2009年11月15日

'09.11.15(日)射撃場火災事故 ご家族釜山到着

11月15日、気持ちよく晴れ渡った朝。
今日は以前 「ジャカルタ駐在員」 さんがブログで紹介されていた、中央洞にあるウナギ屋さんへ夫と昼食を食べに行く予定にしていた。

そんなとき、いつもお世話になっている国際交流財団の方からの電話。

昨日14日、国際市場内の室内射撃場で起きた事故に巻き込まれた日本人観光客の方々のご家族が、今日のお昼に釜山に到着される予定だという。ついては、通訳要員として協力してもらえないかとのこと。

突然の出来事に巻き込まれたご家族の方々のお気持ちを思うと、私でお役に立てることがあるのならと、予定を変更して中央洞にある国際旅客ターミナル(船)へと向かった。

ターミナル内にはすでに大勢の報道陣が、家族の方々が到着するのを待ち構えている。まるで、そんな報道陣たちの盾になるように数十人の警察官がずらりと並びバリケードを作っている。

ものものしい雰囲気の中、私ともう1人の日本人、そして財団関係者の3人が合流し、日本人負傷者お二人が治療を受けている、熱傷専門病院へと向かった。

病院の前にも中にも大勢の報道陣。韓国人も日本人も。

やがて、領事館関係者や釜山市庁関係者と共にご家族の方々が病院へ到着すると、すさまじいストロボの光がたかれ、一斉にカメラやビデオで撮影される。ご家族の方々は、まずはこの病院の院長の説明を受ける。現在の病状、治療方針、今後の見通しなど。続いてご家族から院長へ質問がいくつか。

そして、実際にお二人の日本人の方(それ以外にも2人の韓国人と身元不明の男性1人の計5人がこの病院に入院されている)が治療を受けられている集中治療室へ。

事前に院長から説明を受けていたとはいえ、やはり実際に変わり果てた家族の姿を目の前にすることは、あまりにも衝撃が大きい。つい昨日、元気で家を出たであろう人が、全身に熱傷を受け顔も身体も腫れあがり、見るも痛々しい姿でベッドに横たわっている。なんと痛ましく、残酷な再会だっただろうか。

お1人は意識がはっきりとされ会話も可能だったが、もうお一方は意識がなく人工呼吸器につながれている。

それでも ”聞こえるかもしれないから、声をかけてあげてください” と担当医にうながされ、震える声で話しかける。涙がぽろぽろこぼれ落ち、身体の震えが止まらないが、それでも懸命に声にならない声をかけるご家族。

お隣の国とはいえ言葉も通じない外国で治療を受けている、大切な家族。
すぐにでも日本に連れて帰りたいだろうが、容態がまだそれを許さない。
面会に来たご家族も、日本に子供を残してきていたりと、それぞれに事情もある。

大きな衝撃と不安で憔悴しているご家族を、それでも報道陣は容赦せずに追いかける(ように私には見えた)。
移動するたびにカメラに取り囲まれ、「あれがイヤなんですよね・・・」 とぽつりとつぶやくご家族も。
報道陣は報道するのが仕事なのだからと言われればそれまでだが、昨日までの幸せな日常が一転、悲しみと不安のどん底に突き落とされたご家族のお気持ちをお察しすると、もう少し配慮があってもよいのではないかと私には思えた。

ニュースでは、「入り口近くのソファーから発火か?」 とのことだが、事故の原因はいまだはっきりせず。
今後の原因究明、被害者の補償問題が大きな課題になるだろうと締めくられたニュース。

この事故で不幸にも命を落とされた方々のご冥福を、そして、重度の熱傷を負われ今この瞬間にもベッドの上で治療を受けていらっしゃる負傷者の方々のご回復を、心よりお祈りします。


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この記事へのコメント
今回の事故のことをニュースで見たとき、dilbelauさんの住まわれているところだよな・・とは思ったんですが・・。

今回の事故や、それ以外でも言いようのない事件が起こったりしたとき、報道からは事実を知ることしかできないんですが、何かのきっかけでそこに直面したとき、被害者の方やご家族の方のつらさが、自分の中に実感として一気に流れ込んでくるという経験が自分にもあります。
今回のことでは正直日本で報道に触れただけの自分には事故にあわれたかた、ご家族のつらさは想像することができませんが、dilbelauさんはその重さを肌で感じられたんだと思います。

なんだかやりきれない気持ちです。
Posted by とーと at 2009年11月15日 22:05
とーと さま

ここに書ききれない負傷者の方やご家族の方のご様子、生の声など、受け止めるには実に重過ぎるものがありました。
もし自分がその立場だったらと思うと、胸が張り裂けそうな場面でした。

ましてや不幸にも亡くなった方のご家族の悲しみ・悔しさはいかばかりかと。

本当にやりきれないです。
Posted by dilbelaudilbelau at 2009年11月15日 22:20
dilbelauさん、こんばんは~♪通訳のボランティアお疲れ様です。今回は本当に残念で痛ましい事故になってしまいましたね。私も韓国に旅行に行ったときには1度だけ射撃場に行きました。

自分も消防団で川に落ちた子供さんの捜索をしていた時には、川から自分の子供の顔が上がってくるのではないかと交錯していました。

現場にいるのはつらいことですね。悲しい同窓会になってしまいましたね。韓国に限らず痛ましい事故が起こることのないように危機管理をして欲しいですね。

亡くなられた方のご冥福をお祈りします。m(__)m
Posted by ochanomizu at 2009年11月15日 23:21
何らかの形でブログ記事にされると思っていたのですが、このような大役を引き受けていたのですね。
お疲れ様でございます。

NHKワールドのニュース放送がインタネットで取る情報と若干の遅れがあったので、KBSワールドのニュース放送から情報を取っていたのですが、このブログ記事は単なる事実だけではなく、その事故の痛ましさが鮮明に伝わるものだと思います。

韓国では漢江の橋が落ちたり、営業中のデパートが突然崩落したり、地下鉄で火災が起きたりと日本では考えられないようないろいろな人災が起きておりますが、こうして多数の日本人が被害に遭う韓国の人災事件が起こるとやはり他人事とは思えませんね。

亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by ジャカルタ駐在員ジャカルタ駐在員 at 2009年11月16日 03:31
ochanomizu さま

事故現場である国際市場は、ご存知のように細い路地に商店などが密集し、また休日ともなると身動きのできないほどの混雑になります。
今回の事故を見て、もし空気の乾燥した時期に1軒からの火災が延焼したら・・・と想像すると、今さらながら防災上の管理はどうなっているのだろうかと考えてしまいました。

今後2度と、今回の被害者の方々やご家族の方々のような、辛く悲しい悲惨な体験をする人が出ないよう、祈るばかりです。
Posted by dilbelaudilbelau at 2009年11月16日 09:42
ジャカルタ駐在員 さま

実際には、日本語の堪能な市庁関係者がほとんどの通訳をされていましたので、私はただその場に居合わせたという程度ですが、それでもやはりご家族の方々の様子は、本当に心が傷みました。

今回の事故の原因がどうであれ、巻き込まれた人全ての人には、何の落ち度もないはずです。ジャカルタ駐在員さんのおっしゃっているそれらの人災もそうだったのでしょう。

愛するご家族を亡くされた方々の悲しみ・悔しさ・苦しみは、何をもっても癒えるものではないと思いますが、せめて今後の韓国側の補償を含めた対応により、負の感情が少しずつでも少なくなっていきますようにと祈るばかりです。
Posted by dilbelaudilbelau at 2009年11月16日 09:58
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