2010年09月24日
韓国伝統行事 「차례(茶礼)」 初体験
陰暦の8月15日(今年は9月22日)は、韓国では추석(秋夕=チュソク)と呼ばれ、故郷へ戻ってお墓参りをしたり先祖供養の行事を執り行ったりする日だ。・・・ということは知識として知ってはいるが、各家庭で行われる行事がどのようなものか、実際には見たことがない。
誰でも参加できるお祭りなどとは違い、各家庭や一族ごとに行われる個人的な行事であり、また先祖を敬う厳粛な行事でもあることから、普通、外国人である私たちが見る機会はまずない。
それでも一度実際に見てみたいと思っていたところ、夫の教え子の一人から、チュソク当日に彼女の叔父さまの家で行う行事に参加してみませんかと、夫が声をかけてもらったそうだ。
お言葉に甘えて、2人でおじゃまさせてもらうことにした。
22日当日は、天気予報どおりあいにくの雨。しかし、ソウル地方を襲った大変な集中豪雨に比べたら、うんとマシだ。ソウル地方では、床上浸水した家が続出、道路もあちこちで冠水。ちょうどチュソクの時期と重なったこともあり、交通も大渋滞するなど大変なことになっていたようだ。
待ち合わせ場所には、教え子さんと彼女のお母さまが出迎えに来てくださっていた。早速、行事が行われる叔父さまの家へと向かう。
何しろこういう行事に参加させてもらうのは2人とも初めてなので、どういう服装で行けばよいのか、手土産はどんなものがよいのか、行事が行われている間どういうふうに振舞えばいいのか、などなど分からないことばかり。少々ドキドキしていたが、そんな心配を吹き飛ばすように、叔父さま宅に集まっていらっしゃった親戚の方たちは、温かく私たちを迎えてくださった。
この日行われた行事は 「차례(茶礼=チャレ)」 と呼ばれるもので、陰暦の元旦やチュソクなどに、その家の先祖代々に感謝の気持ちを持って執り行われる祭祀の一つ。一方、「제사(祭祀=チェサ)」 と呼ばれるものは、日本でいう一周忌、三回忌などのいわゆる法事。先祖代々ではなく、特定の方の命日にその方を偲んで行われるものだ。チェサの儀式では、「축(祝)」 という祝詞を読み上げるのだそうだ(ただ読むのではなく、独特の節回しで)。
韓国では普通、両親、祖父母、曽祖父母、高祖父母まで、毎年4代の方のそれぞれの命日にチェサを執り行うのだそうだ。2人ずつ4代なので、多い家では合計8人の命日それぞれの日にチェサを行うことになる。この叔父さん宅では、現在該当するのが4名の方だそうで、4名の方の命日にチェサを行っているのだそうだ。
ただ、1年に8回ものチェサとなると、(それ以外にもチャレなどの行事もある)あまりに負担が大きいということから、1つの月に2人以上の命日がある場合は、その月に命日のある方のチェサをまとめて1回で執り行うことも、最近では増えてきているそうだ。
また、朝鮮戦争で戦死したなど、正確な命日が分からない人の場合は、みな9月9日に執り行うと決まっているのだそうだ。9月9日は、陰陽道では1年のうちで陽の気が最も極まる、大変縁起の良い日だからだそうだ。
今回私たちが参加させてもらったのは、日中に行われる茶礼(チャ)レ。ただ、この日はたまたま翌日がおばあさまの命日ということで、この日の夜中0時からおばあさまの祭祀(チェサ)も行うのだそうだ。
たいてい命日のチェサは0時から行うそうなのだが、最近では21時から行う場合も増えてきているとか。昔の田舎の農家などならば ”朝何時に出勤しなければならない” というものはなかったので、0時からチェサを行った翌朝はいつもより少し遅くから働き始める、ということも可能だったが、現代ではそうもいかない。
0時からチェサを行うと翌朝会社へ出勤するのに支障が出るということで、現代の生活に合うようにチェサの方法も多少変化させているのだそうだ。
また、昔は ”帰省してお墓参り” というのが当たり前だったが、今は帰省ラッシュで特に道路の渋滞がひどいため、都会から田舎に帰省する代わりに、田舎に住んでいる両親や祖父母に都会まで来てもらい、都会でチャレを行うという家庭も増えてきているそうだ。
伝統は伝統として守りつつも、現代の生活に合うように少しずつ変化させているのだそうだ。

つづく
誰でも参加できるお祭りなどとは違い、各家庭や一族ごとに行われる個人的な行事であり、また先祖を敬う厳粛な行事でもあることから、普通、外国人である私たちが見る機会はまずない。
それでも一度実際に見てみたいと思っていたところ、夫の教え子の一人から、チュソク当日に彼女の叔父さまの家で行う行事に参加してみませんかと、夫が声をかけてもらったそうだ。
お言葉に甘えて、2人でおじゃまさせてもらうことにした。
22日当日は、天気予報どおりあいにくの雨。しかし、ソウル地方を襲った大変な集中豪雨に比べたら、うんとマシだ。ソウル地方では、床上浸水した家が続出、道路もあちこちで冠水。ちょうどチュソクの時期と重なったこともあり、交通も大渋滞するなど大変なことになっていたようだ。
待ち合わせ場所には、教え子さんと彼女のお母さまが出迎えに来てくださっていた。早速、行事が行われる叔父さまの家へと向かう。
何しろこういう行事に参加させてもらうのは2人とも初めてなので、どういう服装で行けばよいのか、手土産はどんなものがよいのか、行事が行われている間どういうふうに振舞えばいいのか、などなど分からないことばかり。少々ドキドキしていたが、そんな心配を吹き飛ばすように、叔父さま宅に集まっていらっしゃった親戚の方たちは、温かく私たちを迎えてくださった。
この日行われた行事は 「차례(茶礼=チャレ)」 と呼ばれるもので、陰暦の元旦やチュソクなどに、その家の先祖代々に感謝の気持ちを持って執り行われる祭祀の一つ。一方、「제사(祭祀=チェサ)」 と呼ばれるものは、日本でいう一周忌、三回忌などのいわゆる法事。先祖代々ではなく、特定の方の命日にその方を偲んで行われるものだ。チェサの儀式では、「축(祝)」 という祝詞を読み上げるのだそうだ(ただ読むのではなく、独特の節回しで)。
韓国では普通、両親、祖父母、曽祖父母、高祖父母まで、毎年4代の方のそれぞれの命日にチェサを執り行うのだそうだ。2人ずつ4代なので、多い家では合計8人の命日それぞれの日にチェサを行うことになる。この叔父さん宅では、現在該当するのが4名の方だそうで、4名の方の命日にチェサを行っているのだそうだ。
ただ、1年に8回ものチェサとなると、(それ以外にもチャレなどの行事もある)あまりに負担が大きいということから、1つの月に2人以上の命日がある場合は、その月に命日のある方のチェサをまとめて1回で執り行うことも、最近では増えてきているそうだ。
また、朝鮮戦争で戦死したなど、正確な命日が分からない人の場合は、みな9月9日に執り行うと決まっているのだそうだ。9月9日は、陰陽道では1年のうちで陽の気が最も極まる、大変縁起の良い日だからだそうだ。
今回私たちが参加させてもらったのは、日中に行われる茶礼(チャ)レ。ただ、この日はたまたま翌日がおばあさまの命日ということで、この日の夜中0時からおばあさまの祭祀(チェサ)も行うのだそうだ。
たいてい命日のチェサは0時から行うそうなのだが、最近では21時から行う場合も増えてきているとか。昔の田舎の農家などならば ”朝何時に出勤しなければならない” というものはなかったので、0時からチェサを行った翌朝はいつもより少し遅くから働き始める、ということも可能だったが、現代ではそうもいかない。
0時からチェサを行うと翌朝会社へ出勤するのに支障が出るということで、現代の生活に合うようにチェサの方法も多少変化させているのだそうだ。
また、昔は ”帰省してお墓参り” というのが当たり前だったが、今は帰省ラッシュで特に道路の渋滞がひどいため、都会から田舎に帰省する代わりに、田舎に住んでいる両親や祖父母に都会まで来てもらい、都会でチャレを行うという家庭も増えてきているそうだ。
伝統は伝統として守りつつも、現代の生活に合うように少しずつ変化させているのだそうだ。

つづく
Posted by dilbelau at 09:15│Comments(0)
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