'09.12.11(金)美しいポジャギ

dilbelau

2009年12月11日 14:53

つづき

彼女が1週間ほどかけてゆっくり作ってくれたというものは、「상보(サンポ)」 と呼ばれる美しい布。食卓に用意した食膳の上に、ほこりや虫よけのため覆うための布だ。



一見、食卓に敷いて使うテーブルクロスのようにも見えるが、実はこの 「상보(サンポ)」、中央のつまみ布がポイント。



食膳を準備して食べるまでの間このサンポで覆っておき、食事を始めるときにはこのつまみ布をつまんで、スッと上に引っ張り上げるようにしてサンポを取り除く。そのためのつまみ布なのだ。ただの飾りのように見えて、実は重要な役割がある。

つまみ布の中央にある結び目のような部分(写真では青い部分)、これにも名前がある。
「박쥐(パクチ)」。日本語でいうと 「コウモリ」 だ。
この部分をよく見ると、まるでコウモリが羽を広げている姿に見えることから、その名がつけられたそうだ。

目にも鮮やかな青と赤のサンポ。細かいところにまで実に手が込んでいる。布の四隅の部分(↓)。



赤い布の曲線に沿って、黄色い糸で施された刺繍。1ミリもないほどの点を等間隔になるように刺してある(↓)。



またフリンジ部分は、紐の撚りを丁寧にほぐして作ってある(↓)。



実に手の込んだ緻密な作業。勿論、全て手縫い。私のためにチクチクと一針一針縫い進めてくれたのだと思うと、実にありがたい。

「상보(サンポ)」 のような布を縫い合わせて作ったものの総称を 「보자기(ポジャギ)」 あるいは 「조각보(チョガッポ)」 と呼ぶ。

ポジャギやチョガッポは窮乏の時代に廃棄直前の布切れを繕って、膳にかぶせる布としてリサイクルしたことがその由来。韓国人の日常生活において広く使われたそうだ。

例えば婚礼の時に新婦側の家に贈る 「함(函=ハム)」 を包むときは 「함보(ハムポ)」、上記のように食膳を覆えば 「상보(サンポ)」、本を包んでおく 「책보(チェクボ)」、布団を包む 「이불보(イブルポ)」 など、その多様な用途によって呼び名もさまざま。

また、雨乞いの儀式の時に祭壇に垂らしたり、先祖の肖像画を包むなど特殊な使い方もされたそうだ。

もともとは小さな布切れも大切に再利用することから、手間ひまかけて作られ始めたポジャギ。今では立派な、韓国の伝統工芸品の一つになっている。

Gさん、ありがとうございます。大切に使わせてもらいます。

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