クセになる味

dilbelau

2010年11月27日 08:09

讃岐うどん専門店 「武田家」 のぶっかけうどんには、中毒性がある(ように思う)。讃岐うどんらしいコシの強い麺が、かけつゆや天かす・大根おろし・ネギとからみあう絶妙の味は、ふと ”食べたい” と思うと、どうしても食べたくなる。

先日も例によってふと ”武田家のぶっかけうどん” が食べたくなり、店に入って早速注文。すると店員さんが、「以前はランチ特選メニューとして、ぶっかけうどんと唐揚げのセットをお出ししていましたが、今日はランチ特選メニューは ”トンカツうどん” です。ぶっかけうどんを注文されても、今までのような唐揚げはついてきませんがよろしいですか?」 と。

確かに少し前に来たときは、ぶっかけうどんを注文すると、ランチ特選メニューとして同じ6,000wのまま鶏の唐揚げがついてきていた。ところがこの日は、ぶっかけうどんはランチ特選メニューから外れているので、唐揚げはつかないというのだ。

代わりにその日は、本来8,000wである ”トンカツうどん” を、ランチ特選メニューとして6,000wで提供していますとのこと。かけうどんとトンカツのセットメニューだそうだ。

確かに値段的には ”トンカツうどん” の方がお得だが、私が食べたかったのは ”ぶっかけうどん”。唐揚げはつかなくてもいいから ”ぶっかけうどん”。初志貫徹、ぶっかけうどんを注文した。

厨房の一部、ガラス張りになっている作業台で麺を切る様子が見える。1食ずつ、注文を受けてから麺を切って茹で、出来立てを出してくれる。太めの麺なので茹で時間がけっこうかかるが、待つのも楽しみのうちだ。

店内には日本の歌が流れている。この日は 『とんぼ』 や 『乾杯』 など、長渕剛の渋い歌声が。そう言えば、来るたびに日本語の歌が流れているような気がする。待つことしばし、来ました来ました、コレコレ。



つやつやに茹で上がった光沢のある麺は、食べる前からそのなめらかな食感が感じられるほどだ。そして一口いただくと、その強いコシ。これぞ讃岐うどんというコシの強さがたまらない。

かけつゆは、韓国人の口に合うように本場のものより少し薄めにアレンジしているそうだが、ダシがきいていてとてもおいしい。

以前は、球形のまん丸おにぎりがついてきていたが、この日はお稲荷さんが。見た目は少しスリムなお稲荷さん、という感じなのだが、油揚げを通して緑色の何かが透けて見えている。何だろうと思っていただくと、何と何と予想外のワサビだった!! お稲荷さんにワサビはちょっと驚きだが、これも韓国風アレンジか??



隣のテーブルのおじさんも同じくぶっかけうどんを注文していたが、セット内容が物足りなかったのか、お稲荷さんをもう少しくれと店員さんに言っている。厨房で確認した店員さん曰く 「お稲荷さんは1つ1,000wとなります」。よほど物足りなかったのか、それでもいいからと追加でお稲荷さんを持ってきてもらっていた。

各テーブルには、国際新聞や釜山日報など今まで新聞でこの店のことが紹介されたときの記事が、拡大コピーして置かれている。注文の品が運ばれてくるのを待つ間、日本の讃岐うどんというものがどういうものか、また店長が3年間本場香川で修行してきた話などが紹介された記事を読むことができる。



私がおいしくいただいていると、もうすっかり顔を覚えてくれた店長さんが 「お味は合いますか?」 と日本語で聞きに来てくださる。とてもおいしいですと答えると、にっこり笑顔。食べ終えてレジで会計をするときも、「韓国人の好む味と日本人の好む味は違いますから、(当店のうどんは)日本の方には少し薄いと思います」 と、やはり日本語で。

確かに、以前天ぷらうどんを食べたときには、麺はとてもおいしいのにスープが薄くて残念だと感じた。しかしそれぐらいの味が韓国人にはちょうどいいようで、いつ行ってもけっこうな数の客が入っている。

本場・讃岐うどんを、その特徴は活かしながら韓国人の口に合うように上手にアレンジしていると思う。その工夫のおかげで、韓国人にもしっかり受け入れられているようだ。

武田家(다케다야)
釜山市水営区南川洞3-58
(051) 611-5711
営業時間:11~15時、17~22時
定休日:月曜日

関連記事