2012年06月11日

絶品キムチチム

先日、夫が元同僚の方たちから食事のお誘いを受け、私も同席させてもらった。おすすめの店だと案内してくださったのは、대영동(テヨン=大淵)洞にある 「나들목(ナドゥルモッ)」 という묵은지(ムグンジ)料理専門店。ワンルームマンションがたくさん立ち並ぶエリアの一角に建っている。

絶品キムチチム

店名の 「나들목(ナドゥルモッ)」 は、「出たり入ったり」 を意味する 「나들(ナドゥル)」 と 「要所」 を意味する 「목(モッ)」 が組み合わさった言葉で、一般的には高速道路のインターチェンジを表すそうだ。この店名の場合は、インターチェンジというよりは 「多くの人が出入りして賑わう場所」 というニュアンスだろう。

また묵은지(ムグンジ)とは、低温で長期間(6か月以上)熟成させたキムチのこと。一般的なキムチは時間が経つとだんだん酸味が強くなってくるが、ムグンジは徐々にゆっくり熟成させるため酸味はほとんどない。熟成期間が長くなるほど、味に深みが出てよりおいしくなるそうだが、空気に触れないように一定温度で貯蔵せねばならないため、管理は難しい。キムチチゲやキムチチムなどの料理に利用される。

店の入り口には、この店を訪れた客が書き残したメッセージが。普通、色紙などに書くことが多いが、瓦(기와=キワ)に書かれていた。寺院で願い事を書く瓦のようだ。

絶品キムチチム

通路には、かぼちゃや玉ねぎなどが。食材もこのように並べればインテリアのようになる。

絶品キムチチム

店内は木材を多用してあり温かく素朴な雰囲気だ。客席は2階にもある。私たちは窓際の明るい席に座った。開け放った窓からは爽やかな風が入ってくる。早速、同僚の方おすすめの김치찜(キムチチム)を注文。人数によって2万wのものと3万wのものがあるが、店員さんは4人なら3万w(大)がいいでしょうと。ご飯は別途1,000w。

メニューは他にも、김치전골(キムチチョンゴル=15,000~25,000w)、1人用の김치찌개(キムチチゲ=6,000w)、おさけのおつまみ的な도토리물(トットリムッ=どんぐりで作った寒天状の食べ物)や해물파전(ヘムルパジョン=海鮮パジョン)(どちらも1万w)などもある。

まずはおかずが並ぶ。手前の赤いのはムグンジを使ったジョン(お焼き)。赤いが辛くなくおいしい。他に계란찜(蒸し卵)や잡채(チャプチェ)、青唐辛子(辛くない)の和えものなど(▼)。

絶品キムチチム

そしてこの店ご自慢の一品は수수부꾸미(ススブクミ=きびもち)(右▼)。円形に焼いたきびもちを半分に折り、あんこをサンドしてある。あんこは甘すぎず、もちもちふわふわの生地が非常においしい。

絶品キムチチム

そしてこちらがキムチチム(大)(▼)。すでに食べられる状態になって出てくるが、よりおいしく食べるためカセットコンロの弱火で煮ながらいただく。

絶品キムチチム

浅めの鍋には、主役のムグンジ、豚の수육(スユッ=茹でた肉)、豆腐、えのきだけ、かぼちゃ、スライスニンニクなどがきれいに並べられている。このムグンジは “3年もの” だそうだ。

一般的なキムチを作る時と同じく、ムグンジも1株の白菜を縦に4等分に切って漬ける。鍋には白菜4分の1個分のムグンジが入っており、食べやすいように店員さんがキッチンバサミで切ってくれる。白菜の芯の部分も 「ここもおいしいんですよ」 と残さず切り分けてくれた。

店員さんが、おいしく食べるためのコツを教えてくれた。「もう火は通っていますが、具材はどれも別々に用意したものなので、全部の具に味がなじむよう、このまま少しグツグツ煮てください。煮えたら弱火にして召し上がってください。まずキムチを小皿に広げ、その上にスユッとかぼちゃをのせて一緒に食べます。このとき、かぼちゃは水分が多いので非常に熱くなっています。火傷しないよう、かぼちゃだけ先に冷ましておくといいですね」。

そう言いながら、店員さんは実際においしい食べ方の “見本” を見せてくれた。

絶品キムチチム

言われた通り、かぼちゃで火傷しないよう気をつけながら口の中へ。絶品だ。ムグンジの白菜は透けるほど薄く柔らかで、独特の深い味わいをかもし出している。一般的なキムチの刺激的な辛さや塩気が、すっかりマイルドに丸くなった感じだ。スユッはとろとろに柔らかく、豚肉特有の甘さが感じられる。そこにかぼちゃの甘さが加わると絶妙の味わいだ。ムグンジもスユッもカボチャも、どれもそのものだけでも充分おいしいが、一緒に食べることでおいしさが何倍にも増す。

かぼちゃやエノキは無料でお代わりできるそうだ(スユッの追加は10,000w、ムグンジの追加は5,000w)。スープも大変おいしく、残ったらご飯を加えて볶음밥(ポックムパッ)にして食べてもおいしいだろうと思っていたが、具がなくなるころにはスープもすっかり私たちの胃袋の中におさまり、鍋には何も残らなかった。

絶品キムチチム

料理もおいしく、店員さんの対応もとても丁寧で、店内の雰囲気もよい。是非また来たい店だ。いいお店を紹介してもらった。

나들목(ナドゥルモッ)
釜山市南区大淵1洞875-13番地
(051) 611-1999
定休日:第2・4月曜日


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