草梁ミルミョン

dilbelau

2012年05月29日 20:38

このブログを通して知り合ったOさんが先日韓国に来られたので、夫と3人で夕食をいただいた。この日向かったのは、釜山駅前の 「초량밀면」=チョリャン(草梁)ミルミョン。

밀면(ミルミョン)とは、冷麺に似た釜山名物の麺料理。冷麺がそば粉で作る麺を使うのに対し、ミルミョンは小麦粉とサツマイモやジャガイモのでんぷんを配合した麺を使っているのが特徴。

牛骨でとったダシと各種薬草や野菜を煮て作ったスープを、冷たく冷やして麺と一緒に食べる 「물밀면(水ミルミョン)」 と、スープがなく辛いヤンニョムを混ぜて食べる 「비빔밀면(ピビムミルミョン)」 の2種類があり、どちらも釜山では夏場に好んでよく食べられる。ミルミョン専門店の前には長い行列ができることもしばしば。

ミルミョンの由来は3つの説があるそうだ。

1.朝鮮戦争時代に釜山に押し寄せてきた避難民が、空腹をおさめるために作った。当時、北の方から避難してきた人が故郷でよく食べていた冷麺は、そば粉を入手するのが困難なために作ることができず、代わりに小麦粉やサツマイモ・ジャガイモなどのでんぷんを使って麺を打った。

2.北朝鮮の함흥시(咸興市)出身の母娘が、釜山で冷麺屋を開いた。しかし、冷麺の材料であるそば粉が入手困難であったことと、釜山の人にそば粉で作った冷麺が人気がなかったことから、小麦粉で代用して麺を作った。

3. 진주 밀국수 냉면(晋州ミルククス冷麺)が由来となっている。昔から晋州には、いりこでとっただしで作ったミルククス冷麺があった。1925年に慶尚南道の道庁が晋州から釜山に移ったとき、晋州のミルククス冷麺も釜山に移り、釜山ミルミョンとして創作された。

由来はともかく、釜山の夏といえばミルミョンというほど、釜山の人々に愛されている料理だ。

釜山では 「冷麺専門店」 は見かけないが、「ミルミョン専門店」 はたくさんある。ここ 「チョリャン(草梁)ミルミョン」 も人気店の1つ。夏には長い行列ができる。この日も、行列こそできていなかったものの、たくさんの客が次から次へと入ってきていた。

メニューは、물밀면(水ミルミョン)、비빔밀면(ピビムミルミョン)、해물칼국수(海鮮カルグクス)の3つの麺メニューと、왕만두(ワンマンドゥ=3,500w)。3種の麺類はいずれも 「小」(3,500w)と 「大」(4,000w)がある。

前回来たときも、「小」 を注文したが、ボリューム的には 「小」 という感じではなく、スープまでいただくとけっこうおなかいっぱいに。この日も、3人それぞれ 「小」 の물밀면と、ワンマンドゥを1つ注文した。

まず、アツアツの육수(ユクス)が、年季の入ったアルマイト製の小さなヤカンに入って出てくる。ユクスは肉を煮出したスープで、ミルミョンや冷麺にはつきものの飲み物だ。やがてミルミョンが運ばれてくる。相変わらず芸術的に美しく盛りつけられて、見た目にも美しい。



お好みでスープに酢とカラシを加えていただく。冷麺ほどではないが、ある程度コシがある麺なので、まず麺の塊に上から十文字を入れるようにキッチンバサミで切って、全体をよく混ぜていただく。



一部シャリシャリに凍るほどよく冷えたスープはユクスのダシがおいしく、麺の上に添えられている真っ赤なヤンニョムと合わさることで独特な味わいを生み出す。ミルミョンに欠かせない付け合わせは、薄切り大根の漬物(▼左)。



ワンマンドゥ(大ぶりの蒸し餃子)は6個で3,500w。モチモチした皮に具がぎっしり詰まっていておいしかった。





ミルミョンもマンドゥも非常においしくいただいた。



초량밀면(草梁ミルミョン)
釜山市東区草梁洞363-2
(051) 462-1575

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