2012年04月25日
韓国の運転免許事情
先日、知人の付添いで 「南部自動車運転専門学院」 に行った。日本でいう自動車教習所だ。以前から、運転免許は日本より韓国の方が少ない費用・時間でとれると聞いてはいたが、実際に教習所の中に入るのは初めて。日本とはどんなふうに違うのか、興味津々で門をくぐった。
韓国で運転免許を取得する大まかな流れは以下の通り(2012年4月現在)。
1.最寄りの運転免許試験場で筆記(学科)試験を受ける。日本人は日本語で受験可能。内容はさほど勉強しなくても解けるような一般常識的な問題で、複数の選択肢から答えを1つ選ぶというもの。
2.筆記(学科)試験に合格したら、運転専門学院で 「場内技能教育」 (学科5時間・技能2時間)の講習を受ける。講習終了後 「場内技能試験」 を受験。費用は試験費用(40,000w)も含めて138,000w。「場内技能試験」 不合格の場合、再試験を受ける(費用は40,000w)。
3.「場内技能試験」 に合格したら仮免許が発行され、「道路走行教育」(路上教習)の実技6時間の講習を受ける。講習終了後 「道路走行試験」 を受験。費用は試験費用(40,000w)も含めて274,000w。実技が6時間では足りないと思う人は、追加の道路走行講習(1時間39,000w)を受けることもできる。
4.「道路走行試験」 に合格したら、晴れて運転免許証取得。費用は全部で412,000w(どの試験も1回で合格すれば)。現在のレートでたったの30,000円弱だ。
私が付き添ったのは、2.の場内技能教育の 「学科5時間」 の部分。韓国語の通訳のお手伝いをさせてもらった。教室には20代と見られる若者を中心に20~30人ほどいただろうか。中には50代だと思しきおばさんも。

講習への出席確認は各自の指紋認証で行う。さすがIT先進国だ。やがて先生が入室。通訳が入ることは事前に学院側に了承してもらっていたが、担当の先生にも報告。「どうぞ、どうぞ(ご自由に)」 と言った反応だった。
教材は日本の教習所で使われるものとほぼ同じ。この日は5時間で第1~5科までを勉強する。教材に沿って先生が説明、時々ビデオ映像も見ながら、1時間に1回休憩をはさんでの5時間。
内容は特に難しいものではない。どちらかというと一般常識に近いもの。スピードを出せば出すほど視野が狭くなる、子どもや老人は予期せぬ動きをするので注意しなければならない、飲酒がどれほど運転に影響を及ぼすか、事故発生時はどう対処するか、交通マナー違反は事故を誘発する・・・など、20年以上前に私も日本で習った覚えがある内容ばかりだった。
印象的だったのは、2つの実験。
1つは4人の被験者による飲酒運転の実験。1人目は全く飲酒していない状態、2人目は焼酎を2杯、3人目は4杯、4人目は1瓶をそれぞれ飲んだ後、S字カーブの運転や、合図を確認しブレーキを踏んで止まるまでの距離などを見るもの。この実験は安全が確保された実験場で行われていたが、特に焼酎1瓶を飲んでいた人の反応はかなり緩慢で、この状態で実際の路上で運転したら事故が起きないはずがないと実感した。
2つ目の実験は、スピードの出しすぎについての実験。こちらは実際の高速道路を利用しての実験だ。同じ車種、同じ量のガソリンを入れた2台の乗用車が同時に釜山を出発し、高速道路でソウルまでの約400kmを走る。1台は法定速度を守って走行、もう1台は時速160km程度を維持して走行。途中で1度、30分の休憩をはさんで、ソウルまでの所要時間を比較するというものだ。
実際の高速道路を走行するため、他の一般車両にも分かるよう、車体には大きく 「過速運転車両」、「定速運転車両」 と目立つように書いてある。とはいえ、160km、時に180km近くまでスピードを上げて疾走する車は、見ているこちらまで心拍数が上がってきそうだった。
結果、2台の車の所要時間の差はわずか31分だった。
しかしガソリンの減りには大きな差が。さらに160kmで疾走したドライバーは、血圧や脈拍などに変化が起きるほど身体にストレスを受けていたことも判明。わずか31分のために、非常に危険で、かつ不経済で、さらに身体にもよくない過速運転をするのは割に合わない、という内容だった。
この日の5時間の学科講習は無事終了。次は技能講習なのだが、これがたったの2時間と極端に短い。驚きだ。日本の教習所で何時間ぐらい講習を受けたかもう記憶にないが、2時間は明らかに短い。坂道発進や縦列駐車、車庫入れ、S字、クランク、踏切など、たくさんの難関があったのは覚えている。あれをたった2時間で教えるとは驚きだ。
そういえば、場内コースは日本に比べて非常にシンプルに見える。踏切の練習台も見当たらない。釜山には地下鉄や高架鉄道はあるが、平地を走る線路はKORAIL(韓国鉄道公社)のものだけで数も少ないので、踏切は項目に入っていないのだろうか。

また路上教習では、高速道路の走行練習もないそうだ。何の練習もないまま免許を取得し、実際の高速道路を走るのは非常に無謀で危険な気がする。もっとも、教習所で高速教習を受けていたとしても、1回や2回で要領をつかめるはずもなく、結局何回も運転して体得していくしかないのではあろうが。
私は5時間の学科講習の部分しか実際には見ていない。その後の場内実技や路上教習がどういう内容なのか、またどの程度の技術で実技試験に合格するのかという部分については知らない。しかし、免許取得までの流れを見るだけでも、あまりに免許が簡単に取れすぎてしまうのではないかという印象を持った。
「だから韓国(特に釜山)では交通事故が多いのだ」 と単純には言えないと思うが、事故を誘発する原因の1つではあるような気がする。大事故の多くはスピードの出しすぎや信号無視、飲酒運転が原因であることが多いだろう。しかし、あまりに簡単に免許が取れてしまうことで、ドライバーが当然守るべきマナーや認知しておくべき危険性などが欠落し、そこに運転技術の未熟さも加われば、やはりそれも事故の誘因になってしまうのではないだろうか。
さて、こうして韓国で免許を取ってから3か月以上韓国に滞在し、その後日本に帰国して手続きをすれば日本の免許に切り替えられるのだそうだ。
確かに噂に聞いていた通り、約30,000円(試験に1回で合格すれば)という格安の料金、短期間で免許を取ることができ、それを簡単な手続きと4,000~5,000円ほどの手数料だけで日本の免許に切り替えてもらえるというのだから魅力的だ。
しかし、日本の教習所でなら当然習うようなことが、韓国の教習所ではかなり抜け落ちてしまうという点は否めず、日本で実際に運転する際には自分でもう少し知識・技術を深めることが必要になるだろうと感じた。
韓国で運転免許を取得する大まかな流れは以下の通り(2012年4月現在)。
1.最寄りの運転免許試験場で筆記(学科)試験を受ける。日本人は日本語で受験可能。内容はさほど勉強しなくても解けるような一般常識的な問題で、複数の選択肢から答えを1つ選ぶというもの。
2.筆記(学科)試験に合格したら、運転専門学院で 「場内技能教育」 (学科5時間・技能2時間)の講習を受ける。講習終了後 「場内技能試験」 を受験。費用は試験費用(40,000w)も含めて138,000w。「場内技能試験」 不合格の場合、再試験を受ける(費用は40,000w)。
3.「場内技能試験」 に合格したら仮免許が発行され、「道路走行教育」(路上教習)の実技6時間の講習を受ける。講習終了後 「道路走行試験」 を受験。費用は試験費用(40,000w)も含めて274,000w。実技が6時間では足りないと思う人は、追加の道路走行講習(1時間39,000w)を受けることもできる。
4.「道路走行試験」 に合格したら、晴れて運転免許証取得。費用は全部で412,000w(どの試験も1回で合格すれば)。現在のレートでたったの30,000円弱だ。
私が付き添ったのは、2.の場内技能教育の 「学科5時間」 の部分。韓国語の通訳のお手伝いをさせてもらった。教室には20代と見られる若者を中心に20~30人ほどいただろうか。中には50代だと思しきおばさんも。
講習への出席確認は各自の指紋認証で行う。さすがIT先進国だ。やがて先生が入室。通訳が入ることは事前に学院側に了承してもらっていたが、担当の先生にも報告。「どうぞ、どうぞ(ご自由に)」 と言った反応だった。
教材は日本の教習所で使われるものとほぼ同じ。この日は5時間で第1~5科までを勉強する。教材に沿って先生が説明、時々ビデオ映像も見ながら、1時間に1回休憩をはさんでの5時間。
内容は特に難しいものではない。どちらかというと一般常識に近いもの。スピードを出せば出すほど視野が狭くなる、子どもや老人は予期せぬ動きをするので注意しなければならない、飲酒がどれほど運転に影響を及ぼすか、事故発生時はどう対処するか、交通マナー違反は事故を誘発する・・・など、20年以上前に私も日本で習った覚えがある内容ばかりだった。
印象的だったのは、2つの実験。
1つは4人の被験者による飲酒運転の実験。1人目は全く飲酒していない状態、2人目は焼酎を2杯、3人目は4杯、4人目は1瓶をそれぞれ飲んだ後、S字カーブの運転や、合図を確認しブレーキを踏んで止まるまでの距離などを見るもの。この実験は安全が確保された実験場で行われていたが、特に焼酎1瓶を飲んでいた人の反応はかなり緩慢で、この状態で実際の路上で運転したら事故が起きないはずがないと実感した。
2つ目の実験は、スピードの出しすぎについての実験。こちらは実際の高速道路を利用しての実験だ。同じ車種、同じ量のガソリンを入れた2台の乗用車が同時に釜山を出発し、高速道路でソウルまでの約400kmを走る。1台は法定速度を守って走行、もう1台は時速160km程度を維持して走行。途中で1度、30分の休憩をはさんで、ソウルまでの所要時間を比較するというものだ。
実際の高速道路を走行するため、他の一般車両にも分かるよう、車体には大きく 「過速運転車両」、「定速運転車両」 と目立つように書いてある。とはいえ、160km、時に180km近くまでスピードを上げて疾走する車は、見ているこちらまで心拍数が上がってきそうだった。
結果、2台の車の所要時間の差はわずか31分だった。
しかしガソリンの減りには大きな差が。さらに160kmで疾走したドライバーは、血圧や脈拍などに変化が起きるほど身体にストレスを受けていたことも判明。わずか31分のために、非常に危険で、かつ不経済で、さらに身体にもよくない過速運転をするのは割に合わない、という内容だった。
この日の5時間の学科講習は無事終了。次は技能講習なのだが、これがたったの2時間と極端に短い。驚きだ。日本の教習所で何時間ぐらい講習を受けたかもう記憶にないが、2時間は明らかに短い。坂道発進や縦列駐車、車庫入れ、S字、クランク、踏切など、たくさんの難関があったのは覚えている。あれをたった2時間で教えるとは驚きだ。
そういえば、場内コースは日本に比べて非常にシンプルに見える。踏切の練習台も見当たらない。釜山には地下鉄や高架鉄道はあるが、平地を走る線路はKORAIL(韓国鉄道公社)のものだけで数も少ないので、踏切は項目に入っていないのだろうか。
また路上教習では、高速道路の走行練習もないそうだ。何の練習もないまま免許を取得し、実際の高速道路を走るのは非常に無謀で危険な気がする。もっとも、教習所で高速教習を受けていたとしても、1回や2回で要領をつかめるはずもなく、結局何回も運転して体得していくしかないのではあろうが。
私は5時間の学科講習の部分しか実際には見ていない。その後の場内実技や路上教習がどういう内容なのか、またどの程度の技術で実技試験に合格するのかという部分については知らない。しかし、免許取得までの流れを見るだけでも、あまりに免許が簡単に取れすぎてしまうのではないかという印象を持った。
「だから韓国(特に釜山)では交通事故が多いのだ」 と単純には言えないと思うが、事故を誘発する原因の1つではあるような気がする。大事故の多くはスピードの出しすぎや信号無視、飲酒運転が原因であることが多いだろう。しかし、あまりに簡単に免許が取れてしまうことで、ドライバーが当然守るべきマナーや認知しておくべき危険性などが欠落し、そこに運転技術の未熟さも加われば、やはりそれも事故の誘因になってしまうのではないだろうか。
さて、こうして韓国で免許を取ってから3か月以上韓国に滞在し、その後日本に帰国して手続きをすれば日本の免許に切り替えられるのだそうだ。
確かに噂に聞いていた通り、約30,000円(試験に1回で合格すれば)という格安の料金、短期間で免許を取ることができ、それを簡単な手続きと4,000~5,000円ほどの手数料だけで日本の免許に切り替えてもらえるというのだから魅力的だ。
しかし、日本の教習所でなら当然習うようなことが、韓国の教習所ではかなり抜け落ちてしまうという点は否めず、日本で実際に運転する際には自分でもう少し知識・技術を深めることが必要になるだろうと感じた。
Posted by dilbelau at 09:06│Comments(4)
│その他いろいろ
この記事へのコメント
こんにちは♪
まずは 驚いた~ そんな簡単にイイんですか?と
始めは料金も安くていいわね・・なんて思いましたが~
とんでもありません でした。
飲酒運転の実験って本当に飲ませてからなの?
だったらありえないですね シュミレーションを使うのかと思ったの
学科はともかく 実習の時間が少ないのも~
そんな人たちが公道を運転してるんですか・・・怖いなぁ
じゃ~初心者マークも無いのかしら~TOT
まずは 驚いた~ そんな簡単にイイんですか?と
始めは料金も安くていいわね・・なんて思いましたが~
とんでもありません でした。
飲酒運転の実験って本当に飲ませてからなの?
だったらありえないですね シュミレーションを使うのかと思ったの
学科はともかく 実習の時間が少ないのも~
そんな人たちが公道を運転してるんですか・・・怖いなぁ
じゃ~初心者マークも無いのかしら~TOT
Posted by yokotan at 2012年04月25日 13:43
yokotan さま
あまりに簡単すぎて、まるで遊園地でゴーカートを運転するような気楽さでハンドルを握ってしまうのではないかと・・・。ちょっと怖くなりますね。
飲酒運転の実験は実際に飲ませています。飲ませる場面もビデオに撮っていました。ただこれはさすがに公道ではなく、どこかの運転実験場のようなところでの実験でした。
日本のような初心者マークはなく、「初歩運転」と書かれたものをリアウィンドウに貼り付けます。以前は義務化していたそうですが、今は自由だそうです。初心者で貼りたい人は貼ればいいし、初心者でなくても例えば免許を取って10年になるけど自信がないという人でも貼りたければ貼ればいいそうです。
あまりに簡単すぎて、まるで遊園地でゴーカートを運転するような気楽さでハンドルを握ってしまうのではないかと・・・。ちょっと怖くなりますね。
飲酒運転の実験は実際に飲ませています。飲ませる場面もビデオに撮っていました。ただこれはさすがに公道ではなく、どこかの運転実験場のようなところでの実験でした。
日本のような初心者マークはなく、「初歩運転」と書かれたものをリアウィンドウに貼り付けます。以前は義務化していたそうですが、今は自由だそうです。初心者で貼りたい人は貼ればいいし、初心者でなくても例えば免許を取って10年になるけど自信がないという人でも貼りたければ貼ればいいそうです。
Posted by dilbelau
at 2012年04月25日 13:55

ども、クリス(HN)といいます。在日同胞です。 滞在3ヶ月という足かせがある為、日本から殺到する心配はないと思います。 ただ、韓国語はどのくらいのレベルが必要か教えていただければ......。
Posted by クリス at 2014年05月01日 07:54
クリス さま
こんにちは。
メールでお返事しますね。
こんにちは。
メールでお返事しますね。
Posted by dilbelau2
at 2014年05月01日 09:46
