先日、知人からおいしいと聞いた 「무궁화(無窮花=ムグンファ)」 という名前の食堂へ、夫と昼食を食べに行った。ムグンファ(むくげ)は韓国の国花だ。店の前は何度か通ったことがありその存在は以前から知っていたが、ちょっと高級そうな店構えなので何となく入りづらく、入るのはこの日が初めてだった。
店は建物の2・3階部分。新しくはないが、豪邸風の立派な建物だ。1階部分では店で使うカルククスを製麺する作業場がある。門と建物の間には駐車スペースもある。
店員さんの案内で入ったオンドル部屋には4人用のテーブルが6つ。すでに5つが埋まっていた。少し遅めの時間帯だったが続々と客が入ってき、店の人気ぶりがうかがえた。
店の主なメニューは、牛肉のしゃぶしゃぶ(メニュー名は 「ジンギスカン」)・焼肉や、간장게장(カンジャンケジャン)、곱창전골(コプチャンチョンゴル)、국수전골(ククスチョンゴル)、そしてこの店一番人気だという 「만두전골(マンドゥチョンゴル)」(10,000w)など。
私たちはマンドゥチョンゴルを注文。この部屋のほかの客も皆マンドゥチョンゴルを食べているようだった。まず、ダシを張った鍋がコンロの火にかけられる。調理は全て店員さんがしてくれるので安心。ダシが煮立った頃を見計らって、牛肉・キノコ・春菊やネギなどの野菜類が美しく盛られたお皿と、主役のマンドゥとカルククスが運ばれてくる。きれいなお肉だ。
まず、煮立ったダシにマンドゥとカルククスを投入(▼)。カルククスに添えられているコチュジャンらしき調味料ごと入れる。このダシは漢方薬に使われる材料や、カツオなど魚の粉末、大根・ネギなどの野菜を10時間以上煮込んで作るものだそう。フタをしてしばし待つ。
また頃合いを見計らって、店員さんが肉や野菜など残りの材料を鍋に入れてくれる。何組ものテーブルを担当して忙しそうだが、丁寧な愛想のいい店員さんだ。
鍋が食べごろになるまで、パンチャン類をつまむ。左上(▼)から時計回りに、海草の和え物、野菜サラダ、도라지(トラジ=キキョウの根)の和え物、白菜キムチ。トラジは苦味もなくおいしい。
同じく左上(▼)から時計回りに、春雨サラダ、オデン(魚肉練り物)と野菜の炒め物、カクトゥギ。
「もう少し待ってくださいね」 と(▼)。いい匂いだ。
やがて食べごろになると、店員さんがカルククスや牛肉・キノコ・野菜を適量、器に盛り付けてくれる(▼)。非常においしい。カルククスと一緒にコチュジャンも入れたが辛くなく、日本人の口にもよく合う味だ。とてもおいしいおダシ。器や湯呑みにも、店名のムクゲのマークがプリントされている。
マンドゥは大きなもの2つが1人分。
マンドゥを割ると、中から고추기름(唐辛子油)のようなものがじわっと出てくる。野菜たっぷりのマンドゥは皮が薄めで私好み。ボリュームたっぷりだ。
マンドゥにカルククス、牛肉に野菜、キノコと、一つの鍋でいろいろな味を楽しめるのが嬉しい。そしてダシも絶品。これで10,000wはリーズナブルだ。
締めに죽(ジュッ=お粥)(3,000w)を追加。店員さんがダシの量を調節してくれるのだが、そんなに減らすのかと思うほどダシの量は少なくする。ご飯と卵、海苔を入れたらしばらく待つ。ご飯は、一般的な韓国の食堂のご飯1人分ぐらいだ。
出来上がり(▼)。お粥は1人分なので2人で食べるには少なめだが、すでにけっこうおなかいっぱいだったのでこれぐらいでちょうどよかった。しかしこれで3,000wは少々高い気がする。
お粥というより、日本で言う雑炊だ。おいしいダシや食材の旨味を吸って、これまた非常に美味。後を引くおいしさだ。
食後には수정과(水正果=スジョングァ)(▼)。ショウガ汁にハチミツや砂糖、ニッキなどを加えて冷やした飲み物で、韓国では食後によく登場する。ショウガがきいていてなかなかスパイシーな味だった。口の中がさっぱりする。
どれもおいしくいただいて大満足。店員さんも非常にテキパキしていて、おかずがなくなっていたらすぐお代わりを持ってきてくれたりとサービスが行き届いている。
会計のときに聞いてみると、この店はオープンして17年ほどになるのだそうだ。韓国では長年続く老舗の部類に入るだろう。廊下や階段も古いながらもよく磨き上げられピカピカに光っていた。おいしさとサービスの良さが、人気の秘訣だろうと思った。
무궁화(無窮花=ムグンファ)
釜山市水営区南川1洞50-7
(051) 623-5700