日本で土用の丑の日にウナギを食べるように、韓国では삼복(三伏=サンボク)(または복날/伏日/ポンナル)の日にサムゲタン(参鶏湯)やポシンタン(補身湯)を食べる習慣がある。夏の最も暑い時期を、滋養強壮の料理を食べて乗り切ろうというものだ。
三伏とはその名の通り、초복(初伏=チョボク)・중복(中伏=チュンボク)・말복(末伏=マルボク)の3日の伏日を指す。初伏、中伏、末伏はそれぞれ 「夏至後の第3庚の日」、「夏至後の第4庚の日」、「立秋後最初の庚の日」 なので、カレンダー上での日にちは毎年異なる。
今年は初伏が7月18日、中伏が7月28日、末伏が8月7日。
中伏の7月28日、夫とサムゲタンを食べるべくセンタムシティにある 「東莱参鶏湯」(トンネサムゲタン)に向かった。
中伏なのできっと店も混雑するだろうと思い少し早めに出たのだが、到着した11:45にはすでに店の前に行列ができていた。ここ数日、熱帯夜が続き、「猛暑警報」 も発令されるなど、釜山も暑い日が続いているので、サムゲタンの店を訪れる人の数も相当多いのだろう。
5分ほど待つと座れた。お目当てのサムゲタン(13,000w)を注文。2010年は11,000w、2011年は12,000wだったが、さらに値上がりしている。物価が上昇しているので仕方ないのだろう。漢方材料を入れて煮込む약삼계탕(ヤクサムゲタン)は15,000wだ。注文を取る人も料理を運ぶ人も、みな必死の形相で働いている。店内はまるで戦場のようだ。
この店は創業30年だそう。「東莱参鶏湯」 という店名の通りもとは東莱市場内にあったが、ここセンタムシティに移転してきたそうで、昔からの常連客も多いようだ。
客が多いので料理が出てくるまで少し待たねばならないかと思いきや、意外に早く出てきた。しかし、いつもは一緒に出てくる인삼주(インサムジュ=高麗人参酒)は、今日はなし。あまりに客が多くて追いつかないのだろう。
この店のサムゲタンは、スープに사골(サゴル=牛の脚の骨でとったスープ)を使っているのが特徴。サムゲタンは普通、スープに岩塩を入れて塩味を調節して食べるが、この店のスープは深みとコクのあるしっかりした味なので、塩を入れなくても充分おいしい。いかにも滋養あふれるスープだ。
まず、麺をスープの中に入れておくとすぐに食べごろになる。鶏のおなかの中には、もち米・高麗人参・ナツメ・栗。あっさりとした鶏肉と、カクトゥギや白菜の和えものなどがよく合う。
特に、砂肝と、キュウリの和えものは後を引くおいしさ。勿論お代わりも可能だが、この日はあまりに忙しすぎてお代わりを頼むのもはばかられるほどだった(頼んだが)。
暑いときにはつい冷たいものばかり飲んだり食べたりしがちだが、暑い日にこそ熱いスープを食べて暑さを乗り切る 「이열치열(イヨルチヨル)」(以熱治熱)という発想は、実に理にかなっている。
大変おいしくいただいた。これでこの夏の暑さも乗り切れそうだ。私たちが店を出たのは12:30頃。店の前にはまだまだ長い列ができていた。
東莱参鶏湯(トンネサムゲタン)
釜山市海雲台区佑洞1483番地 センタムキュー2階221号
(051) 744-7172
営業時間:11:00~21:50
★ The Coffee Bean & Tea Leafとホームプラスの間の道を2ブロックほど歩くとセンタムキュー(셈탐큐)という建物がある。建物1階に郵便局があるので、郵便局の向かってすぐ右隣にある入り口から入り、目の前にある階段を上がるのが一番分かりやすい。2階まで階段を上がったら、右へ曲がるとすぐ。