Busan nikki 1 (2008～2013)

先日、大学の日本語学部のゲスト授業に、再び日本人ゲストとして参加した。この日一緒に活動したメンバーは、ソウルの西方にある京畿道の강화도（江華島）のことについて、いろいろと紹介してくれた。

江華島の位置や面積、歴史的建造物、特産物、釜山からの交通手段など、写真やイラストを使った資料を準備してきてくれており、江華島に対する興味がわくものだった。

江華島といえば4年ほど前に、当時の職場からの職員旅行でソウルへ行った際、一度だけバスで訪れたことがあった。道中のバス車窓から見えた、川沿いに設置された延々と続く鉄条網がとても印象的で、分断の事実を生々しく見せつけられた感じがしたのを覚えている。

江華島ではあるお寺に案内してもらった記憶があったのだが、それがこの学生さんたちが紹介してくれた 「전등사（伝燈寺）」 だったようだ。韓国でもっとも古いとされている寺だそうで、境内には中国から運ばれたという梵鐘が2つ、保存されているそうだ。

また、先史時代のものとされる고인돌（コインドル＝支石墓）や、そのコインドルのドルメン博物館もあり、史跡が数多く残されているところのようだ。

特産物として、6年ものの朝鮮人参、밴댕이（ベンデンイ）というニシン科の魚、カブを使ったキムチなどいろいろあるそうだ。特に朝鮮人参は6年ものというのは珍重され、その産地として江華島がとても有名なのだそうだ。

そういえば4年前に江華島を訪れたとき、黒い覆い（日除け）がしてある畑がたくさんあり、それが朝鮮人参を栽培している畑なのだと教えてもらったことを思い出した。また朝鮮人参を使った、人参マッコルリも有名なのだそうだ。

ベンデンイという魚は江華島近海でよくとれるそうで、身が大変柔らかく、刺身でもよし、焼いてもよし、他の材料とともにキムチにしてもよしと、とにかくとてもおいしいのだそうだ。





釜山では、私は見かけたこともその名前を聞いたこともなかった。釜山でも店によってはあることはあるのだそうだが、江華道で食べるより高いし、味も落ちるとのこと。

グループの中に江華道出身の学生さんがいて、このベンデンイのおいしさを熱く語ってくれた。ベンデンイはたいていコース料理で食べることが多く、中でも焼き魚はその香ばしさが逸品で、それを食べるともうほかのものを食べられなくなるほどおいしいため、コースの最後に出てくるのだそうだ。

この魚、日本語では何と言うのだろうかとその学名から調べてみると、どうやら 「ママカリ（飯借り）」 の別名を持つ 「サッパ」 という魚のことらしい。



4年前に江華島を訪れたときには、その後韓国で暮らすことになるなど想像さえしていなかったし、韓国に対する興味や関心もあまり持っていなかった。ハングルを読むことすらできなかった。

だが、今なら江華島の様子が、4年前当時とは違ったふうに私の目に映るだろうと思う。是非また歴史の島・江華島を訪れ、そして ”言葉を失うぐらいおいしい” と言うそのベンデンイも一度味わってみたい。