2010年11月23日

”日本食通り” にて

家の近所に、日本料理の店(主にお寿司)が立ち並ぶ、通称 ”일식골목(日式通り)” と呼ばれる筋がある。立ち並ぶといってもせいぜい5~6軒だろうか。それでも 「東京」 と漢字で店名を掲げている店もあったりし、日本人ならどんな店かなと少々気にはなる。

夫と釜山での生活を始めて、早くも2年と9ヶ月。最初の頃は、”せっかく韓国に住んでいるのだからわざわざ日本食を食べることもない”、という思いもあったし、”(韓国に限らず)外国で出される日本食は日本人の口に合わない場合もある”、というのもあったし、”韓国の日本食は高い”、というイメージもあったし・・・で、当初は日本食を食べてみようという気にはあまりならなかった。

しかし次第に、ラーメンやとんかつのように、おいしい日本の味を楽しめる店もあることも分かってき、最近では日本食の店にも挑戦することが増えてきた。当たり外れはあるにしても、一概に ”韓国の日本食はおいしくない” と決めつけて食べようとしないでいるのは、もったいないと思えてきたのだ。

さて、そんな心境の変化もあり、家からとても近くにある店ながら今まで一度も入ってみようとは思わなかった日本食の店に、先日夫と初めて入ってみた。夜にはお酒も出すし料理の値段もぐぐっと上がるのだろうが、お昼にはランチ特選メニューがあるので気軽に食べられる。

その名も 「一海초밥(寿司)」 という日本食レストラン。看板には浮世絵風の美人画も描かれており、店構えも日本風。

”日本食通り” にて

店内はカウンター席・テーブル席の他に、靴を脱いで上がる個室がたくさん並んでいる。日本の寿司職人さんが来ているような上っ張りを着たご主人が、威勢よくいらっしゃいと出迎えてくれる。

ランチ特選メニューの中から、夫は회덮밥(刺身丼)=8,000w、私は초밥(お寿司)=10,000wを注文。てっきりそれぞれお味噌汁や多少の小鉢が一緒に出てくるのだろうと想像していたが、なんのなんの・・・。次々に運ばれてくる料理の数々に2人して仰天した。

まず、大根やピーマンなどを使って豪華に飾り付けられた大皿がドーンと(▼)。牡蠣やタコ、その他貝類などが少しずつ数種類並んでいる。

”日本食通り” にて

ランチメニューにこんなものが出てくるとは、と驚いていると、続いてまた寿司桶に盛り付けられた小鉢類が(▼)。うずら卵や白イチジクなどなど。

”日本食通り” にて

その他、黒ゴマのお粥やチヂミ(▼)、キムチ、その他各種おかずが後から後から運ばれてきて、それだけでテーブルはいっぱい、おなかもいっぱいになってしまいそうだ。

”日本食通り” にて

”日本食通り” にて

さて、前菜だけでけっこうおなかがふくれてきた頃、メインのお寿司と刺身丼が運ばれてきた。お寿司は握り寿司10貫にらっきょう・しょうが(▼)。わさび添えの醤油と、チョジャンの両方が用意されている。

”日本食通り” にて

お寿司は勿論、ご主人がその場で手際よく握ってくれたもの。

”日本食通り” にて

韓国のお寿司はどういうわけだかシャリが小さい。重量で言えば日本のシャリの半分ぐらいしかないのではないだろうか。シャリが小さいので必然的にネタも小さく薄い。・・・ということがほとんどだが、その点で言えばこの店のシャリは日本のものとそう変わらない。

ネタも食べ応えのあるぐらいの大きさ・厚さだし、まずまずおいしい。ただ贅沢を言うならば、ネタに使われる魚介類の種類が少ないというのが残念だ。日本でお寿司の盛り合わせを頼めば必ず出てくるような、マグロ、イカ、玉子、イクラ軍艦巻き、鰻などはない。

これは食文化の違いのためだろう。日本人が好むトロなど赤身の魚は、韓国人はあまり好まないのだそうだ。柔らかいあの食感が苦手らしい。逆に、小骨が残っていて身も固めの ”噛み応えのある” 刺身が好きなようだ。なので、お寿司のネタがどうしても白身魚中心になり、種類が少ないのも仕方がないのだろう。

ちなみにワサビは韓国製の粉ワサビを使っているようだが、これが実に ”効く” ものだった。もともと私はワサビは嫌いで、サビ抜きの方がむしろありがたいのだが、この店のワサビはやや量が多めのようだ。何度も ”鼻にツーンときては涙がにじむ” を繰り返しつついただいた。次回は、サビ抜きでお願いしてみよう。

さて、こちら(▼)は夫の刺身丼。ご飯の上に食べやすい大きさに削ぎ切りにした刺身(白身)、サラダ、コチュジャン、海苔、そしてとびこがトッピングされてある。全体をよく混ぜていただく。

”日本食通り” にて

こちらもかなりボリュームがあるそうだ。刺身も1種類ではあるもののけっこうたくさん入っているそうで、なかなかおいしいと。そしてコチュジャンもなかなかきいているとのこと。

こんなに出てくるとは思わず、思いがけずかなりの満腹になった昼食だった。店のご主人はもしかして日本で働いていたことがおありなのかと思ったが、そういうわけではないのだそうだ。それにしても身のこなしや声の出し方など、日本の寿司職人さんと似た雰囲気だった。お寿司の他にも、생태탕(生のスケトウダラのスープ)생대구탕(生のタラのスープ)や焼き魚、刺身定食などもあるそうだ。ご馳走さまでした。

一海(일해)초밥
釜山市水営区南川洞9-16番地
(051) 621-5050, 628-0783


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