2013年11月03日
クジラ肉のコース料理 「やたい」 1
南浦洞(ナンポドン)のロッテ百貨店光復(クァンボク)店のほど近くに 「やたい」 という名前の食堂がある。若き社長・孔明浩(コン・ミョンホ)さんが営業するミンククジラとマグロの専門店だ。釜山にはクジラ肉を食べさせる店は少なくないが、「やたい」 は釜山で唯一、本格的なクジラのコース料理を出す店として知られる。
これまで釜山でクジラと言えば茹で肉を盛り合わせにして出すスタイルが中心だったが、「やたい」 では刺身や寿司、唐揚げなどさまざまな調理法のクジラ肉をコースでいただけるとあって、オープンして2年半、平日でも客足の絶えない人気店となった。一部では 「釜山で今一番ホットな店」 とも言われる 「やたい」 に、韓国人の知人の案内で行ってみた。

飲食店が立ち並ぶ細い通りにあって、「やたい」 とひらがなで書かれた看板やちょうちんは一際目を引く。店内はのれんや浴衣、招き猫、力士の写真、ポスターなど、日本を連想させるものであふれている。それもそのはず、社長のコンさんは大学のホテル観光学科に通っていた約10年前、東京・お台場の寿司店で働いていたことがあるのだそうだ。もともと日本の食文化に興味があったといい、築地市場もよく覗きにいったそう。

韓国に帰国後、料理人としてプルコギの店で働くなどの経験を経て、2011年に 「やたい」 をオープンした。店名は、屋台のように気軽に食べに来てもらいたいとの思いで名付けた。
店で扱う食材としてクジラを選んだ最大の理由は 「私が1番好きな食べ物だからです」。海沿いの多大浦(タデポ)出身のコン社長は幼い頃、父親に連れられてクジラ肉を売る屋台によく行ったという。また、クジラ肉は部位ごとにさまざまな味わいがあり、一般的な食堂ではあまり扱っていないという点にも目を付けた。さらにマニア層も厚い。
店で扱うのはミンククジラ。混獲され競りにかけられたものを直接買い付け、卸売りもしているという。1億ウォンという値がつく1.5トン級のクジラを丸々1頭買い付け、自社工場で急速冷凍するため、鮮度のよいクジラを提供でき、さらに価格も抑えることができるとのこと。
私にとってクジラといえば、小学校の給食でたまに出た 「コロ」 のイメージしかない。コロはクジラの皮を加熱処理して脂肪分を除き乾燥させたもので、給食では確か煮物かおでん種として出てきたと思うが、小学生の私には口に合わなかった。その独特な食感から 「得体の知れない食べ物」 という印象で、コロが出るとがっかりした記憶がある。
それ以来、好んでクジラ肉を食べてみようと思ったこともなく、大人になってからクジラ肉を食べた記憶はない。数十年ぶりのクジラ肉だ。それもクジラ肉の寿司やプルコギという聞いたこともないメニューが出てくるとのことで、期待が高まる。
つきだしは生牡蠣、홍합(ホンハッ=イガイ)の和え物、味噌汁、サラダ。



そしていよいよクジラ肉の登場。まずは刺身と握り寿司(▼)。写真では刺身と寿司が一緒に並んでいるが、本来は1品ずつ順番に出てくる。刺身(手前)は左からウネ(ウネス)(アゴから腹部にかけての部分)、赤身、尾羽の湯引き。

ウネは刺身醤油をつけていただく。コリコリとした独特の食感の皮と、トロのように口の中でとろける皮下脂肪のコントラストが絶妙で、やみつきになる。クジラとはこんなにおいしいものだったのかと、まさに目から鱗だ。
赤身は牛肉のような食感。同じく醤油をつけていただく。適度な歯ごたえがあり、脂が少ないのであっさりといただける。一般的にクジラと聞いて連想するようなにおいやクセもなく、おいしくいただける。
尾羽の湯引きは特製の멸치액젓(カタクチイワシの液体塩辛)をつけて食べるのがおすすめ。キクラゲを連想させる食感。尾羽そのものは非常に淡泊な味なので、適度な塩気のある液体塩辛との相性抜群だ。
握り寿司は3種(▼)。クジラ肉と寿司という意外な組み合わせは、寿司店やプルコギ店で働いたことのあるコン社長ならではの独創的なメニューだ。

ネタは左からウネの刺身(▲)、ウネを茹でたもの(▼)。ウネ刺身の寿司はワサビをつけて刺身醤油で。茹でウネの寿司には명이(ミョンイ=ギョウジャニンニクの葉)を一巻きし、明太子をトッピング。醤油はつけずこのままいただく。明太子の味がウネのおいしさを引き立てる。

赤身で握った寿司は、社長自ら目の前でバーナーであぶってくれる(▼)。オリエンタルソースがかかっているので、こちらもこのままいただく。フルーティーで爽やかなソースが食欲をそそり、後を引くおいしさだ。


刺身、寿司の次は육회(ユッケ▼)。細切りにした赤身をコノワタ(ナマコの内蔵)で和えた一品。あっさりした赤身に濃厚なコノワタがからまって、コクのある味わいが楽しめる。お酒のつまみにもぴったりだ。

つづく
これまで釜山でクジラと言えば茹で肉を盛り合わせにして出すスタイルが中心だったが、「やたい」 では刺身や寿司、唐揚げなどさまざまな調理法のクジラ肉をコースでいただけるとあって、オープンして2年半、平日でも客足の絶えない人気店となった。一部では 「釜山で今一番ホットな店」 とも言われる 「やたい」 に、韓国人の知人の案内で行ってみた。
飲食店が立ち並ぶ細い通りにあって、「やたい」 とひらがなで書かれた看板やちょうちんは一際目を引く。店内はのれんや浴衣、招き猫、力士の写真、ポスターなど、日本を連想させるものであふれている。それもそのはず、社長のコンさんは大学のホテル観光学科に通っていた約10年前、東京・お台場の寿司店で働いていたことがあるのだそうだ。もともと日本の食文化に興味があったといい、築地市場もよく覗きにいったそう。
韓国に帰国後、料理人としてプルコギの店で働くなどの経験を経て、2011年に 「やたい」 をオープンした。店名は、屋台のように気軽に食べに来てもらいたいとの思いで名付けた。
店で扱う食材としてクジラを選んだ最大の理由は 「私が1番好きな食べ物だからです」。海沿いの多大浦(タデポ)出身のコン社長は幼い頃、父親に連れられてクジラ肉を売る屋台によく行ったという。また、クジラ肉は部位ごとにさまざまな味わいがあり、一般的な食堂ではあまり扱っていないという点にも目を付けた。さらにマニア層も厚い。
店で扱うのはミンククジラ。混獲され競りにかけられたものを直接買い付け、卸売りもしているという。1億ウォンという値がつく1.5トン級のクジラを丸々1頭買い付け、自社工場で急速冷凍するため、鮮度のよいクジラを提供でき、さらに価格も抑えることができるとのこと。
私にとってクジラといえば、小学校の給食でたまに出た 「コロ」 のイメージしかない。コロはクジラの皮を加熱処理して脂肪分を除き乾燥させたもので、給食では確か煮物かおでん種として出てきたと思うが、小学生の私には口に合わなかった。その独特な食感から 「得体の知れない食べ物」 という印象で、コロが出るとがっかりした記憶がある。
それ以来、好んでクジラ肉を食べてみようと思ったこともなく、大人になってからクジラ肉を食べた記憶はない。数十年ぶりのクジラ肉だ。それもクジラ肉の寿司やプルコギという聞いたこともないメニューが出てくるとのことで、期待が高まる。
つきだしは生牡蠣、홍합(ホンハッ=イガイ)の和え物、味噌汁、サラダ。
そしていよいよクジラ肉の登場。まずは刺身と握り寿司(▼)。写真では刺身と寿司が一緒に並んでいるが、本来は1品ずつ順番に出てくる。刺身(手前)は左からウネ(ウネス)(アゴから腹部にかけての部分)、赤身、尾羽の湯引き。
ウネは刺身醤油をつけていただく。コリコリとした独特の食感の皮と、トロのように口の中でとろける皮下脂肪のコントラストが絶妙で、やみつきになる。クジラとはこんなにおいしいものだったのかと、まさに目から鱗だ。
赤身は牛肉のような食感。同じく醤油をつけていただく。適度な歯ごたえがあり、脂が少ないのであっさりといただける。一般的にクジラと聞いて連想するようなにおいやクセもなく、おいしくいただける。
尾羽の湯引きは特製の멸치액젓(カタクチイワシの液体塩辛)をつけて食べるのがおすすめ。キクラゲを連想させる食感。尾羽そのものは非常に淡泊な味なので、適度な塩気のある液体塩辛との相性抜群だ。
握り寿司は3種(▼)。クジラ肉と寿司という意外な組み合わせは、寿司店やプルコギ店で働いたことのあるコン社長ならではの独創的なメニューだ。
ネタは左からウネの刺身(▲)、ウネを茹でたもの(▼)。ウネ刺身の寿司はワサビをつけて刺身醤油で。茹でウネの寿司には명이(ミョンイ=ギョウジャニンニクの葉)を一巻きし、明太子をトッピング。醤油はつけずこのままいただく。明太子の味がウネのおいしさを引き立てる。
赤身で握った寿司は、社長自ら目の前でバーナーであぶってくれる(▼)。オリエンタルソースがかかっているので、こちらもこのままいただく。フルーティーで爽やかなソースが食欲をそそり、後を引くおいしさだ。
刺身、寿司の次は육회(ユッケ▼)。細切りにした赤身をコノワタ(ナマコの内蔵)で和えた一品。あっさりした赤身に濃厚なコノワタがからまって、コクのある味わいが楽しめる。お酒のつまみにもぴったりだ。
つづく
Posted by dilbelau at 09:06│Comments(0)
│海鮮・魚介類・クジラ肉