2010年09月24日
厳粛にチャレが始まる
つづき
さて、準備も整ったところで、いよいよ차례(茶礼=チャレ)の儀式が執り行われる。子供部屋で遊んでいた子供たちも、お母さんに言われた通り、手を洗って靴下を履いて儀式が行われる部屋に出てくる。(この子供たちは私たちが家に上がったとき、目上の人に対する挨拶(큰절)を丁寧にしてくれたのだった。)
部屋に屏風が置かれ、床には敷物が敷かれる。屏風の前に、お母さまや奥さまが準備されたお供えのお膳(차례상=茶礼膳)が整えられる。このとき私たちの目を引いたのは、お膳を整えるのは全て男性だということだ。
お供えの食べ物を調理するのは女性(お母さまや奥さま)であるのに対し、用意されたその食べ物をお膳の上に決められた通りに並べたり整えたりするのは、全て男性(叔父さまや叔父さまの叔父さま、叔父さまの弟さん)なのだ。
ご先祖の霊(?)に直接関わるような作業は、全て男性が行うのだろう。女性と男性の役割分担が、実にくっきり明確に分けられているのが印象的だった。こちら(▼)が整えられた차례상(茶礼膳)。韓国語の教科書などで写真は見たことがあったが、実際に自分の目で見るのは初めてだ。

お供えする食べ物の種類、それらを並べる順序や配置なども地域によって差はあるが、だいたい決まっているそうだ。お供えする食べ物(特に果物や魚など)は、その地域でよく出回る材料を使うので地域によって違いがあるが、例外としてナツメ・栗・梨の3つは、どの地域でも必ずお供えしなければならないのだそうだ。
お膳の奥(屏風のすぐ手前)には、叔父さまのお父さまや祖父母など亡くなった方のお名前が書かれた 「신위(神位)」 が配置されている。日本のお位牌のようなものだが、日本のものと違うところは、名前が書かれているのが半紙のような紙であることだ。「지방(紙榜)」 と呼ばれるこの紙は、チャレが儀式が終わったとき、その場で燃やしていたことにも驚いた。
「지방(紙榜)」 に書かれているのは、ハングルではなく全て漢字。生前のお名前や、官職についていたかどうかなどによって、書き方が決まっているそうだ。
また、今回はお父さまや祖父母など4名の 「신위(神位)」 に対して儀式を行っていたので、お膳の上にはこれらの食べ物の他に、熱々のご飯・汁物・お酒もそれぞれ4人分お供えされる。スプーンとお箸も4組だ。
まず、お膳の手前にある器に線香を立てて、儀式が始まる。
叔父さまや叔父さまの叔父さま、叔父さまの弟さんの3人の男性が最前列に並び、お母さまや奥さま、子供たちはその後ろに立ち、まずみんなそろって、おでこを床につけるほど深々とする最も丁寧なお辞儀(큰절)を3回ほど行う。
そしてお酒を4つ(4人分)の器に注ぐのだが、いきなり注ぐのではなく、まずほんの少しのお酒を器に入れて器を清め、そのお酒は器受けに捨て、あらためてご先祖さまに飲んでいただくお酒を器に注ぐ。
その後、ご飯の入っている器のフタを開け、ご飯にスプーンを突き立てるようにする。お箸は4組揃えて先を台に軽く打ちつけるようにトントンと音を鳴らす。ご先祖さまに、どうぞ用意した食事を召し上がってくださいという合図だろうか。
そうして、ご先祖さまがお供えした食事を食べられるように準備すると、今度は全員ではなく叔父さんなど3人の男性のみ、再び深々とお辞儀をする姿勢をとる。そのまま動かずにじっとしていること数分。
ご先祖さまが食事されている間、そばで控えているのだ。家によっては、お膳の周りを屏風でぐるりと囲み、その中でご先祖さまが食事をするのを、家族一同は屏風の外で控えるというところもあるそうだ。ご先祖のお食事の時間は、長い家では20分ほどもとるそうだ。
実際にその場にご先祖さまがいらっしゃるかのようにしているのが、とても印象的だった。
そして、ご先祖さまがそろそろお食事を終えたころを見計らって、今度は숭늉(スンニュン)がお膳に運ばれてくる。実際に私たちが食後にいただく、おこげにお湯を注いだ飲み物だ。スンニュンが運ばれると、先ほどまでご飯に突き立てていたスプーンを抜き、ご飯を3口分ほどスンニュンの中に入れる。
これで食事が終了というわけだ。
最後に、お父さまや祖父母のお名前が書かれた 「지방(紙榜)」 を、「신위판(神位板)」 (木製の箱のようなもの)の中から取り出して火をつけ、先ほど線香を立ててた容器の上で灰にしてフタをする。
すると、また叔父さまたち3人の男性が、お膳を台所の方に下げていく。女性の役割は、お膳の食べ物を準備するところまで。そのお膳をお供えするところから、茶礼(チャレ)の儀式を執り行い、お膳をお下げするところまでは、男性の役割。はっきり分かれている。
つづく
さて、準備も整ったところで、いよいよ차례(茶礼=チャレ)の儀式が執り行われる。子供部屋で遊んでいた子供たちも、お母さんに言われた通り、手を洗って靴下を履いて儀式が行われる部屋に出てくる。(この子供たちは私たちが家に上がったとき、目上の人に対する挨拶(큰절)を丁寧にしてくれたのだった。)
部屋に屏風が置かれ、床には敷物が敷かれる。屏風の前に、お母さまや奥さまが準備されたお供えのお膳(차례상=茶礼膳)が整えられる。このとき私たちの目を引いたのは、お膳を整えるのは全て男性だということだ。
お供えの食べ物を調理するのは女性(お母さまや奥さま)であるのに対し、用意されたその食べ物をお膳の上に決められた通りに並べたり整えたりするのは、全て男性(叔父さまや叔父さまの叔父さま、叔父さまの弟さん)なのだ。
ご先祖の霊(?)に直接関わるような作業は、全て男性が行うのだろう。女性と男性の役割分担が、実にくっきり明確に分けられているのが印象的だった。こちら(▼)が整えられた차례상(茶礼膳)。韓国語の教科書などで写真は見たことがあったが、実際に自分の目で見るのは初めてだ。
お供えする食べ物の種類、それらを並べる順序や配置なども地域によって差はあるが、だいたい決まっているそうだ。お供えする食べ物(特に果物や魚など)は、その地域でよく出回る材料を使うので地域によって違いがあるが、例外としてナツメ・栗・梨の3つは、どの地域でも必ずお供えしなければならないのだそうだ。
お膳の奥(屏風のすぐ手前)には、叔父さまのお父さまや祖父母など亡くなった方のお名前が書かれた 「신위(神位)」 が配置されている。日本のお位牌のようなものだが、日本のものと違うところは、名前が書かれているのが半紙のような紙であることだ。「지방(紙榜)」 と呼ばれるこの紙は、チャレが儀式が終わったとき、その場で燃やしていたことにも驚いた。
「지방(紙榜)」 に書かれているのは、ハングルではなく全て漢字。生前のお名前や、官職についていたかどうかなどによって、書き方が決まっているそうだ。
また、今回はお父さまや祖父母など4名の 「신위(神位)」 に対して儀式を行っていたので、お膳の上にはこれらの食べ物の他に、熱々のご飯・汁物・お酒もそれぞれ4人分お供えされる。スプーンとお箸も4組だ。
まず、お膳の手前にある器に線香を立てて、儀式が始まる。
叔父さまや叔父さまの叔父さま、叔父さまの弟さんの3人の男性が最前列に並び、お母さまや奥さま、子供たちはその後ろに立ち、まずみんなそろって、おでこを床につけるほど深々とする最も丁寧なお辞儀(큰절)を3回ほど行う。
そしてお酒を4つ(4人分)の器に注ぐのだが、いきなり注ぐのではなく、まずほんの少しのお酒を器に入れて器を清め、そのお酒は器受けに捨て、あらためてご先祖さまに飲んでいただくお酒を器に注ぐ。
その後、ご飯の入っている器のフタを開け、ご飯にスプーンを突き立てるようにする。お箸は4組揃えて先を台に軽く打ちつけるようにトントンと音を鳴らす。ご先祖さまに、どうぞ用意した食事を召し上がってくださいという合図だろうか。
そうして、ご先祖さまがお供えした食事を食べられるように準備すると、今度は全員ではなく叔父さんなど3人の男性のみ、再び深々とお辞儀をする姿勢をとる。そのまま動かずにじっとしていること数分。
ご先祖さまが食事されている間、そばで控えているのだ。家によっては、お膳の周りを屏風でぐるりと囲み、その中でご先祖さまが食事をするのを、家族一同は屏風の外で控えるというところもあるそうだ。ご先祖のお食事の時間は、長い家では20分ほどもとるそうだ。
実際にその場にご先祖さまがいらっしゃるかのようにしているのが、とても印象的だった。
そして、ご先祖さまがそろそろお食事を終えたころを見計らって、今度は숭늉(スンニュン)がお膳に運ばれてくる。実際に私たちが食後にいただく、おこげにお湯を注いだ飲み物だ。スンニュンが運ばれると、先ほどまでご飯に突き立てていたスプーンを抜き、ご飯を3口分ほどスンニュンの中に入れる。
これで食事が終了というわけだ。
最後に、お父さまや祖父母のお名前が書かれた 「지방(紙榜)」 を、「신위판(神位板)」 (木製の箱のようなもの)の中から取り出して火をつけ、先ほど線香を立ててた容器の上で灰にしてフタをする。
すると、また叔父さまたち3人の男性が、お膳を台所の方に下げていく。女性の役割は、お膳の食べ物を準備するところまで。そのお膳をお供えするところから、茶礼(チャレ)の儀式を執り行い、お膳をお下げするところまでは、男性の役割。はっきり分かれている。
つづく
Posted by dilbelau at 21:32│Comments(0)
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