「はい、いいえ」

dilbelau

2011年06月20日 09:03

少し前から道路脇にこんな横断幕が取り付けられているのが気になっていた。



横断幕には 「예(イェー=はい) 아니오(アニオ=いいえ)」 とだけ書かれ、「예(はい)」 の方に赤色でチェックされている。何が 「はい いいえ」 なのか・・・。他には一切何も書かれておらず、唐突に取り付けられている。



自宅から職場までバスに乗っている約30分間に、窓からこの横断幕を5つも6つも見かける。一体何なんだろうと非常に気になっていた。すると先日、釜山の代表的な新聞紙 「부산일보(釜山日報)」 の紙面でも、同じ 「예(はい) 아니오(いいえ)」 を見かけた。





















「“南男北女” (*1) の “南男” とは、釜山の男のことである。同意しますか?」

「左右どちら側を使えばいいのか、ソロモン王でも分からない映画館の椅子の肘かけ。同意しますか?」

それぞれ、下のほうに 「はい いいえ」 の選択肢がある。このようなものが、毎日1つずつ新聞紙に掲載されているのだ。時には1面トップのかなりのスペースを割いて。これも広告なのか何なのか、誰が掲載しているのかも書かれていず、一体何のために掲載されているのか分からない。しかしだからなおさら気になる。

どうも、道路脇の横断幕と新聞の掲載は関連がありそうだと思っていたら、先日同じく 「釜山日報」 の6月16日付けに、「はい いいえ」 のナゾを解き明かす記事が掲載されていた。

横断幕や新聞に広告(?)を掲載していたのは、「C1(시원=シウォン)」 という焼酎で有名な 「대선주조(大鮮酒造)」だったのだ。釜山日報の記事によるとこれらは、大鮮酒造(近々釜山の中堅造船資材会社BNグループに買収される見込み)が開発している新製品を宣伝するための 「ティーザー広告」 (*2) なのだそうだ。

この横断幕は、6月13日からその出どころを伏せたまま突然街のあちこちに出現。14日の時点で釜山地域に700ヶ所以上取り付けられていたそうだ。

大鮮酒造の関係者によると 「他との差別化を図り、破格のコンセプトで消費者にアピールするためのもの」 だそう。新製品に対する関心を集め、発売開始と同時に市場占有率を上げるためには、強力な広告が必要だったとのこと。

では、この広告にどういう意味があるのだろうか。新聞広告と横断幕はいずれも 「はい いいえ」 と書かれているのは同じ。しかし横断幕にはいずれも 「はい」 の方に印がついているのに対し、新聞広告にはどちらにも印がついていない。ただどれも 「はい」 という答えを誘導する質問ではある。

やはり 「예(イェー=はい)」 が何か決定的なカギになっているようだ。新製品が 「예(イェー)」 という単語を含む名前である可能性も高いだろう。この 「ティーザー広告」 は6月26日まで続けられ、新製品は6月末か7月はじめには発売される予定。

新製品は度数の低い焼酎だそうだ。韓国で人気の焼酎 「좋은데이(チョウンデイ=良い日)」 と競うこともできると、大鮮酒造側は自信を見せる。度数16.9%の 「チョウンデイ」 と同じぐらいか、それより低い度数になるのか。また、「C1」 が焼酎業界で初めて、焼酎にアスパラギン酸を添加したことで話題になったように、大鮮酒造の新製品もどんな添加物を加えるのか注目されている。

大鮮酒造は新製品について 「今までの焼酎とは全く異なる “ブランド焼酎” になることだろう」 と自信満々の様子。発売を開始すれば、新製品のみならず焼酎市場全体に画期的な変化が訪れるだろうと期待されている。

私は飲まないので新製品焼酎の味や度数には関心がないが、新製品と 「예(イェー)」 がどう関係があるのか、それは非常に気になる。発売がとても楽しみだ。

(*1) 「男は南部地方の男が優れていて、女は北部地方の女が美しい」 という韓国の俗説。
(*2) ある要素を顧客に明らかにしないことによって注意をひこうとする商業広告の一手法。本来、広告で伝えるべき商品についての要素のいくつかを、意図して明らかにせず注目を集める広告手法。英語のtease(じらす)から。「覆面広告」 とも。

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