Busan nikki 1 (2008～2013)

2月27日（月）、私たちは新しいアパートへと引っ越した。引っ越しといっても同じアパート群内の移動で、新しい棟は前に住んでいた棟から歩いて1～2分ほど。目と鼻の先だ。しかし、私たちにとって韓国での引っ越しは初めての体験。韓国の引っ越し談は今までにいろいろ聞いていたが、実際に体験するとどんなふうだろうとワクワクしながら当日の朝を迎えた。

引っ越し業者との約束は8時。予定時間ぴったりに来てくれた。部屋に来た作業員は男性2人。

まず 「すみませんけどね、作業は靴をはいたままでやりますから、奥さんたちも靴をはいてください」 と言いながら、土足で部屋に上がってくる。

今まで靴を脱いで生活していた部屋を、靴をはいたままうろうろするのは最初は違和感があったが、荷物の搬出後はフローリングシートなどを全部張り替えるので問題ない。いちいち靴を脱ぎはきする時間が省けるのでスピーディだ。

どの荷物を搬出し、どの荷物を置いていく（大学からの支給品など）かは、引っ越しの見積もり時に話はしてあるが、再度確認。その後、ベランダの外窓（韓国ではベランダの外側にも窓がある）を開けて手すり部分に作業用の毛布を巻きつける（▼）。搬出の際、家具などに傷をつけないためだ。



今回私たちは自分で荷造りするタイプの引っ越しにしたので、あらかじめ段ボール箱に荷物を詰めて準備していた。もし、荷造りも引っ越し業者にやってもらう포장이사（ポジャンイサ）の場合、ベランダに見えている黄色い大きめのカゴにどんどん荷物を詰めて運ぶことになる（▲）。

この日も段ボール箱に入りきらない大型の荷物や洋服は、この大きなカゴに入れて運んでくれた。タンスの中の洋服も、大きな箱にどさっ、どさっと入れて運ぶ。日本ではハンガーをかけるポールのついた衣装専用の箱があるが、そういうタイプではなく、ただ大きな箱に洋服を積み重ねて入れていく。

他の荷物も、搬出しやすいように準備する。すべての荷物がすぐ搬出できる状態になったら、1人のおじさんははしご車とトラックの準備のため部屋から出て行った。部屋に残ったおじさんは、ベランダに出てはしご車を停める位置を上から指示するためスタンバイ。

やがてはしごがウィーンと伸びてくる（▼）。



はしごは始めは垂直に伸びてき、ベランダとの高さの調整ができたら、上のおじさんが下のおじさんに合図。するとはしごの先端がベランダ側にゆっくり倒れてくる。はしごの先端がベランダの手すりについたら、ビニールテープでぐるぐる巻きにして固定する。これではしごの準備はOK。

後は、はしごを上がってくる台に荷物を載せて、どんどん搬出していく。台の上げ下げは、下のおじさんの担当。荷物はまずベランダにあるものから搬出し、次にベランダに近い室内のもの、そしてベランダから遠い部屋にある荷物、という順で運び出していく。洗濯機もたった1人でベランダの手すりの高さまで持ち上げ、台に載せていたので驚いた。



荷物を載せた台はウィーンとはしごを下りて行き、下でスタンバイしているおじさんが台から下ろしてトラックに積み込んでいく。下にはおじさん2人が作業していた。作業員は全部で3人だ。

下のおじさんが作業している間、上のおじさんは次に搬出すべき荷物をベランダの近くに寄せ、すぐに台に載せられるようスタンバイ（▼）。このとき上のおじさんは、タバコで一服。煙が室内に流れ込まないよう、顔を窓の外に出して吸っていた。激しい労働で疲れたので、スタンバイの時間を利用して一休みということだろう。



日本では引っ越し作業中に、客から見えるところでタバコを吸うなどあり得ないだろうが、そのあたりやはり韓国は大らかだ。タバコを吸っているせいで作業が遅れるというわけではない。一休みしながらの方が、作業能率も上がるだろう。その吸殻をどうしたのかはちょっと気になったが、まあそのへんは･･･。台が上がってきたらまた非常にてきぱきと荷物を載せていく。



これは引っ越し屋さんの7つ道具の1つ（?）、ミニ台車（▼）。ベランダに近いところにある荷物から搬出していくと、残るはベランダから遠い部屋の荷物。ベランダまでの距離をいちいち荷物を手で運んでいては時間もかかるし疲れる。そこでこの台車に載せて遠い部屋の荷物を、ベランダ前まで移動させるのだ。持ち手も何もついていず、ただ台の下に車があるだけのシンプルな台車だが、多いに活躍していた。



つづく