2010年12月23日

キムジャンスタイル 1

韓国の冬の風物詩ともいえる김장(キムジャン)。収穫できる野菜が乏しくなる真冬の間も食べられるように、冬のはじめに漬けるキムチのこと、またはそのキムチを漬ける作業のことをキムジャンと呼ぶ。毎年12月頃、翌年の春ごろまで食べられるぐらいの(あるいは1年中食べられるぐらいの)キムチを大量に漬け込む。

キムジャンの時期は地域によって少しずつ変わる。気温などを参考にしてキムジャンを漬ける時期を決める。気温の低いソウルなど北部地域から漬け始め、韓国の中でも温暖な釜山などは12月入ってから行うことが多い。”キムジャン前線” が徐々に南下してくるというわけだ。

キムジャンは大量に漬けるので、白菜や唐辛子など各種材料も大量に必要だ。白菜も1株や2株ではなく10株、20株と大量に買い込むので、その費用だけでもバカにならない。そのため、「キムジャン手当て」 なるボーナスを支給する会社もあるのだそうだ(最近では減ったと聞くが)。

キムチを作るには、白菜を縦4等分ぐらいに切って塩漬けし、ヤンニョム(調味料)を配合して、それを塩漬けした白菜の葉1枚1枚に塗り広げ・・・とけっこう手間がかかる。ましてやそれが10株、20株ともなれば到底家庭の主婦が1人でできる作業ではない。

そのため普通は親戚同士やご近所同士の主婦が数人ずつ集まり、”今日は〇〇さんちのキムチ”、”明日は△△さんちの” ・・・というように、協力し合いながら各家庭のキムジャンを漬けていく。

しかし、日本同様高齢化社会が進んでいる韓国では、独居老人も少なくない。また経済的な事情で、白菜などの材料を買うことができない家庭もある。自分ではキムジャンを漬けることが難しいこのような人たちのため、キムジャンを漬けてそのような家庭に配達するボランティア活動も、この時期毎年行われニュースでも報道される。

テレビでも新聞でも何度も見たこのボランティアのキムジャン漬け、今年は私も体験してみる機会がめぐってきた。

時々、通訳や翻訳のお手伝いをしている近所の総合病院。数ヶ月前からその病院の職員3人と、彼女たちの昼休みを利用して週に1回日本語を一緒に勉強している。先日メンバーの方から、”病院のボランティア活動の一環として、キムジャンに行くことになったので、今週の日本語の勉強はできなくなりました” と連絡があった。

授業はじゃあまた来週に、ということで一旦電話を切ったが、もし可能なら私もキムジャンを見学させてもらえないだろうかと思い、彼女に電話してみた。すると 「見学だけでなく、一緒に作業されてもいいですよ」 との返事。それならと、全くの未経験者ながら参加させてもらうことにした。

当日はヤンニョムで汚れてもいいような服装で来るように、とのこと。私は靴のことまでは思い至らなかったが、中には真っ赤なヤンニョムが落ちても目立たないよう、赤いスニーカーで来ている人もいたし、長靴持参の人もいた。なるほど。

病院に集合して車で水営区庁(区役所)まで移動。この日は、水営区のセマウル婦人会の人たちと病院の職員が共同で行うキムジャンなのだそうだ。私たちが到着したら、すでに婦人会の人たちはいらしていて温かいコーヒーを出してくださった。

さて、まずは服装から。最初に使い捨てのナイロン製の雨合羽を着て、その上にエプロンをつけ、さらに病院の名前入りのベストを着る。

手には、まず白い綿手袋をはめ、その上にナイロン手袋、さらにその上に長いゴム手袋をはめる。最後に、雨合羽の袖口をゴム手袋の中に入れ込んで完成。さらに、手術室に入るときのような使い捨ての帽子をかぶる。マスクをつけて作業する場合もあるそうだ。雨合羽や手袋などは全て病院が準備してくれていた。

カメラを向けるとポーズしてくれた病院の職員の方たち。これ、これ。テレビでよく見かけるキムジャンスタイルだ。

キムジャンスタイル 1

作業はこのテントの下で行う。まずは作業内容の説明を聞く。

キムジャンスタイル 1

つづく


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