2013年03月20日

韓国のとんど焼き 1

今年の정월대보름(正月テボルム=旧暦1月15日・小正月)は2月24日だった。農耕社会だった韓国では、旧暦1月1日の설날(ソルラル=旧正月)からテボルムまでの15日間は休日として過ごし、テボルムを過ぎると再び農作業に従事するという生活が送られたそう。

テボルムの日には、人々はこれから本格的に始まる農繁期に向け準備をする一方で、1年間の無病息災を願った食事をしたり、様々な遊戯を行ったりしたそうだ。現代でもこうした風習は受け継がれ、毎年韓国各地でテボルムのイベントなどが行なわれる。

テボルムの朝には無病息災を願って、栗・くるみ・銀杏・落花生など殻の硬い木の実を食べる習慣がある。これらの木の実は부럼(プロム)と呼ばれ、木の実を噛み砕くカリッカリッという音で災難や鬼が逃げていくと言われているためだ。また 「プロム」 という言葉には腫れものやおできという意味もあり、これを食べることで1年間おできができないとも言われているそうだ。

釜山でも各地でイベントが行われた。広安里では15時くらいから수영야류(スヨンヤリュ・水営野遊)や、重要無形文化財の좌수영어방놀이(チャスヨンオバンノリ・左水営漁坊ノリ)、지신밟기(ジシン(地神)パッキ)などの伝統公演が行われていた。

メインイベントは、月が昇るころに合わせて行われる달집태우기(タルチッテウギ)。달집(タルチッ)とは 「月の家」、태우기(テウギ)は 「燃やすこと」。竹や松の枝、ワラなどを高く積み上げ、月が昇る東の方向に門を付けた 「タルチッ」 に火をつけるのだ。

旧暦1月15日の月(正確には満月ではないことも)は豊穣の象徴で、火があらゆる不正や邪悪を消してしまうという浄化の象徴でもある。豊かな新年、病気や心配事のない明るい新年を迎えたいという人々の願いが形となったものでもある。

タルチッが均等に燃えればその年は豊作、炎が途中で消えてしまえば凶作というように、タルチッの燃え方によって農作物の作柄を占うのだそうだ。

何となく日本の 「とんど焼き」 に似ていると思って調べてみると、まさしくほぼ同じもののようだ。日本では旧暦ではなく新暦の1月14日か15日に実施するところが多いようだが、内容的には細かい違いはあれどよく似ている。

タルチッは毎年、ビーチの民楽(ミルラッ)側の端に準備され、点火するのは今年は18時頃とのこと。17時過ぎに行ってみるとすでにかなりたくさんの人が集まっていた。今年はちょうど日曜日だったので例年より人出が多かったのかもしれない。

韓国のとんど焼き 1

タルチッの周りにはロープがぐるりと張りめぐらされている。点火するとかなりの勢いで燃え上がるので、タルチッに近寄りすぎると危険だからだ。見物客はそのロープに沿ってタルチッを遠巻きにするように立っていた。

韓国のとんど焼き 1

タルチッには月が昇る東の方向に門があり、その前には果物や豚の頭などが供えられている。お供え物の前では고사(コサ=告祀)が執り行われ、関係者や市民らが順に前に進み出てお参り(?)していた。祭官は水営(スヨン)区庁長。カラフルな帽子のようなものをかぶっている人たちは祭祀の進行に合わせて楽器を演奏していた。

韓国のとんど焼き 1

つづく


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