2013年01月22日
北朝鮮式マンドゥと安東カルグクシ
先日、夫がおいしいマンドゥが食べたいと言う。これまで釜山で食べたマンドゥの中でナンバーワンは、夫も私も水晶洞の 「명당만두」(ミョンダンマンドゥ)。焼きも蒸しもそれぞれにおいしく、店のおばさんも優しくていつも2個ぐらいおまけしてくれるのが嬉しい。
しかし、マンドゥを食べるためだけにわざわざ水晶洞まで出かけていくのも面倒だしと、夫が家の近所でおいしい店がないか調べてくれた。あった。おいしそうな店が。なんでも、北朝鮮の黄海道(ファンヘド)式のマンドゥと、慶尚北道・安東(アンドン)のカルグクスが有名な店だとか。
場所は、広安(クァンアン)駅から山側へ向かってしばらく歩いたところだそうで、散歩がてらのんびり歩いて行ってみた。アパートや住宅、食堂などが立ち並ぶ静かな道を歩いていく。荒嶺山(ファンニョンサン)・金連山(クムニョンサン)に向かう緩やかな上り坂だ。交通量の多いバス通りから少し離れるだけでこんなにも静かなのかと驚くほど、やけに静かだ。
店の目印は保育園。芝生の庭が印象的な 「정다운 어린이집」(チョンダウン オリニチッ)という保育園が右手に見えたら、その手前の細い道を右に曲がるとすぐだ。住宅を改造して店舗にした 「안동손칼국시」(アンドンソンカルグクシ)。칼국시(カルグクシ)とは、慶尚道や江原道などの方言で칼국수(カルグクス)のこと。

駅や大通りからも離れた、山のふもとのひっそりした住宅街にある店だが、予想外に大勢の客が入っていた。近所の常連さんもいるのだろう。中には、男女10人余り、全員が登山服姿という一団も。朝から山をひと登りしてきた帰りだろう。
店内は、住居を改造しただけあってとても家庭的な雰囲気。清潔そうな印象だ。店を切り盛りしているのは3姉妹で、その先代が現在の北朝鮮・黄海道出身なのだそうだ。
釜山には、朝鮮戦争(1950~1953)のとき、現在の北朝鮮も含めて各地から避難民が押し寄せてきて定着したため、北朝鮮式のマンドゥや冷麺などを出す店も珍しくない。広安里沿いにも 「지심정(チシムジョン=指尋停)」 という北朝鮮式のマンドゥチョンゴルを出す店がある。
さて、ここ 「안동손칼국시」(アンドンソンカルグクシ)では、黄海道式マンドゥ入りスープとおかずがセットになった황해도만두백반(ファンヘドマンドゥペッパン・6,000w)が人気のようだが、安東式カルグクシもどんなものか食べてみたくて、その両方が1つになった 「칼국시+만두」(カルグクシ+マンドゥ・6,000w)を注文した。注文を聞いてくれたのは3姉妹の一番下の妹さんと思われるまだ若めの女性。カルグクシとマンドゥの頭文字をとって 「칼만(カルマン)ですね~」 と。
メニューは他に、スープに入っていない黄海道式マンドゥ(6,000w)や安東カルグクシ(5,000w)、スジェビとマンドゥのセット(6,000w)、マンドゥチョンゴル(20,000w~30,000w)、ピンデトッ(8,000w)、パジョン(7,000w)など。夏限定のコングクスやヨルムグクス(いずれも6,000w)もある。
まずキムチ類が運ばれてきた。左上から白菜キムチ、カクトゥギ、水キムチ(▼)。左下はヤンニョムジャン。好みでカルグクスに入れて食べる。白菜キムチもカクトゥギも、全くと言っていいほど辛くない。子どもでも平気で食べられそうだ。キムチもカクトゥギも人気で、多くの客が次々にお代わりを頼んでいた。

こちらが安東カルグクシと黄海道式マンドゥが1つになった 「カルマン」(▼)。たっぷりの麺と大きなマンドゥが2個入っている。

安東カルグクスは、小麦粉に大豆粉を混ぜて生地を作ることや、一般的なカルグクスより麺がやや細めなこと、スープがあっさりしていることなどが特徴なのだそうだ。
その昔、製粉技術が現代ほど発達していなかった頃から、安東はカルグクス(カルグクシ)で有名だったそう。まだ小麦を分別する機械がなかった当時、屏風を広げたその上に韓紙(ハンジ)を敷き、その上に小麦をのせて扇で風を送り、表皮やゴミなどを飛ばして取り除くなどの工夫をしていたとか。

この店の名物、黄海道式マンドゥ(▼)。かなり大ぶりで一口ではとても入らない。

具は豚ミンチや豆腐、キムチ、野菜、タンミョン(デンプンで作ったコシのある乾麺)など。ジューシーでとてもおいしい。

麺も、見た目よりたっぷり入っていて、大きなマンドゥも2個入っているので、かなりおなかいっぱいになる。スープはあっさりしているがダシがしっかりきいていて後を引くおいしさだ。私たちはヤンニョムジャンを加えずにそのままいただいた。麺とキムチやカクトゥギの相性もバツグン。
黄海道マンドゥは先代が黄海道出身だからということだが、カルグクスはどうして安東カルグクシなのかは不明。店の人に聞いてみたかったが、客が次から次へと入ってきて忙しそうだったので、また次の機会にでも教えてもらおう。
1日の最低気温が零下となる日が続いていたため、玄関脇のたらいの水もガチガチに凍っていた(▼)。

안동손칼국시
釜山市水営区広安洞536-55
(051) 758-8166
営業時間:10:30~21:00
*地下鉄2号線広安駅2番出口を出てすぐの道を左(山側)へ。10分ほど歩いて右手に芝生の庭の保育園(▼)が見えたら、その手前の道を右へ、右手すぐ。

しかし、マンドゥを食べるためだけにわざわざ水晶洞まで出かけていくのも面倒だしと、夫が家の近所でおいしい店がないか調べてくれた。あった。おいしそうな店が。なんでも、北朝鮮の黄海道(ファンヘド)式のマンドゥと、慶尚北道・安東(アンドン)のカルグクスが有名な店だとか。
場所は、広安(クァンアン)駅から山側へ向かってしばらく歩いたところだそうで、散歩がてらのんびり歩いて行ってみた。アパートや住宅、食堂などが立ち並ぶ静かな道を歩いていく。荒嶺山(ファンニョンサン)・金連山(クムニョンサン)に向かう緩やかな上り坂だ。交通量の多いバス通りから少し離れるだけでこんなにも静かなのかと驚くほど、やけに静かだ。
店の目印は保育園。芝生の庭が印象的な 「정다운 어린이집」(チョンダウン オリニチッ)という保育園が右手に見えたら、その手前の細い道を右に曲がるとすぐだ。住宅を改造して店舗にした 「안동손칼국시」(アンドンソンカルグクシ)。칼국시(カルグクシ)とは、慶尚道や江原道などの方言で칼국수(カルグクス)のこと。
駅や大通りからも離れた、山のふもとのひっそりした住宅街にある店だが、予想外に大勢の客が入っていた。近所の常連さんもいるのだろう。中には、男女10人余り、全員が登山服姿という一団も。朝から山をひと登りしてきた帰りだろう。
店内は、住居を改造しただけあってとても家庭的な雰囲気。清潔そうな印象だ。店を切り盛りしているのは3姉妹で、その先代が現在の北朝鮮・黄海道出身なのだそうだ。
釜山には、朝鮮戦争(1950~1953)のとき、現在の北朝鮮も含めて各地から避難民が押し寄せてきて定着したため、北朝鮮式のマンドゥや冷麺などを出す店も珍しくない。広安里沿いにも 「지심정(チシムジョン=指尋停)」 という北朝鮮式のマンドゥチョンゴルを出す店がある。
さて、ここ 「안동손칼국시」(アンドンソンカルグクシ)では、黄海道式マンドゥ入りスープとおかずがセットになった황해도만두백반(ファンヘドマンドゥペッパン・6,000w)が人気のようだが、安東式カルグクシもどんなものか食べてみたくて、その両方が1つになった 「칼국시+만두」(カルグクシ+マンドゥ・6,000w)を注文した。注文を聞いてくれたのは3姉妹の一番下の妹さんと思われるまだ若めの女性。カルグクシとマンドゥの頭文字をとって 「칼만(カルマン)ですね~」 と。
メニューは他に、スープに入っていない黄海道式マンドゥ(6,000w)や安東カルグクシ(5,000w)、スジェビとマンドゥのセット(6,000w)、マンドゥチョンゴル(20,000w~30,000w)、ピンデトッ(8,000w)、パジョン(7,000w)など。夏限定のコングクスやヨルムグクス(いずれも6,000w)もある。
まずキムチ類が運ばれてきた。左上から白菜キムチ、カクトゥギ、水キムチ(▼)。左下はヤンニョムジャン。好みでカルグクスに入れて食べる。白菜キムチもカクトゥギも、全くと言っていいほど辛くない。子どもでも平気で食べられそうだ。キムチもカクトゥギも人気で、多くの客が次々にお代わりを頼んでいた。
こちらが安東カルグクシと黄海道式マンドゥが1つになった 「カルマン」(▼)。たっぷりの麺と大きなマンドゥが2個入っている。
安東カルグクスは、小麦粉に大豆粉を混ぜて生地を作ることや、一般的なカルグクスより麺がやや細めなこと、スープがあっさりしていることなどが特徴なのだそうだ。
その昔、製粉技術が現代ほど発達していなかった頃から、安東はカルグクス(カルグクシ)で有名だったそう。まだ小麦を分別する機械がなかった当時、屏風を広げたその上に韓紙(ハンジ)を敷き、その上に小麦をのせて扇で風を送り、表皮やゴミなどを飛ばして取り除くなどの工夫をしていたとか。
この店の名物、黄海道式マンドゥ(▼)。かなり大ぶりで一口ではとても入らない。
具は豚ミンチや豆腐、キムチ、野菜、タンミョン(デンプンで作ったコシのある乾麺)など。ジューシーでとてもおいしい。
麺も、見た目よりたっぷり入っていて、大きなマンドゥも2個入っているので、かなりおなかいっぱいになる。スープはあっさりしているがダシがしっかりきいていて後を引くおいしさだ。私たちはヤンニョムジャンを加えずにそのままいただいた。麺とキムチやカクトゥギの相性もバツグン。
黄海道マンドゥは先代が黄海道出身だからということだが、カルグクスはどうして安東カルグクシなのかは不明。店の人に聞いてみたかったが、客が次から次へと入ってきて忙しそうだったので、また次の機会にでも教えてもらおう。
1日の最低気温が零下となる日が続いていたため、玄関脇のたらいの水もガチガチに凍っていた(▼)。
안동손칼국시
釜山市水営区広安洞536-55
(051) 758-8166
営業時間:10:30~21:00
*地下鉄2号線広安駅2番出口を出てすぐの道を左(山側)へ。10分ほど歩いて右手に芝生の庭の保育園(▼)が見えたら、その手前の道を右へ、右手すぐ。
Posted by dilbelau at 08:53│Comments(0)
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