2011年11月10日

韓国高3生 「運命の日」 1

今日11月10日は、韓国中の大学進学を目指す高校3年生にとって、今後の人生を左右するとまで言われる重要な試験 「대학수학능력시험(大学修学能力試験)」(略して수능=スヌン)の日。韓国の大学進学率は実に80%を超えている。韓国のほとんどの高校生にとって、いわば 「運命の日」。毎年11月中の木曜日に行われる。

スヌンは日本のセンター試験と同じ大学共通入試だが、韓国の場合、国公私立を問わず4年制大学の志願者は全員この試験を受けなければならない。もちろんスヌンの結果だけで大学が決まるわけではない。内申書なども考慮されるし、2次試験を課す大学もある。しかしそのほとんどは面接や小論文程度のものなので、事実上スヌンの結果が一番大きく響いてくるということになる。

さらに、どういう大学に進学するかによって、大学卒業後どういう企業に就職できるかということにも影響してくるため、まさにスヌンの結果次第で人生が決まるとまで言われている。今年のスヌン受験者は72万人を超えたそう。日本のセンター試験の受験者は、昨年度で約56万人。人口の差を考えてもいかにスヌン受験者が多いかが分かる。

これだけ重要な試験なので、受験生は文字通り必死だ。発覚すれば厳しい処罰が待っている(悪質な不正を行った者には翌年のスヌンの受験資格も与えられないなど)のが分かっていても、不正を行う学生もいる。それも毎年増えているそうだ。また悲しいことに、スヌンの結果が思わしくなかったことを悲観して、自殺する学生もいる。

このように 「人生を決める」 大切な試験の日なので、韓国では国家を挙げて受験生が滞りなく試験を受けられるよう、全力で試験に取り組めるよう配慮する。

まず、交通渋滞に巻き込まれて試験開始時間に遅刻することがないよう、始業時間を1時間遅らせる企業も少なくない。万一、受験生が遅刻しそうになった場合、パトカーや白バイで受験生を試験会場まで 「緊急輸送」 する。(▼写真は 「NEWS is. ( )」 より)

韓国高3生 「運命の日」 1

さらに、英語の聞き取りのさまたげになる恐れがあるため、聞き取りの試験が行われる時間帯には、飛行機の離発着も制限される。今回は8:35~8:58の23分間と、1:05~1:35の30分間がその時間に該当。全国1,206の試験会場周辺では離発着が禁止され、飛行中の航空機は管制塔の指示のもと、地上3km以上の上空で待機という対応だった。そのため88便の運航に、運行時間の変更などの影響が出た。

また受験生が必死なら、家族、特に母親も必死だ。風邪を引かせないように気を使い、栄養のある食事を用意し、お寺では100日間祈祷を行う。最近では教会でもそのようなお祈りをするようになっているそうだ。スヌン当日も、試験会場前で祈り続ける母親もいる。(▼写真は上から 「연합뉴스」、「NEWS is. ( )」 より)

韓国高3生 「運命の日」 1

韓国高3生 「運命の日」 1

テレビのニュースでも、「普段はコンタクトレンズを使っている受験生も、スヌン当日は目の疲れ防止のため眼鏡にした方がよろしい」 などというアドバイスを、他のニュースと同等レベルの扱いで報道していた。

天気予報では何日も前から、試験当日の天気や気温を予想していただけでなく、当日会場へ着ていく服装のアドバイス、果ては試験前日には 「今日は23時に就寝し、明日は6時30分に起床するのがよいでしょう」 などと。ちょっとやり過ぎではないかと思えるほどだ。

いやはや。まさに国家の一大事だ。毎年その様子を見ているが、毎回 「すごいなー」 と驚かされる。

つづく


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