2013年01月14日

『ピエタ』

昨年12月28日~31日、釜山市民会館で 「年末特集 映画上映会」 が開かれた。映画を見て、よい年を迎えてくださいという趣向で、『ピエタ』・『サニー 永遠の仲間たち』・『おおかみこどもの雨と雪』(細田守監督)の3作が上映された。

『ピエタ』 と 『おおかみ-』 は大人3,000w。当初、『光海、王になった男』 も上映予定だったが、一般映画館での上映期間が延長されたためこの上映会では上映できなくなり、急遽、代替作品として 『サニー』 を無料で上映することになった。

3,000wという手頃な値段なので(韓国はもともと安いが)、見そびれていたキム・ギドク監督の話題作 『ピエタ』 を夫と見に行った。観客は百数十人いただろうか。

『ピエタ』

昨年、ベニス映画祭で金獅子賞を受賞した 『ピエタ』。だいたいのあらすじや、見た人の反応も少々見聞きしていたが、想像以上の映画だった。

「ここまでとは・・・」 という感じ。見ていて心理的にまいってくるほど容赦ない。

カンドが “母親” に 「お金って何かな」 と尋ね、“母親” がセーターを編む手を一瞬止めて 「全ての始まりで全ての終わりよ」 と答える場面は、映画全体を象徴しているようでとても印象に残った。

映画の舞台となった清渓川(チョンゲチョン)付近は、キム・ギドク監督自らも若い頃に苦労した場所だと聞く。金を持つ者と持たざる者、韓国でも問題になっている格差社会に対する監督の思いが色濃く感じられた作品だった。そして特に “母親” 役のチョ・ミンスをはじめ、役者陣の演技も素晴らしかった。

映画が終わると時間の関係上か、エンドロールの途中で映像がぶちっと切られて会場の照明がついた。早く出てくださいと言わんばかりに。余韻に浸る間もなく。もっとも余韻といっても非常に重たい余韻なので、あまり浸らない方が楽かもしれないが・・・。

映画のあまりの重さに、席を立って出て行く観客は皆一様に 「言葉もない」 といった様子だった。会場全体に 「・・・・・・」 という空気が広がっていたように感じた。

まるで、溶かした鉛を頭の上からどろどろとかけられたような気分で客席を立ちホールに出ると、それまで目にしていたスクリーンの世界とは対照的な、平和で楽しげなクリスマスの飾りつけが目に入った。

『ピエタ』

また釜山市民会館では、ほぼ毎週月曜日に 「月曜映画鑑賞会」 を開いている。料金は大人3,000w、幼児・小中高2,000w、65歳以上1,000w。昔の映画や、『ジャッカルが来る』(1月21日)、『狼少年』(1月28日)など比較的新しい作品も上映される。スケジュールなどはHPで。


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