2010年10月20日

ムーダン

マラソン大会が終わっても、時間を作ってビーチや家の近所などを継続して走っている夫。ほぼ毎日走るので、ビーチ付近の様子はリアルタイムでよく知っている。

先日も、民楽側のビーチの端で何か行事をやっているようだから見てきたら?と教えてくれたので、早速見に行ってみた。

展示されていたビエンナーレの作品も9月末で全部撤去されたビーチは、高く澄んだ空とともにすっかり晩秋の雰囲気を漂わせている。

ビーチを民楽側に向かって歩いていると、舞台の方から音楽が聞こえてき、舞台の前にはテントや椅子が用意されているのが見えてきた。

ムーダン

舞台上では白い衣装を着た1人の女性が、音楽と歌声に合わせて踊っている。踊っているというより、舞を舞っているという感じだ。後で分かったのだがこれは普通の踊りではなく、굿(ムーダンが行う祭祀)なのだそうだ。この女性が무당(ムーダン)というわけだ。

ムーダン

テント下に用意された椅子には、中高年の方々が座っている。

ムーダン

舞台正面に書かれている文章によると、この行事は 「洛東江戦闘戦死者慰霊祭および6・25有功者敬老慰安会」 なのだそうだ。「6・25」 とは言わずとしれた朝鮮戦争のことだ。1950年の6月25日に勃発したことから、韓国では 「朝鮮戦争」 より 「6・25(육이오=ユギオ)」 と呼ばれることが多い。

主催は、大韓民国6・25参戦有功者会 釜山支部と大韓民国武功受勲者会 釜山支部と書いてある。

ムーダン

朝鮮戦争開戦後わずか3日間でソウルを占拠した北朝鮮軍が、洛東江近くまで破竹の勢いで南進を継続。最後の防御線、洛東江陥落をはばむための激しい死闘が繰り広げられた洛東江戦闘。映画 『포화속으로(砲火の中へ)』 の題材ともなった戦闘だ。

横断幕に 「10月16日(陰暦9月9日)土曜日 9~20時 昼食提供」 と、この行事の開催日時が書かれているのを見て思い出した。今年のチュソクのとき、夫の教え子さんの親戚の家で、チュソクの儀式・茶礼(チャレ)に参加させてもらったとき、教え子さんの叔父さまが教えてくれたことを。

韓国では朝鮮戦争で戦死したなど、正確な命日が分からない人の場合は、みな9月9日に法事を執り行うと決まっているのだそうだ。9月9日という日にちは、陰陽道では1年のうちで陽の気が最も極まる、大変縁起の良い日だからだそうだ。

なるほど。陰暦の9月9日は、陽暦では今年はこの日10月16日。教え子さんの叔父さんが教えてくださった通り、朝鮮戦争での命日不明の戦死者の合同慰霊祭が行われているというわけだ。加えて、朝鮮戦争に加わって生きて帰ってくることができた有功者たちの慰安会も兼ねている、ということらしい。

また、舞台の横には観客用のとは別のテントがあり、「영령들이여 편히 잠드소서(英霊よ、安らかに眠られんことを)」 という黒い横断幕が掲げられている。

ムーダン

テントの中には、立派な祭壇のようなものがしつらえられてあり、たくさんのお供えものが並べられている。洛東江戦闘を含む朝鮮戦争で亡くなった人たちの英霊へのお供え物らしい。

ムーダン

ムーダン

この日、ここを訪れた有功者たちには昼食も提供され、時間の許す限りゆっくりと舞台上の歌や踊りなどを楽しんでいってください、ということだろう。

また、生きて帰ってくることのできた有功者たちにとっては、慰安の会でもあると同時に、ユギオで亡くなっていった戦友たちのことに思いを馳せる場でもあるのだろう。

つづく


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