包丁とぎ
自宅の近くには、小さいながらスクランブル交差点がある。歩行者の数が多く人目につきやすいため、その交差点には時々、傘修理、ミシン修理、包丁研ぎのおじさんが来る。
おじさんが来るといっても、小ぶりのキャリーバッグを改良した 「商売道具入れ」 兼 「広告塔」 が歩道に置いてあるだけで、当のおじさんの姿を見かけたことはほとんどなかった。目立つように傘を広げ、連絡先の携帯番号も書いてある。電話がかかってきたらすぐこの場所に来られる場所で待機しているのだろう。
この日は、おばさんが包丁研ぎを頼みに来たようだ。広告塔のそばに座り込んで、おじさんが慣れた手つきで包丁を研いでいる。おばさんは隣でそれを待ちながら、おじさんと世間話でもしているようだ。
実にのどかで、見ていてほっとするような光景だった。
関連記事