思うこと

dilbelau

2012年09月13日 09:25

この夏は約1ヶ月間、日本に一時帰国していた。8月10日のイ・ミョンバク大統領の竹島上陸、同15日の天皇訪韓に関する発言、さらに同13~15日の韓国人俳優ソン・イルグッや歌手キム・ジャンフンらによる竹島までのリレー遠泳、これらは一時帰国中の日本で耳にした。

竹島までのリレー遠泳は、そういう予定だと前々から韓国メディアが報道していたので聞き知っていたが、大統領の竹島上陸と天皇謝罪発言は日本のニュースを見て知った。

連日の関連ニュースの報道を見ていると、慰安婦問題も含め、日韓関係の溝は日に日に深まるばかり。ニュース報道だけ見聞きしていると、韓国に住む日本人や、日本に住む韓国人の身の安全を案ずる声が出るのも無理はないと思えるほど、関係はこじれているように見える。

しかし、実際に9月に釜山に戻ってくると、予想通り、一般市民レベルでは以前と何ら変わらぬ雰囲気。

港から自宅まで利用したタクシーの運転手さん、アパートの警備員のおじさん、掃除担当のおばさん、近所のスーパーの店員さん、軽トラの八百屋のおじさん・おばさん、会社の上司、食堂のおばさん・・・。

釜山に戻って数日間のうちにいろいろな韓国人と接したが、これまでと何の変わりもない。私が日本人と知っていても、私に竹島や慰安婦、大統領の発言などの話題を持ちかけてきたり、意見を求めてくる人はほとんどいない。1人だけそれらに関する自分の意見を話した人がいたが、私にその意見を強要するわけでもなく、ただ、自分はこう思うんだがと言うだけ。日本人だという理由で冷たくされたり、差別的な対応をされたことももちろんない。

むしろ逆に「久しぶりね。元気だった?日本は台風大丈夫だった?」と温かく迎えてくれる。

ここのところの摩擦の影響で、新大久保での売り上げが急減したという話は聞いたことがあるが、新大久保を訪れる日本人の数そのものはこれまでとあまり変わりないと聞く。また韓国に来る日本人観光客の数も、今のところ大きな変化はないという。

両国の関係はいろいろ騒がしくなっているが、一般の市民レベルではほとんど変わりないというのが私の印象だ。

ネット上では市民もお互いに舌戦を繰り広げているようだが、それはずっと以前からあったこと。今に始まったことではない。

政府同士ではいろいろあるし、両国の市民にもそれぞれ意見はあると思うが、国レベルで問題を解決することと、市民が日常生活を送ることは別次元。中には自分の持てる力や時間のほとんどを問題解決のために注ぎ込む人もいるようだが、多くの市民は、両国が問題を抱えいてるのを認識しながら、それはそれとして自分の生活を送っている。

言いたいことや思うところはいろいろあるが、それよりももっと目の前にある毎日の生活の方が優先だ。両国間の問題を横目で見つつ、自分の人生のコースを走っているというのが多くの市民ではないだろうか。

個人的には、竹島も慰安婦も両国ともに納得するような円満解決は、これからも期待できないと思う。それならば、問題は抱えつつもそれはそれとして、これまで同様、市民は市民の生活を送っていけばいいと思う。

せっかくこれまで築き上げてきた文化的・人的交流が、政治的問題のために途絶えてしまうというのはあまりに惜しい。政治は政治。市民は市民でこれからも、政治的な問題にも揺らがないような強固なネットワークや交流を深めていけばいいと思う。




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