ざるそばと忠武キムパッ

dilbelau

2013年08月15日 08:33

釜山は韓国の他地域に比べ夏の暑さも冬の寒さもマイルドな方だ。この夏も7月の間は最高気温がせいぜい30~31度だったが、8月に入ると34度を超える日もあるなど、釜山も厳しい暑さとなっている。

こう暑いとやはり、あっさりと冷たい麺類などが食べたくなる。この日は上司と원앙(ウォナン)という小さな食堂へ。

2階建ての建物の中にはテーブルがぎゅっと詰め込まれている感じで、通路も人1人が通るのが精一杯。もとは1階部分しかなかったが、客がたくさん来るため2階部分を建て増ししたのだそうだ。2階への階段も非常に急で、階段下の斜めの空間も客席として活用されている。

客もどんどん入ってくるので食べ終えたらすぐ席を空けなければならないし、決して落ち着いてゆっくり食べるという雰囲気の店ではないが、それでもかなり人気のある店だ。

さて、この日のお目当ては판모밀(パンモミル=ざるそば)。単品では物足りないので충무김밥(チュンムキムパッ)とセットになったものを注文した。

チュンム(忠武)キムパッは、一般的なキムパッとは違い、海苔巻きの中はご飯だけで具は一切入っていない。また海苔巻きの大きさも、普通のものとは比べ物にならないほど細く、長さも短い一口サイズだ。また海苔にごま油が塗られていないのも、普通のキムパッとは違う点だ。


一緒に出てくるぶつ切りのカクトゥギとイカの和え物と共に食べる。食堂で食べる場合はお箸で食べればよいが、テイクアウトする場合は爪楊枝がついてくるので、その爪楊枝で忠武キムパッやカクトゥギ・イカの和え物を突き刺して食べるのが、韓国スタイルだ。

この個性的な忠武キムパッは、충무(忠武)が発祥の地。現在の統営(トンヨン)市で、慶尚南道南部の南海沿いにある固城半島に位置する。

そこがまだチュンムと呼ばれていた当時、普通のキムパッを作って売っていた어두이(魚斗伊=オドゥイ)というおばあさん。夏の暑い日ざしの下ではキムパッがすぐに傷んでしまうため、どうすればよいかと頭を悩ませていた。ある日、昔の人々はお弁当が傷んでしまわないようご飯とおかずを別々に詰めていたことをヒントに、キムパッを改良したそうだ。それがこの忠武キムパッのはじまりと言われている。

ご飯の中央に具を置いて巻いた海苔巻きから、ご飯だけを巻いた一口サイズの海苔巻きとおかず(カクトゥギ・イカの和え物)を別々にするよう改良したのだ。

忠武キンパッの海苔巻きはいわば細長いおにぎりのような感じだが、塩味も何もついていないので、添えられているカクトゥギやイカの和え物が味のアクセントになる。

ざるそばのソバは日本のものより細く、麺つゆ(汁椀に入っている▼)は少し甘め。麺同士がくっついてほぐしにくいのが難点だが、暑い夏でもつるつると食べやすい。


ほかにもピビムパッやうどん、トックッ(餅入りスープ)などメニューはいろいろあり、いずれも手ごろな値段だ。


원앙(ウォナン)
釜山市東区水晶2洞241-4
(051) 462-8069

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