海雲台の高級アパート火災

dilbelau

2010年10月02日 21:02

昨日(10月1日)11:34に、海雲台区マリンシティにある우신골든스위트(ウシンゴールデンスィート)アパートで大規模な火災が発生した。そのあたりは高層アパートが建ち並んでいるところで、釜山一のお金持ちたちが住んでいると言われるところ。ソウルで言えば강남(江南)にあたるということで、「釜山の강남(江南)」 とも呼ばれる。

このあたりに住まいを持つということが、かなりのステータスにもなると言われるこの地区の、火災が発生したのはゴールデンスィートというその名前通り、アパートの建物外壁が ”金色” の住居用オフィステルだ。キラキラと金色に光り輝く建物は、まさに ”ゴールデン”スィートという名前がぴったりで、かなり目を引く。

同じ形状の2つの棟(地上38階・地下4階)には、66・70・90坪などの坪数の大きい部屋が総202世帯分あり、現在は198世帯が入居している。

その釜山市民の憧れとも言える地区で発生した、高層アパートの火災。釜山中に衝撃が走った。テレビニュースでもかなりの時間をさいて報道していた。



火災の原因は、アパートのゴミを分類する美化作業室(4階)から出たと見られ、火の原因は漏電などが考えられている。4階から出た火は吹き上げる強風により、アパートの2つの棟をつなぐ中央階段・換気通路と外壁を燃やしながら、ものすごい勢いで上方に拡散。

アパート外壁の壁面パネルが、引火性の強いものだったことも悪条件となった。パネル外側の金色の特殊塗装と、パネルを壁にくっつけるための接着剤が引火性の強いものだった。そのため、火災発生からたった20余分で火は屋上まで広がり、スカイラウンジと38階ペントハウス、37階の一部の世帯が全焼した。



火が横方向に拡散する速度より、上方向に拡散する速度が4倍も速いこともあり、2つの棟の間にある空間が煙突のようになって、火が瞬く間に広がってしまったということだ。

消火活動もうまくいかなかったようだ。地上からの消火活動も、はしご車は15階までが限界で、放水しても水が風にあおられてうまく上がらず、ヘリコプターで上から水をまいてもやはり風のため思うように消火できなかったそうだ。





11:34の火災発生から約7時間半後にようやく鎮火。消火作業がうまくいかなかったことに加え、最初に火が出た美化作業室にスプリンクラーが設置されていなかったことなど、防災面の不備も指摘されている。

この火災で死者が出なかったのは不幸中の幸いだったが、火災発生当時アパート住居者に火災を知らせるアナウンスなどがなく、火災発生を知らずに逃げ遅れた31人が救急隊により救助され、消防隊員を含む4人が負傷して病院へ搬送された。

また、燃えた外壁パネルや窓枠などが燃えながら地上に落下するなどし、現場は阿鼻叫喚、さながら戦場のような阿修羅場と化したと、緊迫した表情で非難する住民たちの様子も報道されていた。

あたりが暗くなるころになってようやく鎮火されたものの、”またどこかから火が出るのではないか”、”建物が崩壊してしまうのではないか” という不安を隠せない住民たちが多かったようだ。昨夜は住民たちのための臨時避難所も準備された。

今回の火災は、いろいろな要因が重なって大規模火災にまで発展してしまったが、中でも、外観を豪華に見せるための金色の特殊塗装が、計らずも短時間での火災拡大の一因となってしまったというのは、皮肉なものだ。また、防災対策も不充分であったことも明らかになった。韓国には数多く建設されている高層建物。今後、これら高層建物の防災基準などの見直しが、さらに求められることになるだろう。

(写真は上から順に、『한국경제(韓国経済)』、『NEWSEN』、3・4枚目は 『연합뉴스』 より)

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