寄贈毛髪でかつらを

dilbelau

2012年11月01日 09:26

先日、職場の上司が 「これ何だか分かる?」 と、袋に入った髪の毛を私に見せた。「髪の毛・・・ですよね」 と答えた私に上司は 「そう。娘の髪の毛。何に使うと思う?」 とおっしゃる。「筆・・・にしては長いですよね」 と答えると、「かつらにするんだよ」 と教えてくださった。



白血病などの小児がんと闘う小児患者用のかつらを作るため、一般市民が毛髪を寄贈するシステムがあるのだそうだ。他にもあるのかもしれないが、上司が今回利用したのは(社)韓国白血病小児がん協会という団体。HPには毛髪寄贈の手順が分かりやすく書かれてある。

必ずしも子どもの毛髪である必要はないようだが、長さが25cm以上あり、パーマや染色していないものが条件だそう。

そういうシステムや団体が存在することを私は知らなかったが、日本にも、寄贈された毛髪でかつらを作り小児患者に無償提供する 「JAPAN HAIR DONATION & CHARITY」 というNPO法人があるのだそうだ。

上司は 「これが切る前と切った後の写真」 と、写真も見せてくれた。毛髪寄贈のことを知ったとき、髪がまだ25cmには足りなかったので、数ヶ月間このために伸ばしていたのだそうだ。





協会に毛髪を送るときには一言手紙も添えることになっているそうで、お嬢さんが奥様と一緒に書いたという手紙も見せてくれた。

「短くなった髪は軽いし、自分と同じ年くらいのお友だちの役に立てて嬉しいです。私の髪がかつらに変身して、病気のお友だちに希望と勇気を与え、それによって1日も早く病気が治ることを祈っています」 などと書かれていた。

毛髪を寄贈した人には後日、感謝状が送られてくるのだそう。

非常にいいシステムだと思う。特に、今回のように子どもが毛髪を寄贈する場合、自分が髪を送ることで、病気で苦しむ自分と同い年くらいの誰かの役に立てるのだという、強い手ごたえを感じることができるだろう。立派な社会参加であり、ボランティア活動だ。誰かのために行動するということの貴重さを学ぶことができと思う。

また、かつらを受け取った小児患者も、闘病中の自分たちのためにと毛髪を寄贈してくれた、見ず知らずの誰かの好意を感じることで、病と闘っていく勇気を持てるかもしれない。

JAPAN HAIR DONATION & CHARITY(JHDAC)のHPに、「JHDACの理念」 という文章が書かれていた(以下)。こういうふうに社会が成熟していくことを願う。

*****

私たちJHDACが「理想」とする社会とは、必ずしも“ウィッグを必要としない社会”です。病気や事故で髪を無くしても、クラスメートから奇異な目で見られることも無く、これまで通り友だちとして接してくれる、そんな仲間や友人がいる学校。ウィッグを身に着けていなくても、電車の中でジロジロと見られない社会。色んな髪型が個性として認められている様に、“髪が無い”ことも、1つの個性として受入れられる、そんな成熟した社会を目指して、微力ながら活動を続けていこうと考えています。

*****

関連記事