注文。

サムゲタン専門店へ行くとたいてい、釜の中ですでにじっくり煮込まれたスープや鶏がスタンバイしており、それが注文ごとに供されることが多いが、この店では注文を受けてから煮ているようだった。圧力釜のシュンシュンいう音が聞こえ、けっこう長い間待った。おなかが空いていたので、より長く感じたのかもしれない。

やがてようやく運ばれてきた。こちらがアワビ入りサムゲタン(▼)。その名の通り、貝殻つきのアワビが1つと海老がトッピングされている。米は鶏のおなかの中に詰めずに、別々に煮てあるタイプ。

アワビ入りサムゲタン

お味は・・・期待していたほどではなかったというのが正直なところ。まずスープにサムゲタン特有の旨味とコクがあまり感じられず、物足りない。圧力釜を使っているので鶏肉は充分柔らかく煮上がっているのだが、スープに充分エキスが溶け出していないという感じ。また、アワビや海老が使われているわりには、それらから出るダシもあまり感じられないのが残念だった。

こちらはプレーンなサムゲタン(▼)。

アワビ入りサムゲタン

付け合せのキムチ類(▼)。

アワビ入りサムゲタン

サムゲタンを注文するとたいていどの専門店でも出てくる高麗人参酒はついてこなかったし、そういえばサムゲタンの具にも、栗やナツメは入っていたが高麗人参は入っていなかった。

ところでこの店のメニューには 「옻삼계탕(漆サムゲタン=12,000w)」、「옻닭 (漆鶏肉=35,000w)」 など、漆という言葉がついているものもいくつかあった。「유황오리고기(硫黄を食べさせて育てた鴨の肉)」 のように、漆を食べさせて育てた鶏を使った料理かと思いきや、帰宅後調べてみると全く違った。

何と、漆の枝を長時間煮込んで出てきた樹液でできた茶色のスープに、まるごとの鶏肉を入れてさらに煮込んだものが、漆サムゲタンなのだそうだ。

皮膚に触れてもかぶれる漆の成分を飲むのだから、やはりアレルギー反応が出る人もいるのだそう。しかしこの店の漆サムゲタンは、食べてもかぶれない特許商品なのだそうだ。

もともと薬性と毒性を併せ持つ漆を、鶏と組み合わせると毒性の方が中和され、薬効だけ享受できるということだそうだ。漆の効果は大きく分けて二つあり、①冷え気味の体を温め、②汚れて滞り、動かない血の塊(お血=おけつ)を溶かして循環させる。またその他にも、二日酔いでつらいときの解毒効果もあるそうだ。

なるほど。普通のサムゲタンと漆のサムゲタンではスープが違うので、一つの釜でスープを大量に煮込んでおくことができず、そのため注文を受けるたびに圧力釜で煮て作っているのかもしれない。またこの店はきっと漆のサムゲタンの方がメインなのだろう。

機会があれば、その少し危険な香りのする(?)漆サムゲタンも、いつか食べてみたい。

アワビ入りサムゲタン

アワビ入りサムゲタン

배내골토종옻닭전문점
釜山市南区大淵3洞34-1
(051) 621-9333, 621-5391
営業時間:10:00~22:30


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