クルミの贈り物
先日、韓国人の友人からクルミが届いた。友人と言ってもお孫さんもいらっしゃる人生の大先輩。お仕事上、以前は日本へもよく行き来されていたそうで日本語がとても流暢な方だ。もとは近所で開かれている日本語の勉強会で知り合った。
昨年だっただろうか、自然豊かなところでのんびり暮らしたいという長年の夢を叶え、住み慣れた釜山から忠清北道・永同(ヨンドン)郡へ移り住まれた。山あり川ありの美しい地に居を構え、鳥の鳴き声や川のせせらぎに心和ませ、地元の人々に教えてもらいながら畑を耕す毎日だという。
これまでも、季節折々の美しい風景やご自身が育てられた野菜などの写真を、時々メールで送ってきてくださっていた。
先日電話があり、庭のクルミを送りたいから住所を教えてほしいとのこと。お言葉に甘えて住所をお伝えし、楽しみに待っていた。すると立派な化粧箱に入ったたくさんのクルミが届いた。
早速電話してお礼の気持ちを伝えたところ、「いえいえ、少しですけど(少しではない)、今年初めてとれたクルミです。私からの気持ちということで」。懐かしいお声を聞きながら、優しい笑顔が目に浮かんだ。
化粧箱にきれいに詰められて、まるでどこかで販売しているもののようだと言うと、化粧箱だけ農協で購入されたのだそう。「同じクルミでもケースに入れるときれいに見えるでしょ」 と。
そういえば、クルミはどういう状態で生っているのか見たことがなかったが、木に生っている状態のクルミの写真が化粧箱に印刷されていた。一見梅の実のようにも見えるのがクルミの実(仮果)だそうで(▼)、ギンナンと同じく実を腐らせると中から硬い殻(核果)が現れる。食べるのは核果の中の種子の部分。
殻つきのクルミを扱うのは初めてだったので、ネットでいろいろ調べてみたところ、どうやらこれはテウチグルミという種類のようだ。オニグルミというのは殻が非常に硬くてなかなか割れないそうだが、テウチグルミは比較的簡単に割れるとのこと。
殻のお尻の部分にドライバーを差し込んでひねるようにすると、思っていたより簡単に割れる。しかし、殻の中に仕切りのようなものがあり、それが実を取り出すのに邪魔をする。最初は非常に時間がかかったが、何個かやっているうちに要領がつかめてきた。
クルミの中には、殻が薄くヒビさえ入れば女性でも指で割ることのできるものもあれば、殻が厚くとてもじゃないが指でなど割れないものもある。収穫したのは1本の木ではないのだろうか。
比較的大きなかたまりのまま実を取り出せることもあるが、たいていは実が割れてしまう。まあ仕方がない。実が細かく割れすぎたものは味見と称して口に放り込みつつ作業を続ける。
また、たいていは殻がいびつに割れてしまうのだが、たまにきれいに真っ二つに割れると嬉しい。
しかしなかなか手間のかかる作業だ。おいしいものを食べるということは簡単ではないようだ。
早速、クルミとジャコの佃煮を作ってみた。新鮮なクルミのおかげでおいしくできた。殻をむいたクルミの実は酸化しやすいとのことで、残りは保存パックに入れて冷凍庫へ。調べてみると、レシピも山のように紹介されている。たくさんあるのでいろいろな食べ方で楽しませていただこう。
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