2010年04月30日

'10.4.30(金)お好み焼きの歌

先日、大学の日本語学部のある授業のお手伝いに参加した。韓国人大学生は日々日本語を勉強していながらも、学校の先生以外の日本人とは、日常ほとんど話す機会がないというのが現状だという。

せっかく学んでいる日本語を使って日本人と直接会話し、また日本文化にも触れてみようという趣旨で、授業に日本人を招いて行なう授業が計画されているのだ。授業の後には、その日体験したことなどを日本語で作文にする、ということも授業の目的の一つ。

先日参加したときには、浴衣の着付けをお手伝いしたが、昨日は ”お好み焼き体験” のお手伝い。
担当の先生が材料や道具を準備してきてくださるので、私は材料や焼き方を説明し実際に焼いてみせ、学生さんたちにも焼いてみてもらい、試食も・・・というもの。

学生さんたちは事前に各グループに分かれて、それぞれが選んだテーマについて調べ、クラス全体の前で調べた内容を発表する、ということもすでに済ませているとのこと。

私が担当したお好み焼きのグループ4名の女子学生さんたちも、お好み焼きについて事前にいろいろ調べたようだ。その上で、疑問に感じたことを私に質問する。

「お好み焼きはだいたいどこで食べますか?」
「1枚いくらぐらいですか?」
「お好み焼きを食べるときは、ご飯も一緒に食べますか?」
「広島焼きは焼きそばが入っているのが特徴のようですが、大阪のお好み焼きはどうですか?」
「もんじゃ焼きは、大阪でも食べられますか?」

などなど、さまざまな質問を積極的に投げかけてくる。

韓国では、たこ焼きの屋台や店はあちこちで見かけるようになってきたが、お好み焼きの店は見かけない。”デパ地下” のフードコートや、居酒屋のメニューの一つとして書かれているのを見かける程度だ。

彼女たちによると、「韓国でお好み焼きといえば、居酒屋の ”안주(酒のつまみ)” として食べるのが普通。だが、値段が1枚15,000ウォンなどと高いため、食べられない」 のだそうだ。

日本でも、お好み焼きを食べながらビールを飲むことはあるが、日本人の感覚ではお好み焼きは ”酒のつまみ” ではなく ”食事” であること。また、最近は高級食材を使った値段の高いお好み焼きもあるが、本来お好み焼きは庶民の安い食べ物であること、などを説明すると、へぇ~と驚いていた。

また、「韓国では 『雨が降るとチヂミ(やパジョン)が食べたくなる』 とよく言われますが、日本のお好み焼きにも 『こんなとき、お好み焼きが食べたくなる』 というようなものはありますか?」 という質問も。

雨の日にチヂミやパジョンが食べたくなるというのは、雨の降る音とチヂミなどを焼く音が似ているため、雨の音を聞くとチヂミやパジョンを連想して食べたくなる、というものだ。

はて・・・お好み焼きがいつ食べたくなるかと言われると・・・。

”何がどうだからお好み焼きを連想して食べたくなる”、というようなものはないと答えると、「じゃあ、歌はどうですか?お好み焼きに関係する歌はありますか?」 ときた。

歌?!

お好み焼きの歌・・・、あったっけ・・・??? と記憶を総動員して考えてみたが、やはり思いつかない。大阪人の私が思い浮かばないのだから、多分そういう歌はないと思うと説明すると、「韓国にはこんな歌があるんです」 と紹介してくれた。

”돈 없으면 집에 가서 빈대떡이나 부쳐 먹지”
日本語に直訳すると、”お金がないなら、家に帰ってピンデトッでも焼いて食べよう” だ。

빈대떡(ピンデトッ)というのは、緑豆を水でふやかして臼で挽き、豚肉やネギ・モヤシなどを混ぜ込んで焼く、お好み焼きのようなもの。もともと北朝鮮で始まった料理と言われ、釜山など南部地方よりはソウルなど北部地方での方が、よく食べられるのだそうだ。

歌ってみて欲しいと言う私に、即興の振り付けまでつけながら明るく歌ってくれた学生さん。

”돈 없으면~♪ 집에 가서~♪ 빈대떡이나 부쳐 먹지 ♪♪ ”

あんな話やこんな話など楽しくおしゃべりしながら、お好み焼きは順調に焼けていく。

10.4.30(金)お好み焼きの歌

最初に私が焼き方を説明し、一度焼いて見せただけなのに、彼女たちは自炊しているからだろうか、すぐに要領を覚えて手つきもよく上手にどんどん焼いていく。ひっくり返すときも、ヘラ1本だけ使い片手で器用にひっくり返す。お見事。

10.4.30(金)お好み焼きの歌

しかし、どうしてもチヂミを焼くときの習慣で、お好み焼きも上からギューギュー押してしまいそうになるのだ。

「お好み焼きはどうして押したらいけないんですか?」 と聞かれた私が、中をふっくら焼き上げるためだと説明すると、その時は 「へぇ~、そうですか」 と納得するようなのだが、いざ焼いているとそのことを忘れて、ついクセでギューギュー押したくなるとのこと。

逆に私が、どうしてチヂミはギューギュー押して焼くのかと尋ねると、一言 「早く焼けるようにです」。ここにも韓国人の ”빨리 빨리(早く、早く)” が (^^)

私もお好み焼きを試食させてもらい、楽しくおいしい時間となった。


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