じゃがいも
先日、「映画の殿堂」 で映画 『지슬(チスル)』 を見た。6,000w。「済州(チェジュ)4・3事件」 を扱った오멸(オ・ミョル)監督の作品だ。低予算の独立映画としては異例の興行成績を残したと言われる映画だ。
この日も、映画の殿堂の小劇場はほぼ満席。先生に引率されてきたのか、高校生くらいの集団も見に来ていた。
『チスル』 を紹介する釜山日報の
記事によると、『チスル』 は初公開された昨年、BIFF(釜山国際映画祭)でNETPAC賞と市民評論家賞、韓国映画監督組合賞、CGVムービーコラージュ賞の4部門を席巻した。今年は、アメリカのサンダンス映画祭ワールドシネマ劇映画競争部門の審査委員大賞や、フランスのヴズール国際アジア映画祭の最高賞も受賞したそうだ。
映画は、これまで劇映画として取り上げられることがほとんどなかった 「済州4・3事件」 をテーマにしていることや、祭祀形式を取り入れた斬新な映画スタイルであることなどでも大きな話題となっていた。
祭祀形式の映画とはどういうものか想像がつかなかったが、見ればなるほどというものだった。白黒の映像も効果的だった。
김기덕(キム・ギドク)監督の 『피에타(ピエタ)』 もそうだったが、観客に想像させることで表現する部分が多かったように思う。映像を白黒にすることでかえって鮮やかな色彩を思い描かせたり、また、ある出来事の結果を見せることでその過程を想像させたりといった、間接的な表現が。
それにしても済州方言は想像以上だった。字幕がなかったら7~8割くらいは理解できなかっただろうと思う。わざわざ字幕がついているくらいだから、済州島以外で暮らす韓国人にとっても聞き取りにくいということだろう。
タイトルの 「チスル」 は 「감자(カムジャ=じゃがいも)」 の済州方言。何の変哲もないジャガイモが、映画の中では非常に大きな存在感を放っていた。
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