2008年10月4日(土)釜山国際映画祭 初体験

dilbelau

2008年10月05日 01:45

いよいよ、釜山国際映画祭 ・ 初体験 『Sky Crawlers』 を観に行く。上映は19:30からだが、屋外上映で自由席なので早めに家を出て会場近くで夕食をすませることにした。

リュックには防寒用の上着と、水筒につめた温かいミルクティー、それにお菓子を少し。




会場であるヨット競技場近くにある、小さな食堂。

あまり目立たないところにある小さな食堂なのに、客はけっこう入ってくる。






ラーメン(2500ウォン)と김밥(のり巻き 3000ウォン)を注文。

韓国の食堂でラーメンを注文すると、普通このようなインスタントラーメンが出てくる。

年季の入った鍋で出てくることが多い。

ちなみにこの食堂では、韓国で人気の「安城湯麺」を使っていた。

このラーメン、麺は日本のインスタントラーメンとよく似ているのだが、違うのは味。韓国人にとっては、ラーメンといえども辛くなくては物足りない。唐辛子スライスが容赦なく入っていて、スープが熱いのもあいまって非常に辛く感じる。

辛さのため、額に汗をにじませながら食べるラーメンと、この全く辛くない김밥。
口の中で味のバランスがとれる。

김밥は日本の太巻きに見た目は似ているが、こちらの김밥のご飯は酢飯ではなく普通のご飯。

具は、卵焼き・たくあん・人参・ごぼう・緑の野菜・カニカマスティック・ハムなど、店によって微妙に違うが、たいてい歯ごたえのいいものが含まれている。




さて腹ごしらえもでき、いざ会場へ。

上映時間の1時間以上前に到着したのに、すでに入場を待つ多くの人たちで行列ができていて驚いた。










会場ゲート前の広場には、軽く食事をする場所も。にぎわっている。






他にもコンビニやアルコールを売るスタンド、そして何故かトラックに積まれた移動式銀行ATMまで。

また、ある韓国人アジュンマは、自宅で用意してきたであろうと思われる大量の김밥を、パック詰めにして売りにきていた。行列の真横に陣取り、やおら地面に座り込んで客に売り込む。客もちょうど夕食どきだし、安くて手軽に食べれるのでけっこうたくさん買っていた。ここでもまた、韓国人アジュンマのたくましさを目の当たりにした気がした。





これはヨット競技場のマリーナに停泊してあるヨット群。

けっこう大きなクルーザーもある。









入場ゲート。

ゲートが横に広いので、わりと列はスムーズに前に進み、思ったより早くまた混乱もなく入場することができた。









ゲート横には、案内所と並んでPIFFグッズ売り場も。











客席はこのような平面に並べられたプラスティックの椅子と、









後方オレンジ色に見える、ひな壇状に高くなっていく席(こちらもプラスティック製)もあり、今回私たちはここに座った。

この時点ではまだ空席が目立つが、上映時間が近づくと、








このように、見やすい席から埋まっていく。

残っている平面サイドの席はやはり見づらいので、上映時間が迫るにつれ、必死に席を探す客が目立つ。







ちなみに、これがゲート内の仮設トイレ。

このような規模のものが、通路をはさんで反対側にもある。

今は空いているが、あとになると特に女子トイレの前には長い長い行列が。






さて、いよいよ上映開始。

ほぼ時間通りにスタート。

字幕は韓国語と英語。観に来ている客は、やはりほとんどが韓国人。印象的には韓国人対外国人が、8対2ぐらい、か。




プラスティックの椅子のため、座り心地はよいとは言えないが、映像もきれいで、音声もよく聞こえ快適に観ることができる。また知人から聞いていた「寒さ」を心配していたのだが、今日は日中の気温も比較的高く、また風もあまりなかったために、寒さに震えるということはなかった。

しかしやはり毛布を持参してくるまって観ている人もけっこう見かけた。

なかなか深いストーリー。特に、人間はこの世界のどこかで現実に戦争が起こっていないと、平和を実感することができない。それも作りものの戦争ではなく、実際に人が死んでいく戦争でなければ、もはや平和とは何かという概念さえもつことができない。というようなセリフは、初めて聞く発想だが妙な説得力もあり、いろいろと考えさせられるなー…などと思いながら観ていると、突然のトラブルが…。

それまで画像や音声に何の乱れもなく上映されていたのに、突如音声が消え、続いて画面も消えて真っ暗に。

人々のざわめき。

ちょうどあと15分から20分ぐらいで終わる、というけっこう重要な山場を迎えていたところだったので、驚いた。

周りの韓国人たちも、「これで終わり?」「違うだろう、まだあるよ」などとざわざわし始め、会場を後にする人たちも出てきた。しかし、意外に大きな混乱にはならなかったあたり、さすがおおらかな韓国人気質だなーと思った。

それでも、すぐにはトラブルの説明がなされなかったため、しびれを切らして帰って行くのか、もうこれだけ見れば十分だと思って帰って行くのか、けっこうたくさんの人が帰っていく。

私たちも、エンドロールも流れないし話も中途半端だし、まさかこれで終わりではないだろうとしばらく様子を見ていた。すると、やがてスタッフから説明が。突然ジェネレーターにトラブルが発生してしまったが、30分後に再開するのでしばらくお待ちください、とのこと。

その説明を聞いてとどまる人、聞いてもやはり帰っていく人、またこの 『Sky Clawlers』 のあと22:00から上映予定の 『Gomorrah』 を見るために新たに入場してくる人…。

PIFFのボランティアの人たちは、会場の客たちに向かって何度も説明しお詫びを繰り返す。声がかれるほど何度も繰り返していた。

やがて45分ほどが経過したところで、さきほど途切れたシーンから再開された。

無事映画が終わったときには、大きな拍手と歓声がわきおこった。一時はどうなることかと思ったが、まあこういう体験はしたくてもできないもの。後になれば懐かしい笑い話になるねと夫と話していたら、スタッフからアナウンスが。

「今回、ご迷惑をおかけしたお詫びとして、本日のチケット料金は払い戻しします。払い戻し方法は、明朝PIFFのホームページ上に掲載します」とのこと。

ラッキ~!と気楽に話しながら帰ろうとすると、入場ゲート付近でたくさんのボランティアたちが帰っていく客たちにお詫びの言葉を言いながら深々と頭を下げていた。

「申し訳ありませんでした。(これからはこのようなことがないように)努力いたします。」と、ボランティアスタッフが数人ずつ1列に並んで、声をそろえて大きな声で何度も繰り返し、そのたびに深々と頭を下げている。それこそ、もう声がかれんばかりに。

その姿を見て、何もこのトラブルの原因が彼らにあるわけではないのに…と思うと、先ほどまではラッキ~などと気楽に感じていたが、なんだか気の毒になってきた…。これもスタッフ側として働いているボランティアとしては、仕事の一つといえばそうなのかもしれないが、結局最後まで見られたし、返金もしてもらえるし、もういいよと言ってあげたくなった。

さてさて、可能ならそのあとの 『Gomorrah』 も観てみようかとも思っていたが、そういうわけで 『Sky Clawlers』 が終わった時間が予定よりずいぶん遅くなってしまったので、私たちは帰ることにしたが、けっこうたくさんの人たちがまだ 『Gomorrah』 目当てで残っていた。カンヌ映画祭最優秀作品だとか。



屋外スクリーンで映画を観るのは夫も私も初めてだったが、開放的な雰囲気で、なかなか気に入った。

マリーナの上に浮かぶ三日月を眺めながら、いい気分で家路についた。

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