たけちゃんのお元気カレー

dilbelau

2013年03月19日 08:35

最近、釜山で日本式カレーの食堂が増えてきている。今年1月24日、南浦洞(ナンポドン)にオープンした 「お元気カレー」 もその1つ。韓国生活19年目という“たけちゃん”こと武田勇記さんが経営する店だ。メニューはカレーライス1種類のみ。値段は3,900ウォンで先払い式だ。

もとは韓国の大学などで日本語を教える仕事をしていた武田さん。その後、西面(ソミョン)など釜山各地でストリートライブを続けてきた。最初は、韓国で日本の歌を日本語で歌うことについて、それを聞いた韓国人がどういう反応をするか心配もあったという。しかし、「杞憂でした。今まで1回だけ、酔っ払った人に話をふっかけられたことはありましたけど、その1回だけですね。むしろ、たくさんの人が応援してくれました」。

カレーの値段(3,900ウォン)にも、これまでの韓国生活の中で多くの人にもらった親切やさまざまな出会いに対する感謝の気持ち 「サン(3)キュー(9)」 が込められている。

店は国際市場近くの細い路地が入り組んだところにある。テンポは2階にあるが、階段の上り口もギターなどで賑やかに飾り付けてあるのでけっこう目立つ(▼)。


階段にも 「案ずるより産むが易し」、「笑う門には福来る」 などという日本語が貼りつけられ、階段脇の壁にも日本関連のものがところせましと貼られている。


店内も日本に関するありとあらゆるもので飾られている。「最初は何もなくてあまりに寂しかったから、いろいろ飾っているうちにいつの間にかこうなりました」。日本の本や雑誌はもちろん、お菓子や食品の空きパッケージ、小物類であふれている。ポスター代わりにと張った日本のスーパーのチラシには、韓国人女性客が興味を示すそうだ。オクラなど韓国では売られていない食材などを珍しがるのだとか。


また武田さんはマラソンも趣味だそうで、参加した大会のぜっけんやTシャツなどもディスプレイされている。


もともと料理は好きだったという武田さん。しかし、同じカレーでも店では大量に仕込まねばならないため、少人数分を作るのとは勝手が違い苦労もあったそうだ。「試行錯誤しながら、ようやく安定した味を出せるようになりました」。

スパイスのバランスのよいカレールーだ。野菜やキノコ、肉の旨みがうまく引き出されている。ご飯やルーの量は好みに応じて調節できる。一緒に出てくるお吸い物もやさしい味だ。韓国ではビビンバのように、カレーライスも全体をよく混ぜてから食べるのが一般的。しかし、このカレーはできれば混ぜずにそのまま食べた方がおいしいですと各テーブルに表示してある。



武田さんは大学などで日本語を教えていた頃、教える側と教わる側の間に一線があるのを感じそれに違和感を覚えていたという。「教える、教わるという関係ではなく、もっと自然に対等な関係で日本語を話せる環境を作りたかった。それもこの店を開いた理由の1つです。何度か続けて来てくれる韓国人のお客さんもいらっしゃって嬉しいですね」。

また店の一角にはギターとキーボードが設置されている。「夜にはこうやって照明を落として弾き語りすることもあるんです」。そう言って披露してくれた 『なごり雪』 を聴きながら店内の壁に目をやると、お客さんに向けた武田さんのメッセージが目にとまった。

カレーを食べて元気になってください。
カレーを食べて幸せになってください。
あったかい、あったかい、あったかい、
君とカレーライス



お元気カレー
釜山市中区新昌洞1街19-12(2階)
051-907-9578
営業時間:11:30~21:00(L.O.20:30)
定休日:未定

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