鶏1羽を食べ尽くす

dilbelau

2013年05月02日 08:31

日本からの友人と夫の3人で向かったのは、「공릉닭한마리」(コンヌンタッカンマリ)というソウルにあるタッカンマリ専門店の釜山直営店。

タッカンマリ(鶏一羽という意味)という料理は1970年代、まだ東大門(トンデムン)に高速バスターミナルがあった頃、地方に行く人、地方から帰って来る人のために、手早く空腹を満たせる料理として誕生したと言われているそうだ。ソウルではなじみのあるメニューのようだが、釜山ではタッカンマリ専門店はまだそれほど多くない。

今年の3月、「コンヌンタッカンマリ」 が釜山に初めて直営店を出したそうなので行ってみませんかと友人に誘われ、3人で行ってみることにした。

店の情報が紹介されていたサイトで位置を確認していったものの、何しろ高い建物がニョキニョキと立っているので、目指す建物を探し出すのも一苦労(というほどでもないが)。店はマリンシティ内ZENITHアパート(3棟)と並んで立つ、飲食店などが入っている建物の地下1階にある。


店の隣にはSPA MARINEという入浴施設があった。チムジルバンつきの海水温泉だそうだ。こんなところに温泉があるとは知らなかった。この日はオープン1周年記念で、9,000wの代金(入浴のみ)を5,000wにしていた。思わず入って帰ろうかと思ったが、時間的に慌しいのでやめた。(チムジルバンと入浴のセットは12,000w)


さて、コンヌンタッカンマリの店内はすっきりとしたインテリア。全席、靴をぬいで床に座るタイプだ。早速、タッカンマリ(19,000w)を注文。文字通り、鶏1羽と野菜や餅などが入った鍋が運ばれてきた。テーブルのコンロで熱しながらいただく。


店主らしき男性が、鶏を食べやすいようにキッチンバサミで切り分けながら、料理についていろいろ説明してくれる。スープは8時間煮込んで作ったものだそう。「鶏肉には3分の2ほど火が通っていますので、5分ほど煮たら食べられます」 とのこと。アクも丁寧に取ってくれた。


煮えるのを待つ間に、鶏肉をつけて食べるソースを準備する。これも店員さんが詳しく説明してくれる。つぶしたニンニクと다대기(タデギ)をおおむね1対1の割合で小皿に入れ、そこに醤油ベースのタレをたっぷりと加える。お好みでカラシも。タデギは唐辛子粉やニンニク、ショウガ、醤油などで作った辛いタレ。そこに、千切りにしたキャベツやキュウリ、ニラのサラダを加えれば、つけだれの完成だ。

辛さはタデギの量で調節できるので、辛いものが苦手な人でも、子ども(タデギなし)でも大丈夫だ。そのためこの店は子ども連れの客も多いという。この時も、小さな子を連れたママ友同士らしき集団が来ていた。

そうこうしている間に具材に火が通り、食べられる状態に。まず、お餅(▼)から食べてくださいとのこと(煮すぎると溶けてしまうため)。


「うちは唐辛子も上質のものを使っています。食べてもらえばそれを感じていただけると思います」 とのこと。私は唐辛子の味の違いまではよく分からないが、つけだれは確かにおいしい。ただ、辛さ控えめでも少し辛めなので、辛いのが苦手な人はタデギはかなり控えめにしてもらった方がよさそうだ。千切りキャベツのシャキシャキした食感もいいアクセントになる。

付け合せの浅漬けキムチと青唐辛子の味噌漬け(▼)。いずれもおいしい。青唐辛子は辛くないタイプを使っている。左上はつけだれに加える千切りキャベツ。


そのうち店員さんがふと、「この店のことはどうしてお知りになったんですか?この前から(日本人が)時々来てくださるんですが」 と。釜山の情報サイト 「釜山ナビ」 に紹介されていたのを見て来店したと言うと、「あ、そうなんですか~」 と驚いていた。紹介されたのを知らなかったのだそうだ。

そうこうしているうちに、鶏肉も食べごろになった。「骨付きの肉からはいいダシが出ますので最後に食べるようにしてください。まずは骨のついていない部分からどうぞ」 と取り分けてくれた。鶏肉は適度に弾力があってとてもおいしい。鶏肉自体があっさりしているので、濃い味のつけだれがよく合う。この店は冷凍の鶏肉は使わず、新鮮な鶏肉だけを使っているとのこと。


「スープも少し味を見てみてください。まだこの段階ではそれほど味が出ていないと思います。骨付きの鶏肉を煮込むことでいいダシが出て、どんどんおいしくなっていきます。味の変化も分かっていただけると思いますよ」。確かに、煮始めの頃のスープもおいしいことはおいしかったが、時間が経つほどに味に深みが出てよりおいしくなった。

鶏肉を食べ終わったら、カルグクス(1玉2,000w)を追加。カルグクスもソウルの本店から取り寄せているそうだ。細めのカルグクスなので比較的すぐ煮える。のど越しがよくおいしい麺だ。つけだれにつけて食べてもよし、ダシが出ておいしくなったスープと一緒に食べてもよし。私のおすすめは後者。


そして仕上げは、残ったスープにご飯(1,000w)を加えて作るお粥(店員さんが作ってくれる)。タッカンマリの具として入っているカボチャはお粥用に残しておくと、このようなカボチャ粥として楽しめる(▼)。「このお粥を離乳食代わりに子どもに食べさせる人もいるんですよ」 とのこと。


このカボチャ粥が非常においしかった。もともと8時間かけて作ったスープである上に、いろいろな具材から出た旨みが溶け出し、それをお粥として閉じ込めているのだ。おいしくないはずがない。絶品だった。せっかくタッカンマリを食べるなら、是非このお粥まで堪能してもらいたい。


食後はさっぱりと오미자차(オミジャチャ=五味子茶)を。

この日は3人でタッカンマリ1つとカルグクス1玉、ご飯(お粥用)1つをいただいて、ボリューム的にもちょうどよかった。もし足りない場合は、鶏肉1/2羽(10,000w)や餅(1,000w)、ジャガイモ(1,000w)などを追加することもできる。

공릉닭한마리(コンヌンタッカンマリ)海雲台・本店直営店
釜山市海雲台区佑1洞1407 ZENITHスクエア地下1階
(051) 742-5989
営業時間:11:30~22:30

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