先日 釜山外国語大学で、日本の茶道裏千家15代前家元を招いての特別講演会が開かれると聞き、それに参加すべく同大学へ出向いた。講演会は13時20分からとのことなので、まずはその前に大学の近くで腹ごしらえを。
大学の正門にほど近いところにある、おばさんが1人で切り盛りしている小さな小さな食堂。
建物の中にある食堂なので、道路沿いからは見えず目立たない。しかも客が数組入ればもう満席になってしまうような食堂だが、大学生向けに安くてボリュームがあっておいしい食事を出すとのことで人気があるようだ。中でもキムチチゲは特に人気があるようで、注文する人が多い。
客席は、見えている範囲(▼)のみ。椅子の数で言うと、定員15人だ。この日は店のおばさんの娘さんが手伝っていらっしゃった。客席の左手に小さな厨房があり、そこでおばさんがおいしい料理を作ってくれるのだ。
私たちも一番人気のキムチチゲを。3,000ウォンという安さだ。他のメニューも非常に安い。しばらく値上げらしい値上げをしていないのではないだろうか。店で一番高いメニューが、キムチチゲ・テンジャンチゲ・定食の各3,000ウォンだ。
ラーメンにいたっては、たったの500ウォン?!(▼)。・・・いくらなんでもこれじゃあ、インスタントラーメンの原価と同じぐらいだろうから、「500」 の前についていた数字が消えてしまっているのではないかと思うほど。確かめてはいないが、釜山の食堂ではラーメンは1,500~2,000ウォンぐらいが相場のようなので、1,500ウォンではなかろうかと想像する・・・。
かと言って、”安かろうまずかろう” ではなく、安いのに料理はとてもおいしくボリュームたっぷり。ご飯も、標準的な食堂のご飯の量よりずいぶん多い。特に若い男性にはてんこ盛りだ。人気の秘訣だろう。
まず運ばれてきたおかず類。目玉焼きやキムチなど定番のおかずと、季節の野菜を使ったおかず。どれもご飯によく合うしっかりした味付けだが、辛くはない。日本人の口にも合う。
そして、キムチチゲ。こちらも色が赤いわりには、辛くない。豆腐や豚肉もたっぷり入っていて、ただ辛いだけのキムチチゲとはひと味もふた味も違った味わいを出している。
私たちが店に入ったときは他に客はいなかったのに、食べている間にどんどん客が入って来て、あっという間に満席に。その後店を訪ねてきたおばさん2人連れが、「席がないわね・・・」 と残念そうに立ち去っていっていた。
客が大勢来ると当然、店のおばさんは忙しくなる。かなり忙しそうなのに、あいにく先ほどまで手伝っていた娘さんは、もう帰ってしまったのか出前にでも行ってしまったのか、いらっしゃらない。おばさん1人でフル回転だ。
忙しそうにしているおばさんを見て、常連だと思われる男性客はカウンターに用意されたおかずを、自分たちのテーブルまで運ぶのを手伝っている。さらに同じテーブルの女性客は 「手伝います」 と厨房の中へ入り、(自分たちが食べる)ご飯をよそっている。
豪快に大盛りに・・・ (^^;
その女性がよそったご飯をテーブルへ運ぶと、連れの男性たちが 「ちょ、ちょっと多いんじゃないか?」 と驚くほどの大盛りだ。
私たちもそう思っていたが、なんの、なんの。その後、おばさんが別の男子大学生らしき若い人に運んでいたご飯は、それ以上にもっとてんこ盛りだった。
若い大学生、会社員らしき人、近所で働いているらしいおばさん・・・。店を訪れるみんなの胃袋をおいしい食事で満たし、お財布にもやさしいこの食堂は、さしずめ ”おふくろ食堂” だ。
민영이 분식
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