2012年06月28日
夏のスタミナ食 10
つづき
どこかで昼食を食べようと、機張(キジャン)市場近くでバスを降りる。冬なら間違いなくカニを食べるところだが、6月なのでカニという気分でもない。その辺りを適当に歩いていて、「사철탕(サチョルタン)」「삼계탕(サムゲタン)」 と書いてある店が目に入った。
「사철탕(サチョルタン)」 という名前は聞いたことがあるが、何のことだったかなと思いつつ店に入る。店内のメニューを見て思い出した。一般的には 「영양탕(ヨンヤンタン=栄養湯)」、「보신탕(ポシンタン=補身湯)」 と呼ばれる犬肉のスープのことだった。値段は8,000w。
メニューはヨンヤンタンの他に、一般的なヨンヤンタンより長く煮込んだ濃厚なスープ 「진국(チングッ)」(10,000w)や、茹でた犬肉とご飯などの定食 「수백(スベッ)」(14,000w)、犬肉を使ったすき焼き風煮 「특미전골(特味チョンゴル)」(15,000w)などの犬肉料理と、「삼계탕(サムゲタン=参鶏湯)」(10,000w)などがある。犬肉料理の店には必ずと言っていいほどメニューにサムゲタンも並ぶ。
店内にはおじさんを中心に客が数組。焼酎を飲みながらヨンヤンタンを食べている人が多い。店は掃除が行き届いており清潔な雰囲気。店のおばさんたちも愛想がよく気持ちのよい対応だ。私たちはヨンヤンタン(8,000w)を注文。
ヨンヤンタンは滋養強壮の効果があるとのことで、韓国ではサムゲタンと並んで、夏のスタミナ食として食べられることが多い。夏の間でも、特に복날(伏日=ポンナル)に食べる習慣がある。伏日は초복(初伏=チョボク)、중복(中伏=チュンボク)、말복(末伏=マルボク)の3日間ある。初伏は夏至後の第3庚の日なので、今年は7月18日。中伏は夏至後の第4庚の日なので、今年は7月28日。そして末伏は立秋後最初の庚の日なので、今年は8月7日。
犬肉スープのもとの名前は개장국(ケジャンクッ)で、ポシンタン(補身湯)と呼ばれることが多かった。しかしオリンピックのソウル(88オリンピック)への誘致にともない、欧米諸国に対するイメージダウンを避けるため、1980年代当時の政府は犬の食用を禁止。犬肉の料理を出す店に対する取り締まり政策を強いていた。
その取り締まりを避けるため、ポシンタンの代わりに作られた名前が영양탕(ヨンヤンタン=栄養湯)や사철탕(サチョルタン=四チョル湯)。사철탕(サチョルタン)は、夏によく食べられる犬肉料理を夏に限らず1年中(サチョル)食べてほしいという意味をこめて犬肉料理店の人が作った名前だとか。また犬の鳴き声 「モンモン(わんわん)」 から、멍멍탕(モンモンタン)と呼ばれることもある。
私がポシンタンを食べるのは確かこれが3度目。昨年、職場の上司らと食べにいったのが私の犬肉デビューだった。どんなものかと半ば恐る恐るだったが、食べてみると普段口にする牛肉や豚肉と大差ないような感じでおいしかった。その店の調理法がよかったのか、特にクセや臭いも感じなかった。
この店のはどんなかなと思っていると、ほどなくポシンタン(サチョルタン)が運ばれてきた。生臭さやクセを消すため、スープにはエゴマ油も入れてピリ辛に仕上げてある。生ショウガの千切りやエゴマのパウダー、배초향(ペチョヒャン)という葉を刻んだものをスープに加えていただく。ペチョヤンは日本語では 「カワミドリ」 というようだ。一見エゴマの葉に似ているが、エゴマの葉より香りも味も強い。

肉は適度に脂身もついていておいしい。味も弾力もやはり牛肉や豚肉とさほど変わらないと思う。言われなければこれが犬肉だとは気がつかないだろう。

付け合わせ(▼)。左下がカワミドリの葉を刻んだもの、その上がショウガの千切り。他は、ナスの胡麻和えやカクトゥギ、キムチなど一般的なおかず。


スープが熱々で辛いせいか、食べている途中から身体がほてってくる感じがした。いかにも夏の滋養強壮食だ。
私たちが食べている間にもどんどん客が入ってきていた。ほとんどが男性で中には夫婦らしき客もいたが、女性はサムゲタンを食べていた。ポシンタンはあまり女性は食べないものなのだろうか。
店のおばさんは私たちが外国人と知り、食べ方などで困ったことがないか気にかけてくれているようで、時々ちらっと目を配ってくれていた。会計のとき、おいしかったですと言うと、それはよかったですと笑顔で見送ってくれた。
88オリンピック当時、店が取締りを受けていたこともあり、犬肉料理は何となく他の韓国料理のようには大きな声でPRしにくいような位置づけにあるように感じる。実際、当時の取締りの名残だろうか、犬肉料理店は大通りに面した目立つところではなく、少し路地に入ったような場所にあることが多い。
また犬はペットとして飼う人も多く、牛・豚・鶏などとは違って食用としてとらえていない人も多い。食糧が乏しかった昔は野良犬を捕まえてきて・・・ということもあったようだが、今は食用として飼育している犬を使っており、これも立派な韓国の食文化の1つだと私は思う。

초원사철탕(チョウォン サチョルタン)
釜山市機張郡機張邑東部里278-11
(051) 722-4348
どこかで昼食を食べようと、機張(キジャン)市場近くでバスを降りる。冬なら間違いなくカニを食べるところだが、6月なのでカニという気分でもない。その辺りを適当に歩いていて、「사철탕(サチョルタン)」「삼계탕(サムゲタン)」 と書いてある店が目に入った。
「사철탕(サチョルタン)」 という名前は聞いたことがあるが、何のことだったかなと思いつつ店に入る。店内のメニューを見て思い出した。一般的には 「영양탕(ヨンヤンタン=栄養湯)」、「보신탕(ポシンタン=補身湯)」 と呼ばれる犬肉のスープのことだった。値段は8,000w。
メニューはヨンヤンタンの他に、一般的なヨンヤンタンより長く煮込んだ濃厚なスープ 「진국(チングッ)」(10,000w)や、茹でた犬肉とご飯などの定食 「수백(スベッ)」(14,000w)、犬肉を使ったすき焼き風煮 「특미전골(特味チョンゴル)」(15,000w)などの犬肉料理と、「삼계탕(サムゲタン=参鶏湯)」(10,000w)などがある。犬肉料理の店には必ずと言っていいほどメニューにサムゲタンも並ぶ。
店内にはおじさんを中心に客が数組。焼酎を飲みながらヨンヤンタンを食べている人が多い。店は掃除が行き届いており清潔な雰囲気。店のおばさんたちも愛想がよく気持ちのよい対応だ。私たちはヨンヤンタン(8,000w)を注文。
ヨンヤンタンは滋養強壮の効果があるとのことで、韓国ではサムゲタンと並んで、夏のスタミナ食として食べられることが多い。夏の間でも、特に복날(伏日=ポンナル)に食べる習慣がある。伏日は초복(初伏=チョボク)、중복(中伏=チュンボク)、말복(末伏=マルボク)の3日間ある。初伏は夏至後の第3庚の日なので、今年は7月18日。中伏は夏至後の第4庚の日なので、今年は7月28日。そして末伏は立秋後最初の庚の日なので、今年は8月7日。
犬肉スープのもとの名前は개장국(ケジャンクッ)で、ポシンタン(補身湯)と呼ばれることが多かった。しかしオリンピックのソウル(88オリンピック)への誘致にともない、欧米諸国に対するイメージダウンを避けるため、1980年代当時の政府は犬の食用を禁止。犬肉の料理を出す店に対する取り締まり政策を強いていた。
その取り締まりを避けるため、ポシンタンの代わりに作られた名前が영양탕(ヨンヤンタン=栄養湯)や사철탕(サチョルタン=四チョル湯)。사철탕(サチョルタン)は、夏によく食べられる犬肉料理を夏に限らず1年中(サチョル)食べてほしいという意味をこめて犬肉料理店の人が作った名前だとか。また犬の鳴き声 「モンモン(わんわん)」 から、멍멍탕(モンモンタン)と呼ばれることもある。
私がポシンタンを食べるのは確かこれが3度目。昨年、職場の上司らと食べにいったのが私の犬肉デビューだった。どんなものかと半ば恐る恐るだったが、食べてみると普段口にする牛肉や豚肉と大差ないような感じでおいしかった。その店の調理法がよかったのか、特にクセや臭いも感じなかった。
この店のはどんなかなと思っていると、ほどなくポシンタン(サチョルタン)が運ばれてきた。生臭さやクセを消すため、スープにはエゴマ油も入れてピリ辛に仕上げてある。生ショウガの千切りやエゴマのパウダー、배초향(ペチョヒャン)という葉を刻んだものをスープに加えていただく。ペチョヤンは日本語では 「カワミドリ」 というようだ。一見エゴマの葉に似ているが、エゴマの葉より香りも味も強い。
肉は適度に脂身もついていておいしい。味も弾力もやはり牛肉や豚肉とさほど変わらないと思う。言われなければこれが犬肉だとは気がつかないだろう。
付け合わせ(▼)。左下がカワミドリの葉を刻んだもの、その上がショウガの千切り。他は、ナスの胡麻和えやカクトゥギ、キムチなど一般的なおかず。
スープが熱々で辛いせいか、食べている途中から身体がほてってくる感じがした。いかにも夏の滋養強壮食だ。
私たちが食べている間にもどんどん客が入ってきていた。ほとんどが男性で中には夫婦らしき客もいたが、女性はサムゲタンを食べていた。ポシンタンはあまり女性は食べないものなのだろうか。
店のおばさんは私たちが外国人と知り、食べ方などで困ったことがないか気にかけてくれているようで、時々ちらっと目を配ってくれていた。会計のとき、おいしかったですと言うと、それはよかったですと笑顔で見送ってくれた。
88オリンピック当時、店が取締りを受けていたこともあり、犬肉料理は何となく他の韓国料理のようには大きな声でPRしにくいような位置づけにあるように感じる。実際、当時の取締りの名残だろうか、犬肉料理店は大通りに面した目立つところではなく、少し路地に入ったような場所にあることが多い。
また犬はペットとして飼う人も多く、牛・豚・鶏などとは違って食用としてとらえていない人も多い。食糧が乏しかった昔は野良犬を捕まえてきて・・・ということもあったようだが、今は食用として飼育している犬を使っており、これも立派な韓国の食文化の1つだと私は思う。
초원사철탕(チョウォン サチョルタン)
釜山市機張郡機張邑東部里278-11
(051) 722-4348
Posted by dilbelau at 08:59│Comments(0)
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