まさに職人! 何でも屋さん

dilbelau

2012年03月07日 21:18

今回の引っ越しでもお世話になったのは 「만물상(マンムルサン=万物商)」 のおじさん。「마무리(マムリ=仕上げ)」 とも言うよう。いわゆる何でも屋さんだ。

確か韓国に来て間もない頃にこのおじさんの存在を知人から教えてもらい、ベランダの天井に吊り下げ式の物干し台をつけてもらったり、玄関のドアに網戸を取り付けてもらったりとお世話になった。

中でも印象に残っているのは、ベランダの配水管が錆びて穴が開き、そこから水漏れしていたのを修理してもらったときのこと。

最初は、当時の夫の職場関係の施設保守のおじさんが修理に来てくれた。穴をセメントでふさいでくれたのだが、作業後おじさんが言うには 「数時間はセメントを乾かすために配水管に水を流したらダメです」。

ダメですと言われても、配水管はアパートの上層階から下層階まで貫いている。上の階の誰かが洗濯機を使って水が流れたら終わりだ。

案の定、おじさんたちが帰っていって間もなく、上の階から水が流れてくる音がし、セメントはあえなく決壊。予想通りの成り行きだ。

そのおじさんたちでは、それ以上手の打ちようがないようだったので、マンムルサンのおじさんに来てもらった。すると、錆びて穴が開いた配水管の下部を電動ノコギリで切って取り除き、代わりにプラスティックの筒状のものを新しく取り付けてくれた。これで完全に水漏れがなくなった。

これぞマンムルサンの技だと感心した。

今回の引っ越しでも、劣化してそこらじゅうに穴が開いていた網戸の張り替えや、ベランダ天井の物干し取り付け、ベランダの引き戸の開閉の調整、絵をコンクリート壁にかけるためのフックの取り付け(電動ドリルで)などなど、いろいろお願いした。

特にこのアパート群は築30年ほど経ち老朽化もみられるので、単に修理するだけでなく仕上げの微調整が求められることが多い。そういう部分も丁寧に、こちらが、いや、おじさん自身が納得できる仕上がりになるまで作業してくれる。

料金も良心的で、作業の腕も確かだ。「お金になるなら何でも適当にやってやろう」 ではなく、自分の手に負えないと思うことははっきりと 「自信がない」 と言って、安易に引き受けたりしない。

何でも器用にこなされる。そういう技術はどこで習ったのかと尋ねると、一言 「独学」。もともと手作業が好きで、好きが高じて職業になったそうだ。

いつも肩から下げている道具の入ったカバンを持たせてもらったことがあるが、びっくりするほど重かった。そういうカバンを2つ、両方の肩にかけて歩いて移動する。作業内容も多岐にわたり大変な仕事だと思うが、何よりご自身の仕事に誇りを持っていらっしゃる様子が感じられる。まさに職人さんだ。

実に信頼できるマンムルサンのおじさん。今日も忙しくあちこち回っていることだろう。




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