『福島、そしてキム・ヒョンニュル』

dilbelau

2012年05月30日 21:45

2012年5月25日付の釜山日報(6面)に紹介されていた記事をご紹介。

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パク・イルホン監督 「福島の事故後、核は過去の話ではなく現在進行形」

「キム・ヒョンニュル氏はこちらが戸惑うほど堂々した人でした。独立ドキュメンタリーの監督なら、当然、原爆被害2世問題を撮るべきではないのか、とはっきり言う、そんな人でしたね」。

パク・イルホン監督(43)は25日、韓国原爆2世患友会の初代会長、故キム・ヒョンニュル氏の7周忌の前日、キム氏についてこう語った。キム・ヒョンニュル氏(1970~2005)は2002年3月、韓国では初めて自らを原爆被害者2世だと明かし、2005年5月に亡くなるまで、原爆被害者2世問題を世に知らしめるために尽力した活動家だ。

パク監督は 「ヒョンニュン氏が自分の話を撮ってくれとやって来られたとき、被害者という立場上、こちらに何かをお願いしたり頼んだりするような話し方をされるのかなという先入観がありました。でもむしろ、自分が望むことをはっきりと要求してきたので驚きました。ヒョンニュル氏が亡くなった今振り返ってみると、自分には残された時間があまりないことを知っていて行動しているようでもありました」 と話す。

パク監督は、もともと原爆被害者問題に関心があったわけではない。彼は 「2004年、ヒョンニュル氏と短時間だが2度お会いした。その後、原爆被害者2世問題をドキュメンタリーで撮ってほしいというヒョンニュル氏の願いを実現できずにいたのだが、翌年ヒョンニュル氏があっけなく亡くなり、この問題について考えるようになった」 と話す。

パク監督は昨年、キム・ヒョンニュル氏と彼の父親キム・ボンデ氏の人生を描いた独立ドキュメンタリー映画 『아들의 이름으로』(息子の名前で)を手がけた。それに続いて今回は 『후쿠시마 그리고 김형률』(福島、そしてキム・ヒョンニュル)というドキュメンタリーを撮り、現在仕上げ作業中だ。

彼は 「福島の原発事故の直後、核は過去の問題ではなく現在進行形の問題として我々に迫ってきた。福島の事故を見て思ったのは、キム・ヒョンニュルのことを記憶にとどめ彼の話に耳を傾けなければ、韓国社会もまさに福島のようになってしまうということ。それで 『福島、そしてキム・ヒョンニュル』 を企画したんです」 と説明する。

ドキュメンタリーのため、パク監督は昨年11月に福島を訪れ10日間滞在した。一般人が近づくことのできる出入り禁止区域の境界エリア・南相馬市も訪れ、原発事故以降の住民らの生活の様子を聞いて回った。

パク監督は 「過去を教訓にしない未来はあり得ないと思う。だから私たちは福島を、そしてキム・ヒョンニュル氏を絶対に忘れてはならない」 と繰り返した。

一方、26日午前11時、釜山市の民主公園でキム・ヒョンニュル氏の7周忌追悼祭が開かれる。パク監督の独立ドキュメンタリー映画 『福島、そしてキム・ヒョンニュル』 は、6月1日~3日まで、釜山視聴者メディアセンターで開かれる 「第2回釜山反核映画祭」 の閉幕作として上映される予定だ。

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写真作家윤정은/ユン・ジョンウン氏が撮影した、故・김형률/キム・ヒョンニュル氏▲

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