日本よ、泣かないでください 2

dilbelau

2011年11月27日 09:20

つづき

チョン・ホスン氏は、今年3月に発生した東日本大震災に接し、このような詩を作っていたのだそうだ。以下、2011年3月17 『중앙일보(中央日報)』 に掲載されたものをご紹介。訳は임용택(林容澤)氏=仁荷大学教授。萩原朔太郎の研究者で、ハングルで詩集 『月に吠える』 を翻訳。

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『日本よ、泣かないでください-東日本大震災の惨事を哀悼する』

日本よ、泣かないでください
日本よ、立ち上がってください
地震で崩れた地にも花は咲き
津波で倒れた海岸にも鷗は飛びます
2011年3月11日仙台の東沖
巨大なる地震の波
凄まじい勢いで海岸を呑み込み、村を飲み下し
車 と汽車をおもちゃのごとく吸い込んで、原電をも爆発させる
我が愛する父と母
懐かしい友と兄弟たち
その数万の尊い命までを一瞬に呑み込んでしまった
大地震の荒波の前で
桜咲く日本の春は忽ち消え失せたが
ああ、その黒い高波の中に東京の春は音もなく
消えうせたのだが
日本よ、あなたは泣かないでください
日本よ、あなたは立ち上がってください
今世界があなたの涙を流しています
今人類はあなたの涙を拭いています
これは日本の災難ならぬ地球の災難
これは日本の不幸ならぬ世界の不幸
今こそ失ったものより残ったものを考える時です
国家の躓きを国民のさらなる踏み石とし
真の日本の力を見せる時です
我々の最も恐れることは恐怖心そのものだから
怖がることはありません
不幸だと思うことはありません
運命を愛してこそ不幸は消え去るものです
宇宙の広大さを考えてごらんなさい
宇宙の中の地球がいかにちっぽけなものなのかを
時たま神は人間にパンならぬ石ころを投げるものの
神もある人の不幸の前では呆然となる時があるものです
神は片方の門を開けずに片方の門を閉めないものだから
決して希望を捨ててはなりません
日本は寂しくないのです
日本の忍耐心は他ならぬ人類の忍耐心なのです
生と死との分かれ道でも
秩序を守り、お互いを配慮し合う姿は偉大です
崩れ落ちた道路でも信号に従い道を渡るあなたは美しいのです
一本のミネラル・ウォーターを得るために数百メートルの列をも辞さないあなたも偉大です
あなたたちの落ち着きぶりと秩序意識
あなたたちの他人を愛し、配慮する心が
再び日本を立ち上がらせるはずだから
ビルの上に乗っかった旅客船が再び青い海へ戻り
爆発した原電が再び安全に電気を送り
あなたは以前のように地下鉄の中で日常を楽しみながら出勤できるはずだから
日本列島よ、泣かないでください
日本列島よ、希望の力で立ち上がり、
またも国民の心と心とを繋ぎ合わせ
平和の新幹線を走らせてください

*****

さて、チョン・ホスン氏の2編の詩の朗読の後は、再びアン・チョルス氏の歌に戻る。後半も 『사람이 꽃보다 아름다워』 などで会場はノリノリだ。アンコールに応えて歌ってくれたのは、20年ぶりに同窓会に出席したときの気持ちを歌った 『오늘이 좋다』。まるで同窓会の様子がこちらにも伝わってくるかのような歌だった。

最後の挨拶では、1人2役(アン・チファンと関係者の役)のトークも。

「いつもこういう場で言いたくて、でもなかなか言えない話があるんだ」
『言えばいいじゃないですか』
「でも、なかなか言えないよ」
『自分のステージなんだから、言いたいことを言えばいいんですよ』
「でも・・・やっぱり言えないよ。CD販売してます、だなんて・・・」

と、この日ロビーで販売していた自分のPRを、茶目っ気たっぷりにアピール。



(▲左からギター、キーボード各担当、中央がアン・チファン氏、右へドラム、ベース各担当)

彼の歌はメッセージ性が強く、エネルギーにあふれた迫力のある歌声がよく似合う。今はハスキーな声もまじるが、職場の上司によると昔はもっとソフトな歌声だったのだそうだ。

23歳でデビューして今年で22年。声は変わってきても、歌を通して自分を表現する姿勢はデビュー当時のままなのだろう。




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