2012年04月07日

方言はNG?!

「La lieto」 でおいしいパスタをいただき、そばの부경(釜慶=プギョン)大学キャンパスを通って帰ることにした。釜慶大学は 「開かれた大学」 を目指して、数年前、大学の敷地を取り囲んでいたコンクリート塀を大々的に撤去した。

コンクリートの塀があるのとないのとでは、想像以上に雰囲気が違う。塀がなくなったおかげで、大学だけでなく周辺も広々と明るい雰囲気がするようになり、「閉鎖された空間」 ではなく 「誰にでもオープンな空間」 になった。効果は劇的で、それ以来キャンパス内を散歩する家族づれの姿などもよく見かけるようになった。

さて、キャンパス内の言語教育院の建物の壁に、韓国語を学ぶ外国人向けの垂れ幕と並んで、「標準語駆使能力向上過程 募集」 という垂れ幕があった。無料と大きく書いてある。

方言はNG?!

標準語駆使能力向上過程」 は、同大学で2011年9月に第1期過程が開かれた講座だ。続いて11月はじめに第2期の募集をしたところ、募集当日に申込者が定員の36人に達したという。

釜山や慶尚道の사투리(サトゥリ=方言)が面接で不利になるのではないかという不安から、就職活動を控えた学生が集まったそうだ。講義は正確な発音・発声のための腹式呼吸の練習から始まる。

この過程が開かれた当時、釜山日報の論説委員の意見が同紙に紹介されており、以下の内容が印象的だった。
*****

方言はその地域のアイデンティティ確立と、切っても切れない関係にある。方言を捨てなければいい会社に就職できないと教えている現実がやるせない。方言に込められた自分の出身や過去まで否定しなければ、いい職場に入れないと教える現状が若者をさらに萎縮させる。

*****

まったくもって同感だ。その独特の発音やイントネーションのため、ソウルの人が釜山に引っ越してくると人々の言葉が怖いと感じる、とも言われる釜山の方言。確かに、港街独特の荒っぽさはあるが、4年間どっぷり釜山の方言に浸かってきた私にとっては、非常に愛着のある言葉だ。大阪弁ともよく似ており、大阪出身の私にはなおさら親近感が感じられる。

釜山であれどこであれ、その地域、ひいては自身のアイデンティティにもつながる方言を、否定することなく堂々と使ってほしい。言葉まで中央一極になってしまっては面白くないし、不自然極まりない。


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