踏面の幅が狭い理由
つづき
さて、大雄殿(本殿)(▼)。
大雄殿の前には、左右対称に2つの石塔が建っている(いずれも国宝)。大雄殿に向かって右側の多宝塔(▼)。日本植民地時代の1920年代中頃に日本によって解体・補修され、その過程で内部の遺物が行方不明になってしまったのだそうだ。また、塔の階段上部の獅子像ももとは4匹あったものが、3匹が盗まれてしまい現在は1匹しか残っていない。
向かって左側の釈迦塔(▼)。
また大雄殿内部には本尊である釈迦牟尼像が置かれ、その両脇には文殊菩薩、普賢菩薩の像が並んでいる。大雄殿の正面には灯籠があり、この灯籠の上部の四角い空間(▼)を通して釈迦牟尼像のお顔を見ると、ご利益があるそうですよとガイドさんが教えてくれた。写真では見えにくいが、肉眼ではよく見える。
また同じくガイドさんの説明によると、大雄殿の正面には小さな石の階段(▼)がついているのだが、この階段は一般的な階段に比べ踏面の幅が狭い。そのため、正面を向いて階段を上がろうとするとかかと部分がはみ出してしまい、やや不安定な感じになる。足裏全体を踏面につけて階段を上がろうとすると、自然と足を踏面の上に斜めに置くことになり、そうすると身体が本尊に対して正面ではなくやや斜めを向く格好になる。
本尊に対して真正面を向いて階段を上がるのではなく、本尊に対する敬意を表するため自然に身体が斜めになるようにと意図して造られた、奥行きの狭い階段なのだそうだ。
日本の茶道で濃茶やお薄をいただくときに、お茶碗の正面の部分に口をつけるのではなく、少しお茶碗を回して正面を避けていただくのは、お茶碗の作陶者に対して敬意を表するためだが、この階段はそれと通ずる部分があるなと感心した。
大雄殿の屋根を近くから見上げると、緻密な飾り彫りと彩色が施されているのが見える(▼)。
この彩色は木材を守る意味もあり、定期的に塗り替えないとならないのだが、かなり大がかりな大変な作業になるそうだ。
建物の横部分には、卍が見える。
つづく
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