2012年06月02日

こんな別れがあるなんて 4

つづき

こんな別れがあるなんて 4

観る前からだいたいのストーリーは想像できたが、想像以上に見応えのある作品だった。

まず、ハ・ジウォンやペ・ドゥナをはじめとする出演者の演技力の高さに驚いた。ハン・ジョンファ元選手に直々に指導を受け、数ヶ月間猛特訓に励んだというだけあって、卓球のシーンは堂に入っていた。

また、北朝鮮の選手役のペ・ドゥナは、韓国の言葉とは違う独特な北朝鮮の言葉づかいを駆使し、見た目の雰囲気も合わさって、本当に北朝鮮の人であるかのように見えた。

さらに 「さまざまな試練や葛藤を乗り越えて、最後に勝利を手にする」 というのはスポーツ映画にありがちなストーリーだが、この作品ではそれに加えて、「コリア」 が現在も北と南に分断されたまま休戦状態にある国だという要素がうまく描き出されていると感じた。

韓国に住んでいると、休戦状態にある国とはいえ平和そのものの日常がある。北朝鮮のニュースも、テレビや新聞、インターネットなどを通して日々見聞きはするが、韓国に住んでいる私にとっては、隣にありながらどこか遠いところにある外国のことのようだ。今私が暮らしている世界とは、あまりにもかけはなれた存在である気がする。

映画の中の韓国代表選手らも、最初は北朝鮮代表選手とは習慣や文化があまりに違うため戸惑っていた。同じ民族であっても、分断されたまま60年近く経過すると、さまざまな面で大きな隔たりができてしまうのは当然だろう。

試合が終わって北朝鮮の選手が帰国する場面では、ヒョン・ジョンファ役のハ・ジウォンが1歳年上のリ・ブニ役のペ・ドゥナに対し、初めて 「언니(オンニ=お姉さん)」 と呼びかけ、「こんな別れがあるなんて・・・。手紙書くねとも、電話するねとも、また会おうねとも言えない。何て言ったらいいか分からない」 と号泣する。

まさに、それが現実だ。

同じ民族でありながら、統一チーム 「KOREA」 として共に過ごした46日間が終われば、また離れ離れになる。本来なら 「またね」 と笑って手を振るところだ。せっかく心を通わせ合って親しくなったのに、この先またいつか会えるかどうかさえも分からない。同じ民族なのに、だ。

こんな別れがあるなんて 4

さらに、その後のシーンでは2年後の1993年の世界選手権大会で、今度は北朝鮮チームの選手と韓国チームの選手として再会し対戦する2人が描かれれていた。

しかし1993年以降、2人は1度も会っていないという。

映画の中で、リ・ブニは肝炎を患っているが北朝鮮では満足に治療も受けられず、あまり体調がよくないように描かれていたが、今頃どうしているのだろうと思っていたら、リ・ブニの最近の様子が新聞で紹介されていた。

つづく


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